アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

THE INCREDIBLE HULK #234

1979年 APR

ROGER STERN : WRITER

SAL BUSCEMA and JACK ABEL : ARTISTS

 

 ハルクは友人のフレッド・スローンと旅の途中、カリフォルニア州バークレイにある共同住宅に来ていたが、そこでフレッドの友人として紹介され、トリッシュ・スターと再会する。ハルクとトリッシュがすでに知り合いであることに驚くフレッドは、関係を訊ねる。トリッシュは長い話になるわよと断り、話し始めた。

 彼女の叔父はエッグヘッドと呼ばれる天才犯罪者だったのだが、エッグヘッドは彼の発明した装置を動かすため姪を誘拐して装置につなぐという凶行に出て、彼女はアントマンことヘンリー・ピム博士に助けられた。また、トリッシュは旧友のカイル・リッチモンドがナイトホークというスーパーヒーローとしてディフェンダーズに参加しているのを知り、ヒーローとの関わりが続く。だが、イエロージャケットと名乗っていた頃のピム博士と関わった頃、彼女は左腕を失い、ピムの前から去る。その後トリッシュは魔術の腕を磨くが、それをシャザンナという別次元の女悪魔に利用され、ハルクが参加していたディフェンダーズの活躍で開放されたのだった。

 ハルクはトリッシュに、戦いによってハルクの友達がたくさん死んだ、だけどトリッシュは死なせないと言う。トリッシュも、あなたが故意に人を傷つけないことは知っているわと答え、私の旅は悪いことばかりじゃなくて、沢山友人ができたと言う。トリッシュはハルクを食卓に誘い、同居人の一人であるガンサー・マロリーにディナーゲストよとハルクを紹介。ガンサーはハルクを見て絶句する。

 所変わってニューメキシコ州にあるガンマ線研究基地では、ハルクと戦った新人ヒーロー、マーベルマンがホーク上院議員と会い報告していた。上院議員はマーベルマンに礼を言って握手し、次の任務に向かう前にヒーローは、新しいコードネーム、クエーサーと呼んでくださいと言って飛び去った。ガンマ線研究基地内で窓から飛び去るクエーサーを見送ったドクター・サムソンは、病床の「サンダーボルト」ロス将軍の安否を気づかっていた。ロス将軍はうわごとで、娘のベティの名を呼ぶ。

 メキシコシティのホテルでは、ベティが夫のグレンと会っていた。二人の結婚は破局寸前ではあったが、グレンはまだ望みをつなごうと言葉をかける。だがベティは丁寧に突っぱね、何が起きようと私たちはまだ友達でしょうと言い、去っていった。

 一方、バークレイの共同住宅では、ハルクがフライパンの中の食事をむしゃむしゃ食べているのを住人たちが遠巻きに見ていた。ガンサーたちはトリッシュとフレッドに、なんで怪物がここに居るんだ、なぜ生きた爆弾を連れてきてるとひそひそ声で抗議する。あわてて彼らを止めるフレッド。さらにガンサーは、奴はすでに一週間分の食い物を食っちまったと批難。周囲の声にハルクも不快になっていき、フライパンをねじ曲げ、ついにはテーブルを叩き粉砕してしまった。フレッドとトリッシュはハルクをなんとかなだめ、キッチンから出て行く。フレッドは、実際に何かした訳でもない者を拒絶した皆を批判し、地球で最も虐げられた人物に手を貸せないのかと憤る。寝室へ行きハルクは眠りについた。フレッドは、皆はどうしてしまったんだと失望を口にする。トリッシュはわからないわと言い、理想に燃えた'60年代が過ぎ去ってしまった事を噛みしめるのだった。

 一同の中の一人の男がキッチンから抜け出し外へ走った。あの怪物はブルジョア階級の危険な産物だと決めつけた彼は、電話で何処かへ通報した。電話を受けた男はハルクがバークレイにいるという情報を、コーポレーションへ連絡する。

 秘密組織コーポレーションのミスター・ジャクソンはその連絡を受け、組織の邪魔となっているハルクとマシンマンを両方処分できる一石二鳥の作戦を思いつく。

 バークレイの共同住宅の前にトラックが止まり、荷台からガスマスクをつけた工作員たちが降りた。彼らは住宅内に突入しガス弾を投げ込む。ハルクがいる部屋を発見した工作員はガス弾で部屋にいた3人を麻痺させた。そこへ突然、マシンマンが登場! 身動きが取れないハルクに自己紹介し、トリッシュ・スターを連れ去るから取り戻したければセントラル・シティのピーター・スパルディングの家まで来いと言い、トリッシュを抱えて高笑いしながら去っていった。怒るハルクだが体が動かずどうしようもない。

 外に出たマシンマントリッシュ工作員に渡してトラックの荷台に乗せた。マシンマンがマスクを外すと、別の男の顔が! これはマシンマンに化けてハルクを誘い出し両者をぶつけようという罠だったのだ。ハルクはまだ麻痺したまま部屋の中にいたが、怒りのあまり手が動き、部屋を吹き飛ばす。ハルクはあいつを地面に叩き込む!と叫び、フレッドを抱えて走り出すのだった。

 

 カービー以外のコミック作家が初めて書いた、マシンマンが出てくる話なのだが、御覧の通り出てくるのは偽者。これ以前にTHE INCREDIBLE HULKでもMACHINE MANでも登場していたコーポレーションの陰謀を軸にすることで、マシンマンとハルクをスムーズに対決させる段取りになっている。マシンマン本人の登場は次回だが、これでマシンマンがマーベルユニバースのキャラクターとして確定した。と同時に、マシンマンが作られたのが『2001年宇宙の旅』の世界なのかは微妙になる。ともあれ、これでマシンマンの活躍の場が大きく広がったのは確かだ。

 今回の舞台となる共同住宅は、'60年代のヒッピー・ムーブメントの中で自由を求めて集まった人たちの成れの果てを描いていて、これが書かれた'70年代末の状況が反映されている。かつてアウトローとして身を寄せ合ったはずの彼らがアウトローであるハルクを拒絶してしまうという、理想が現実に押し流されてしまった不条理と、どこへ行っても拒絶されるハルクの悲劇をリンクさせて描いていて巧い。

MACHINE MAN #9

1978年 DEC

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 マシンマンは陸軍兵士によって無事に発見された。本部へ同行したマシンマンは、私が破壊されたという報告は早すぎたねと言う。兵士たちの上官は、どうやって原爆から生き残ったのかと訊ねる。マシンマンは指のウェポンズ・システムを見せ、窓から外に出て実演してみせた。最大出力でレーザーを地面に発射して深い穴を開け、中へ飛び込んで爆発から逃れたのだった。そして放射能値が下がったころに、足裏のバネで飛び上がり穴から脱出したのだ。

 一方、クラッグ大佐の部屋では、帰還した大佐とスパルディングが、マシンマンが消滅したと思い、嘆いていた。ボードに写真が貼られているが、爆発した現場はめちゃくちゃになっており、マシンマンは爆発崩壊したとしか考えられなかった。我々は得難い才能を失ってしまったと嘆くスパルディング。きみや俺やこの国が抱えていた問題は解決されたと大佐は言うが、医師は、我々は問題を解決したのか、友人を失ったのかどちらだと反論する。クラッグは、俺は奴を金属カラクリ以上の何かとして見始めたことは認めると語り、俺はマシンマンを好きになり賞賛するようになっていたともらす。彼がそれを聞いたら喜んだだろうなと答えるスパルディング。

 そこへマシンマンが入ってきて、その言葉にはよろめくなと声をかける。マシンマンが生きていたことに驚愕する二人。すまない私は自分の葬儀に遅れたよとジョークを言うマシンマンに駆け寄り、誰でもブリキ幽霊に取り憑かれるのは嫌だからなあと答えて喜ぶスパルディング。ただただ驚くクラッグ。マシンマンはクラッグに相手の組織について訊ねられ、彼らはコーポレーションと言っていたと答える。

 マシンマンをコピーしようとした敵組織では、デュークという背広姿の男が、新型銃器のテストを監督中のコニックという片眼鏡の男のところへ出向いていた。デュークはビームライフルを撃つコニックに話しかけ呼び出し、ターゲットとしてマシンマンの写真を見せる。

 陸軍本部から出たマシンマンとスパルディング。マシンマンの耳はバッターアップと言う声をとらえる。近くのグラウンドでは兵士たちが野球をしていた。マシンマンは野球に参加することにした。バットを持って打席に立つ。投げられたボールを思い切りバットで打つと、ボールは粉々になってしまった。必要以上の力で叩いてしまったなと反省したマシンマンは、今度は守備につくことに。バッターが高く打ち上げたボールを、腕を伸ばして取ろうとする。その間にランナーが次の塁を狙うが、マシンマンはボールを取った腕を伸ばしてタッチアウトした。こんな奴反則じゃねえかと兵士たちがもめ始めたので、スパルディングはマシンマンをグラウンドから連れ出す。そういえば弁護士が来ると言ってなかったっけとマシンマンは訊ね、スパルディングは、審議の弁護にマイルズ・ベイカーという男を雇ったと答え、二人はベイカーに会いに向かった。

 マシンマンとスパルディングはマイルズ・ベイカーと対面するが、それはあの組織のコニックなのだ! ベイカーは二人に、マシンマンは世紀の社会問題だと言い、彼が公共の恐怖心を取り除くために、歩く武器庫というイメージを無くさねばならないと提案した。だが彼のスーツケースの中には小型の銃器が入っているのだ。私の防御メカニズムを全て取り外せということかというマシンマンに、それは攻撃メカニズムと見なされる、完全に武装解除しなければならないと指摘する弁護士。スパルディングはそれではマシンマンが格好の的になってしまうと反対するが、マシンマンは同意する。ベイカー弁護士はあなたの武装を無力化する中枢ユニットがあるかと訊ね、マシンマンは自分の人間の顔のマスクを外して機械の素顔を曝し、額のX-51のマークを押して武装のネットワークを解除した。そのあと、あなたも同じことをしないか?と言いながら、マシンマンは弁護士に掴みかかる。ポケットに金属反応があり、その中にはマシンマンの回路にダメージを与える小型の音波ビーム銃が入っていた。それを取り上げるマシンマン。この男はベイカー弁護士などではなく、組織が送り込んできた刺客なのだ。男を掴んで持ち上げるマシンマン

 だがマシンマンは突然衝撃を浴びる。男は腹にプラスチックでできた衝撃波装置を付けていたのだ。マシンマンは左手のパンチを伸ばして攻撃するが、男は伏せて避け、衝撃波を受けた時にマシンマンが床に落とした音波銃を拾い、撃つ。だがマシンマンは跳んでそれを避けながら組みつき、男を組み伏せ、銃と片眼鏡を奪った。男を説得して話を聞こうとするマシンマンとスパルディング。男は片眼鏡を返してくれ、そうしたら話すと答える。マシンマンは男のベルトの衝撃波装置も握り潰した。スパルディングはレンズを調べたが、何事もないようだった。男はレンズが二重になっていると言い、スパルディングがレンズを分解してみると、一方のレンズが太陽光を受けて火を噴き出した。あっという間に床に火が付き火災になる。男はそれに乗じて逃げ出した。マシンマンは額のX-51のスイッチを再び入れ、指のショック・ウェーブを撃ち込み、炎を吹き飛ばす。衝撃波で起こった真空により炎は消えたが、男の姿はすでになく、上空をヘリが飛び去っていった。敵はすべての事態に対応するよう準備していたのだ。

 ヘリに助けられた刺客の男コニックは、今回のミスから学び、次回へとファイトを燃やす。マシンマンたちは、コーポレーションの執念深さを知り、彼らを倒す次のチャンスを待つのだった。

 

 実はこの#9が、ジャック・カービーの書いた最後のマシンマンのストーリーなのだ。そんな重要な回であるのに、マシンマンが野球をやるシーンなど入れてしまうのがカービーらしくて楽しい。逆に、マシンマンを捕らえたギャングの正体などは明かされずに終わってしまうが、それはあえてこのあとの続きに託しているのだろう。マシンマンの話は2001: A SPACE ODYSSEY #8から数えて12号にわたって展開してきたが、ストーリーの区切りが数号完結だったこともあり、実際読むとかなり短く感じて、まだまだこのキャラクターやストーリーには伸びしろが残っていて、もったいないと思ってしまう。

 この時期に連載されていたカービーのタイトルは'78年にばたばたと終了した。'70年代後半にマーベルでスタートしたカービーの3つのオリジナルタイトルのうちの1つであるTHE ETERNALSは'78年1月号(#19)で先に終了。ファンタスティック・フォーで登場したヒーローがスピンオフしたBLACK PANTHER誌はMACHINE MANより1ヶ月早く'78年11月号(#12)で終わり。そしてMACHINE MANと同時にスタートしたDEVIL DINOSAURは同じく12月号(#9)で完結し、すべての連載が終了している。これには、ジャック・カービーが、この時期に2回目のアニメ化をすることになったファンタスティック・フォーの製作に加わったためという理由がある。その後もカービーは'80年代前半はアニメの仕事に移り、そのあとマーベルで連載を担当することはなかった。

 だがマシンマンの物語はこのあとも続くことになる。ここまでで創られたマシンマンのキャラクターは、かなり有望視されていたということではないだろうか。2001年宇宙の旅がスタート地点ではあったが、マシンマンと人間の対立・対決を描いているうちに、人間の仲間に入れないキャラクターが、軍に追われ逃げながら活躍する展開となる。考えてみるとこれは、カービーの代表キャラクターの一つであるハルクの展開だ。マシンマンは'70年代版ハルクという見方もできるのだ。そして#9の巻末にも書いてあるが、ストーリーはそれから4ヶ月後に出るTHE INCREDIBLE HULK #234-237へと続く。このつなぎ方のハイセンスさ加減は見事という他ない。

 このコミックが収録された合本は

 https://www.amazon.co.jp/dp/0785195777/

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MACHINE MAN #8

1978年 NOV

EDITED, WRITTEN, AND DRAWN BY: JACK KIRBY

 

 スパルディング医師を人質に取ったギャング風の男は、スクリーンからマシンマンを脅迫する。彼らはマシンマンのコピーのロボットを量産する気なのだ。取引に応じれば医師は家に帰れると脅す男に、マシンマンはスパルディングの様子を映してくれと言う。画面では縛られたスパルディングがヘリに乗せられるところが映された。どこかの道路へ行って彼を離す準備があると男は言う。マシンマンはなんとかこのミサイル・サイロから脱出せねばと思い、足のマグネットを使って壁を登ろうとするが、側に銃口があって、動くなと警告される。銃口から酸が発射され、マシンマンが動くと溶かされてしまうのだ。

 一方、審議委員会では、一同がマシンマン行方不明に頭を悩ませていた。ブリックマンだけは、反マシンマンキャンペーンをうって名を上げてきて、これをチャンスに上院議員の座を狙っている。文句があるならマシンマンを連れてきたらどうだとふてぶてしい態度のブリックマン。委員はクラッグ大佐に望みをかけて連絡する。

 すでに大佐はマシンマン捜索のためジェット機で飛んでいた。唯一の手がかりは、スパルディングの家の側で発見された、スキー板のような跡だ。それがヘリコプターの着陸スキッドだと推理したクラッグは、ついにヘリを発見した。大佐はヘリのパイロットを捕らえようと考える。そいつがマシンマンの行方を知っているはずだ!

 その間にも、ミサイル・サイロに閉じ込められたマシンマンにはガンマ線が照射され、内部メカを透視されるピンチに曝されていた。なんとかここから脱出しなければ。足のハッチを開けて、右手の指を2本外し、足の内部にセット。これで、指のハンド・ウェポン・システムの動力が足へ注入されたのだ。足裏から強烈な噴射が起こり、あっという間に飛び立つマシンマン。ミサイル・サイロを飛び出し上空に舞い上がったマシンマンは、着地したら周囲を警戒せねばと考えるが、着地前に音波砲が撃ち込まれ、撃ち落とされてしまった! 音波砲をかまえた男が迫り、マシンマンは特殊装備のトラックに入れられてしまう。罠に落ちたマシンマンだが、これが反撃のチャンスになるのか。

 ギャングのボスの前に引き出されるマシンマン。ボスは、マシンマンのすべてのメカニズムを解析しコピーを生産しようとしており、これでコーポレーションは大もうけだと言う。ボスはマシンマンに音波砲を浴びせて倒し、部下に運ばせる。

 クラッグ大佐は本部に戻っていた。ヘリを捕らえてスパルディングを発見した大佐だったが、ヘリのパイロットは何も喋らず、マシンマンの行方の手がかりは途絶えていた。スパルディングはどうやって彼を発見するのかと不安がるが、大佐はお前が飛んできたルートをたどればいいと言い、それが唯一の希望だ、我々はマシンマンを必ず連れて帰ると語る。マシンマンを助けようとする大佐の心境の変化に驚くスパルディング。

 そのマシンマンは意識を失ったままギャングの秘密基地にてベッドに横たえられ、内部分析の機械にかけられていた。体内に走査線が浴びせられたことでマシンマンは復活。指からビームを発射し、装置を吹き飛ばす。ボスは音波を撃てと命じるが、マシンマンは岩陰に潜んでギャングたちから隠れ、火炎放射で音波砲を溶かす。ギャングたちはチタン鋼製のハッチを閉じて逃げ、ボスはホロコースト・ボックスのスイッチを入れ、俺たちは脱出する、お前もあと10分の命だと言い捨てる。マシンマンは壁板を引きはがして部屋へ侵入しホロコースト・ボックスを見たが、すでに核爆弾のスイッチは入り、さらに核爆弾は地下深くに設置されているため今から停止に向かっても間に合わない! 生き残るチャンスはギャングが使った脱出経路しかないと考えたマシンマンは、壁を崩し、赤外線アイでギャングたちの足跡を発見、あとを追った。

 鉄道レールを発見したマシンマン。これを使って脱出しなければ死だ。マシンマンは腕キャタピラを出し、転輪を取り外して足に取り付けた。ギャングたちは脱出車で逃げていたが、後ろからマシンマンが足の転輪をレールに乗せて追ってくるのを知り驚く。果たしてマシンマンは脱出に間に合うのか?

 クラッグ大佐とスパルディングはジェット機でギャングの飛行経路を捜していたが、なかなか見つけられずにいた。弱音を吐くスパルディングに、よく見ろ、集中しろと怒鳴る大佐。その時、スパルディングが前方を指さす。眼前の山の頂上が吹き飛び、爆発したのだ。

 

 マシンマン脱出編。メカを駆使し、あの手この手を使うのはマシンマンならではで、盛り上がる。指を抜いて足にセットするのは衝撃だった。#1で出た腕キャタピラが再登場し、しかも裏技的な使い方なのが素晴らしい。また、クラッグ大佐がスパルディング以上にマシンマン発見に尽力しているのがグッと来るところだ。

 スパルディングをさらいマシンマン量産を狙う敵組織はコーポレーションと名乗る。この秘密結社はこの少し前の'76年、DEADLY HANDS OF KUNG FU #22のホワイトタイガーの話で初登場したあと、当時のTHE INCREDIBLE HULKやCAPTAIN AMERICAで暗躍していた組織なのだ。この号までは、マシンマンの話の舞台はマーベルのキャラクターが住むマーベルユニバースかどうか言及されていなかった。むしろ2001: A SPACE ODYSSEY #9ではマーベルヒーローは子供が読んでいるコミックのフィクションキャラクターとしてのみ出ていて、あくまで舞台は『2001年宇宙の旅』につながる何処かだったのだが、ここでこの組織が出たことで他のコミックとのリンクが出来、以後の展開に影響していく。

 このコミックが収録された合本は

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MACHINE MAN #7

1978年 OCT

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY: JACK KIRBY

 

 テン・フォーとの戦いを終えたあと、マシンマンは特別国会委員会へ出頭していた。マシンマンの知人としてスパルディング医師が付き添っていて彼の弁護をし、冷静に答えるようにアドバイスしている。世界を守るために腕を失ったマシンマンだったが、政府により修理され腕を取り戻していた。委員会が問題にしているのは、連邦裁判所からモデルX-51の破棄命令が出ている事で、宇宙ロボットから地球を救ったマシンマンの功績を認めてそれを無効と判断するか実行するか審議しているのだ。4人の委員のうちの1人に、彼はほとんど人間みたいだと言われ、自分はあなたがたに劣らず人間的だとマシンマンは答える。スパルディングも、人間の最も良い性質は人類だけにとどまらないのですと発言し、マシンマンを助ける。審議はマシンマンが模範的な態度だったこともあって、次回の招聘にも出頭するように言われて開放された。

 街へ出る二人。よくやったなと言うスパルディングに、あなたの家に泊めてもらって緊張がほぐれたからさと答えるマシンマン。だが彼らの前に、プラカードを持った市民たちが集まってきた。彼らはマシンマンを危険視し、おまえの火炎放射器とレーザービームを引っこ抜けと野次る。待ってくれ、よく知りもしないのに不公平だぞとスパルディングは言い、取りなそうとするが、マシンマンは突然腕を伸ばす。皆が驚く中、マシンマンの腕はある男の頭を殴りつけた。その男は、騒ぎに乗じて横の紳士の財布をすろうとしていたのだ。警官につき出されるスリ。一同は一転してマシンマンを称える。

 それを建物の中から見ているのは、クラッグ大佐と、下院議員で政府の特殊安全保障機関のブリックマンだ。今はマシンマンが群衆の支持を得ているなと言うブリックマン。大佐はマシンマンを作った計画の警備中の話をし、アイデンティティを失った機械人間によって部下や左目を失った事を語る。

 一方、マシンマンとスパルディングの乗る車が走る道の行き先には、一人の男がリモコンを持ちロボットを操っていた。この男は自分の技術をアピールし有名になるために、自作のロボット、パラトロンでマシンマンを倒そうと考えたのだ。車の前に立ちはだかり、怪力で車を持ち上げるパラトロン。車から飛び降りるスパルディングとマシンマン。パラトロンはマシンマンにパンチを浴びせる。こいつと戦うよりリモコンで操っている者を見つけなければと言うマシンマン迫るパラトロンだが、マシンマンは足裏のバネで弾き返した。隠れて操作している男は、思わぬピンチに本気を出す。敵ロボットはなおも組みつき、マシンマンを組み伏せパンチを浴びせるが、マシンマンは指の火炎放射を浴びせパラトロンを炎上させた。あわてて林の中からとび出してきた男は、ハイラム・ガーク教授と名乗り、わたしの弁護士から連絡があるからなと怒るが、マシンマンはパラトロンが燃え残った石ころを返してやり、受け取ったハイラムはあちちちとわめくのだった。

 スパルディングは、審議が終わる前にあらゆる種類の変人に出くわす羽目になるかなと言い、マシンマン有名税だよと答える。マシンマンはパラトロンに転がされた車を元に戻し、スパルディングが運転して再び走り始めた。マシンマンはアーロン・スタックという名は父が付けてくれた、父は自分を生き残らせるために死んだと語り、スパルディングは名前をもらった息子は父をがっかりさせないだろう、自由のために戦い、勝利を得ようと励ましてくれた。

 スパルディングの家に着いた。明日も審議が続くため、スパルディングはガウンを着て、もう休んだらどうだと言う。マシンマンはスパルディングの蔵書を読んでコンピューターに情報を貯えていた。きみに夜食は必要ないなと言われて、マシンマンは自分は純粋なエネルギーでないと駄目だよと答える。スパルディングは、ならば壁のソケットから電気を取ってくれと言い、あなたを客として迎えられて嬉しいよと言う。あなたの助けがなかったら私はもっとみじめだっただろうとマシンマンは答え、二人は握手した。スパルディングはまた明日といって部屋から出ていく。マシンマンは手首のハッチを開けて中のボリュームをセットした。これは目覚まし時計なのだ。マシンマンも眠ることができるのだ。スパルディングは私が夢を見ることができると知ったら驚くだろうなと考えながら、マシンマンは眠りについた。

 翌日朝6:30。この日も審議に出席しなければならない。マシンマンは、私にはよい弁護人がいると考えながらスパルディングの部屋に行くが、ベッドはもぬけの殻だった。テーブルにはメモが残されていて、スパルディングは預かった、彼の命が惜しければ指示に従えと書いてあった。家から出たマシンマンを男が待ち受けていた。

 マシンマンが姿を消したことが報道され、人々は再び不審感を募らせる。皆は批難の言葉を口にし、様々な憶測が飛ぶ。ブリックマンはインタビューに、この厄介者の危険から市民が守られねばならないと発言。審議委員会はクラッグ大佐にマシンマンは逃走したのだと思うかと訊ねるが、大佐は否定し、マシンマンは争いを避けようとしていると指摘する。ブリックマンは大佐にマシンマン捜索の任務を課すが、これまでマシンマンを憎んでいた大佐の言動が柔らかくなっていることに驚く。大佐も私はちょうど憎しみを抱くのをやめたところだと答え、マシンマンやスパルディングを捜すため出て行く。委員たちはブリックマンに、大佐をマシンマンにぶつけるため利用していると口々に批難する。この件を利用して政治的な立場を確立しようとしているブリックマンは委員たちの意見にまったく悪びれない。委員たちは我々の助力は当てにしないことだと言うが、ブリックマンは自信たっぷりに、マシンマンを破壊することはここ10年で最も人気がある娯楽になるだろうと宣言する。

 男はマシンマンをヘリに乗せ移動するが、突然スイッチを入れ、マシンマンはヘリから落とされた。真下にミサイル・サイロの穴があり、長い穴に落下。普通の人間なら死んでいるところだが、マシンマンはなんとか着地に成功する。そこにモニターがあり、スパルディングを連れ去った黒幕が葉巻を持って登場した。その後ろに映るスパルディングはマシンマンに逃げろと叫ぶ。こいつらはきみのコピーを作るつもりだと!

 

 前半にリモコンロボット対マシンマンが見られるのもポイント高いのだが、今回メインとなっているのはマシンマンと人間の対話や対立が描かれることだ。マシンマンを人間として扱い献身的にサポートし、頼れる友人として活躍するスパルディング。審議委員会はマシンマンの誠実さを認めていて、これまで追われるだけだったマシンマンが権力側から認められたのは意外だ。マシンマンに対し批判したり喝采したりと勝手な民衆。そして、これまでマシンマンを追う敵として登場していたクラッグ大佐は、前回のことでマシンマンを評価し態度を変えているのが驚きだ。

 その一方、新たな権力側の対立者としてブリックマンが登場、態度がでかくて面白い。最後に新たな悪役も登場し、期待が高まる。

 このコミックが収録された合本は

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2019年冬コミ発行の同人誌「スティーブ・ガーバー先生の隠れた名作 A. BIZARRO」の訂正につきまして

2019年の冬のコミックマーケットで頒布いたしました同人誌「スティーブ・ガーバー先生の隠れた名作 A. BIZARRO」にミスがありましたのでお知らせします。

4ページ、7ページ、11ページの数カ所にて、レックス・ルーサーの秘書の名を「エリクサ」と記載している部分があるのですが、「リスカ」が正しいです。

お詫びして訂正します。

          アメコマー菅野(アメコミ向上委員会)

MACHINE MAN #6

1978年 SEP

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 マシンマンは目を望遠鏡のように伸ばして宇宙を観察する。太陽系外縁部に奇妙な現象が観察される。オートクロン艦隊が地球へ向けてワープアウトするためのゲートが出現しようとしているのだ。マシンマンは仮装パーティーから出て行くが、そこへ兵士が殺到してきた。クラッグ大佐がマシンマンを探知し、彼を捕らえるために追っ手を指し向けているのだ。天井をぶち抜いて上の階へ移り、手を伸ばして別のビルへ逃れるマシンマン。指揮を取るクラッグのところへスパルディング医師と共にA.B.S.テレビのトレーシー・ワーナーが駆けつけた。彼が必要だというのに、犯罪者のように追うのは間違っていると言うスパルディング。マシンマンは落ち込み苦悩していると言うトレーシー。大佐はいまだにXモデルによって部下や左目を失ったことにこだわっていたが、二人は彼を批難し説得しようとする。

 そこへテン・フォーが引っ立てられてきた。銃を向けられているが気にもしていない様子で、このジェスチャーももう終わりだ、新たなゲームの始まりだと言ってのける。宇宙から来たマシンマンだわと驚くトレーシー。オートクロンだと自己紹介するテン・フォー。スパルディングは生きる悪夢めと罵りテン・フォーに吊し上げられた。

 マシンマンは道でタクシーに乗り込んでいた。タクシーの運転手は黒人で、突然入ってきた機械の男を嫌がり乗車拒否しようとする。だが話しているうちに差別されている同士気が合い、タクシーはマシンマンを乗せて走る。前方に爆発が見え、マシンマンはタクシーを降り、この運転手バーニー・ベイツと握手し、現場へ向かった。

 足裏のバネを使い急ぐマシンマン。兵士が倒れている中を走っていき、ついにテン・フォーと対面する。テン・フォーは手からのブラストを放つがマシンマンはそれより早く組みついた! テン・フォーの顔を掴み攻撃しようとするマシンマン。その時、大爆発が起こった。驚くマシンマン。これは核エネルギー! テン・フォーの胸には核分裂装置が搭載されており、こいつは歩く核爆弾なのだ。テン・フォーは、超新星サイズの爆発も起こせるぞと言う。右腕を伸ばしてパンチを打ち込むマシンマンだが、テン・フォーは腕を掴みへし折ってしまった。さらに足から爪を出してキック。それを避けたマシンマンは、高圧電流を相手に流しダウンさせた。動けなくなったテン・フォーに、マシンマンは目のレンズに模様を出して催眠術をかけ、テン・フォーを眠らせた。マシンマンの勝利だ。

 兵士たちが近づいてきて、今度はマシンマンに銃を向ける。そこへクラッグ大佐、スパルディング医師、トレーシーの3人が駆けつけた。ライフルを下ろさせろと叫ぶスパルディング。マシンマンは自分の頭蓋骨の中の発信器で執拗に追跡してきたことを批難し、大佐は反論するが、こんなことをしている時間はない。侵略艦隊が迫っているのだ。スパルディングとトレーシーに指摘され、マシンマンはこの周囲から皆が離れるよう指示する。クラッグ大佐の指揮のもと、全員が撤退。倒れているテン・フォーとマシンマンだけが残された。

 マシンマンは作動しなくなった右腕を切り離すと、テン・フォーの胸部メカを組み替えていく。おまえが残忍な方法を取っていなかったら、私は人類に味方せず中立のままでいたかもしれないとつぶやくマシンマン。彼は超新星並みの威力を起こせるテン・フォーの核分裂装置を利用しようというのだ。艦隊が到着する場所を計算したマシンマンは、前と同じく次元の壁を開き、動かぬテン・フォーを宇宙へ送り込んだ。次元の壁が閉じ、マシンマンだけが残される。

 木星軌道上にオートクロンの侵略艦隊がタッチダウンしてきた。艦隊指揮官は、危険な物体が進路に探知されたことを知る。それはテン・フォーの体であった。マシンマンに仕掛けられた通り、テン・フォーは大爆発を起こし、艦隊は消滅するのだった。

 

 テン・フォー編完結。機械人間であるマシンマンは何度も悩みに押しつぶされそうになるが、人間との関わりを経て立ち直り、テン・フォーと戦う。二人のロボットの超兵器の応酬が楽しい。テン・フォーを倒したマシンマンが、同じ機械人間であるテン・フォーに同胞としての言葉をかけるシーンがグッとくる。

 4話にもわたって大活躍したテン・フォーはマシンマンのライバルとして創られたキャラクターだが、ここで消滅してしまい、以後オートクロンがマシンマンと戦うことがないのは非常に残念。しかしオートクロン帝国は滅亡したわけではないようで、テン・サーティフォーという同型機が「マキシマム・セキュリティ」クロスオーバーに登場したことがある。魅力的な設定とデザインの敵ロボットなので、今後また登場してほしいところだ。

 このコミックが収録された合本は

https://www.amazon.co.jp/dp/0785195777/

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コミックマーケット97にサークル参加します

アメコマー菅野のアメコミ同人誌サークル「アメコミ向上委員会」は、2019年12月28日(土)に開催されるコミックマーケット97にサークル参加します。スペースは南地区 マ-38bです。

 

頒布予定の同人誌をお知らせします。

 

ティーブ・ガーバーの隠れた名作A. BIZARRO   【新刊】

:1999年のA. BIZARROミニシリーズの紹介本です! スティーブ・ガーバー先生の魅力をお伝えしたく!

 

みなさんMAXX #1を読んでみて!

:サム・キースのオリジナルコミックMAXX #1をみなさん読んでみてください!という本です!

 

銀鷹

:シルバーエイジ・ホークマンの紹介本です。輝かしいゴールデンエイジ・ヒーロー「ホークマン」をシルバーエイジで再始動するにあたり、ガードナー・フォックスはどんな構成にしたか?その魅力は?を語ります。

 

ジャック・カービーファンタスティック・フォー -接触篇-

ジャック・カービーが描いた、ファンタスティック・フォーが登場するコミックを、Fantastic Four #21まで御紹介。マーベルのシルバーエイジ開幕を感じていただければ!

 

ジャック・カービーファンタスティック・フォー -発動篇-

:上記の続刊。カービーのアートが加速度的に進化していき、マーベルユニバースも広がっていく醍醐味を是非!

 

これが基本だ!リージョン・オブ・スーパーヒーローズ

:千年後の未来の少年少女スーパーヒーローチーム リージョン・オブ・スーパーヒーローズの誕生を御紹介!

 

続・これが基本だ!リージョン・オブ・スーパーヒーローズ

:上記の続刊。リージョンのストーリーやキャラクターを御紹介! リージョン新タイトル刊行のこのタイミングで是非どうぞ!

 

たとえ赤狩り人とよばれても 【委託】

:サークル「恐竜と電波塔」のラジアクさんからの委託です。'50年代に一時期復活したキャプテン・アメリカについての愛あふれる紹介同人誌です!

コミックマーケット96にサークル参加します

アメコマー菅野のアメコミ同人誌サークル「アメコミ向上委員会」は、2019年8月10日(土)に開催されるコミックマーケット96にサークル参加します。スペースは西地区 あ-06bです。

 

頒布予定の同人誌をお知らせします。

 

みなさんMAXX #1を読んでみて! 【新刊】

:サム・キースのMAXX #1をみなさん読んでみてください!という本です!

 

銀鷹 【5月のアメコミONLYイベントTEAM UP 13での新刊】

:シルバーエイジ・ホークマンの紹介本です。輝かしいゴールデンエイジ・ヒーロー「ホークマン」をシルバーエイジで再始動するにあたり、ガードナー・フォックスはどんな構成にしたか?その魅力は?を語ります。

 

JKGA

:シルバーエイジのグリーンアローは、一時期ジャック・カービーが描いていた時期があるのです。この時期の魅力、そしてグリーンアローのオリジンとは!

 

ジャック・カービーファンタスティック・フォー -接触篇-

ジャック・カービーが描いた、ファンタスティック・フォーが登場するコミックを、Fantastic Four #21まで御紹介。マーベルのシルバーエイジ開幕を感じていただければ!

 

ジャック・カービーファンタスティック・フォー -発動篇-

:上記の続刊。カービーのアートが加速度的に進化していき、マーベルユニバースも広がっていく醍醐味を是非!

 

はみだしっ子達明日をゆく 【委託】【新刊】

:サークル「道野塵芥」のアメージング太郎さんからの委託。マルチバースを旅するヒーローチーム、エグザイルズの紹介同人誌。Exiles(第1シリーズ)のTPBのVol.5-7までのエピソードを紹介。

 

地図を持たないトラベラー 【委託】

:サークル「道野塵芥」のアメージング太郎さんからの委託。エグザイルズの紹介同人誌。Exiles(第1シリーズ)のTPBのVol.2-4までのエピソードを紹介。当日はアメージング太郎さんもスペースにおります。

 

ラビットホールをのぞいてみたら 【委託】

:サークル「道野塵芥」のアメージング太郎さんからの委託。エグザイルズの紹介同人誌。Exiles(第1シリーズ)のVol.1のエピソードを紹介。この方の同人誌は丁寧な調べ物の上での記載が素敵です。

 

当日はよろしくお願いします!

また、アメコミとは関係ありませんが、8月12日(月)西地区 す-01bA Jewel of a Camera」というカメラサークルにも所属しており、新刊「Kamera Manisch #10」には私は「エンボイ・ワイドアングル」という英国広角中判カメラの紹介を書いております。よろしければそちらもどうぞ。

MACHINE MAN #5

1978年 AUG

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 街でテン・フォーとマシンマンが対峙する。マシンマンはテン・フォーの手からのブラストをかわして相手の胴体に足を磁力で張り付け壁に叩きつける。だがテン・フォーは胸からビームを発射し、直撃を受けたマシンマンはダメージを受け街灯にもたれかかった。テン・フォーは怪力で街灯をねじ曲げてマシンマンに巻き付け、マシンマンを蹴飛ばしてビルに叩き込んだ。同じ機械人だが自分たちオートクロンの方が優れていると誇るテン・フォー。マシンマンは街灯を投げ返し、再び立ち上がる。

 だがテン・フォーは目からのビームで前面にバリアを張りマシンマンとの戦いを止めた。そこへ軍が殺到、二人に銃を向ける。マシンマンはテン・フォーの危険性を説明しようとするが、テン・フォーは狡猾にも自分の身を守っていただけだと言う。彼の言うことは聞くなと激昂するマシンマンは兵士に取り押さえられ、手を上げ軍に従う態度を示すテン・フォーは対照的に落ち着き払っている。軍の指揮官に、こいつのせいで宇宙から艦隊が迫っているとマシンマンは主張するが、おとぎ話だとテン・フォーは言い、軍は二人とも捕らえようとする。明日になれば宇宙艦隊が飛来し何千人もの侵略者が現れるぞと叫ぶマシンマンだったが、彼には政府から捜査命令が出ていたこともあり、聞いてもらえない。結局マシンマンは兵士たちを振り払ってその場を飛び去るしかなかった。自分の精一杯の誠意にもかかわらず聞く耳を持たない人間に憤るマシンマン

 セントラル・シティの病院には、クラッグ大佐がスパルディング医師にマシンマンをかくまっていただろうと尋問していた。あいかわらずマシンマンを敵視している大佐だが、スパルディングはいまマシンマンを捕らえれば我々は破滅だと、テン・フォーの脅威について説明する。自分の信念に頑固な大佐はこれが信じられないようだが、マシンマンの協力を認めるのか…?

 軍から逃れたマシンマンは煙突の上に座ってどうしようか考えていたが、仮装大会の会場の窓からそれを見ていた一団が彼に声をかけてきた。腕を伸ばして窓へ移動し、中へ入るマシンマン。パーティーの皆はロボットの仮装をした飛び入りが来たと歓迎したり、ちょっかいを出してやっつけられたり、陽気に楽しむ。トレーシー・ワーナーという女性がマシンマンにダンスを申し込む。彼女はテレビ局で仕事をしており、マシンマンのことを知っていた。踊り終わったあと彼女はマシンマンにテレビを見せるが、その特別ニュースにはスパルディング医師が出演し、マシンマンにきみの力が必要なんだと呼びかけていた。先ほど軍に事情を説明したのに聞き入れてもらえなかったマシンマンは、私を利用したあと手のひらを返すんだろうと疑う。スパルディングは、協力してくれれば軍が恩赦に同意したと発表するが、マシンマンは笑って、それで喜んで出て行くと音波ライフルを持った部隊が待ちかまえているんだろうと言い、信用しない。トレーシーはマシンマンに自己紹介し、彼を心配して、なぜ男の仕事を放棄して不平を言ってるのかと問う。その通り、男の仕事は男がやればいいんだと答えるマシンマン。なぜ自分を人類から切り離すようなことを言ってまで義務から逃げるのかというトレーシーに、マシンマンはマスクを外して機械の素顔を見せる。トレーシーは驚き、マシンマンに詫びつつ、彼の前から立ち去った。自分の態度に嫌悪を抱き拳を振り下ろすマシンマン

 別の銀河では、テン・フォーの信号を受けたオートクロン艦隊が行動を開始していた。艦隊の旗艦に通信が伝達され、指揮官は第三惑星地球へ向けて各艦のスタードライブを作動させるよう命令を下した。完全攻撃態勢を取った宇宙艦隊が地球へ迫る!

 軍に逮捕されたテン・フォーをクラッグ大佐とスパルディング医師が訪ねていた。最初はとぼけるテン・フォー。だがスパルディングとクラッグはマシンマンが兵士に伝えたテン・フォーの脅威について聞いており、侵略艦隊へ信号を送っただろうと訊ねる。テン・フォーは態度を変え、オートクロンの攻撃には反撃不能だと答え、自分たちの邪魔をするマシンマンへ敵対心を露わにするのだった。どうなる地球!

 

 テン・フォーと五角の戦いをするマシンマンだが、敵は狡猾にも人間の不審感を利用してマシンマンをおとしいれる。憤慨し、またもや人間不信におちいるマシンマンだが、ここで仮装パーティーのヘンテコなシーンが登場するのがカービーらしく、面白い場面の末にマシンマンが立ち直るきっかけが得られる。

 また、これまでマシンマンをひたすら敵視し頭の堅い軍人として描かれてきたクラッグ大佐が、スパルディングから聞いた地球の危機に態度を変えるのもポイント。テン・フォーのような機械人オートクロンの艦隊も初めて描かれ、次のクライマックスへ向けて盛り上がっていく。

 このコミックが収録された合本は

https://www.amazon.co.jp/dp/0785195777/

で購入できるので、是非!

MACHINE MAN #4

1978年 JUL

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 スパルディング医師はマシンマンの指示を受けながら、テン・フォーによって取り付けられた目眩シリンダーの除去に挑む。頭脳ユニットを引き出し、マシンマンの指レーザーを使ってシリンダーを切除することに成功した! 早く宇宙ロボットを追わねば。と、突然壁が崩れる。外ではマシンマンを追ってきた軍とテン・フォーが戦っているのだ。スパルディングは、我々には奴をこの世界にもたらしてしまった責任があると言う。マシンマンは足裏のマグネットを使って建物を垂直に降り、最短距離を通って何が起きたか確かめに行く。

 走って行くと、目茶苦茶に破壊された軍の車両や、傷ついた兵士たちがいた。テン・フォーは卑劣・横柄・残虐的な性質の持ち主であり、地球の軍を蹴散らしてしまったのだ。マシンマンは物陰から軍の部隊を見る。全員が負傷しボロボロになっているが、クラッグ大佐は2体目の機械人の出現にますますファイトを燃やしており、考える機械は街の中心地へ向かった。生きた機械の実験を続けるインテリどもをやめさせるのだと部下を叱咤する。

 セントラル・シティの路地裏では、突如壁が割れ、とんでもない勢いでぶっ飛んでいき、車などを粉砕。テン・フォーが現れたのだ。テン・フォーはこの惑星にまだオートクロン帝国が手をつけていないことに驚き、この田舎惑星に初めて自分が侵攻するのだと考える。周囲の人々は、突然現れた青い金属の男に驚く。

 一方マシンマンは、自分も人間に嫌われ追われている身でテン・フォーを止めるため戦うことに矛盾を感じ悩んでいた。そんな彼に、死んだ父アベルの幻影が話しかけ励ます。自暴自棄になったマシンマンは、自分は人間ではない、政府の秘密プロジェクトで作られた製品なんだと激昂し、父が作ってくれたマスクを投げ捨ててしまう。だが、おまえは私の息子だと語りかける父の言葉にやっと心を開いた。父は、人間と同じように恐怖と嫌悪を克服するんだと励まし、アーロンは捨てたマスクを拾い再び顔に付けた。そこへ、一人の兵士が忍び寄ってきており、音波ピストルを向けて動くなと命じる。味方を呼ぶ兵士だが、マシンマンは腕を伸ばして木の枝を掴んで脱出、さらに次元転移装置を試してみた。この装置は転移場所の調整ができない弱点があったが、マシンマンは転移に挑み、とある食堂に出現。店内の人々は突然機械の男が現れたのに驚く。街へ出たマシンマンはテン・フォーを探し、パトカーが走っているのを見かけて足裏のバネを使ってジャンプしパトカーの天井に着地。逮捕すると言う警官に、このまま事件現場まで連れていってくれたらお役に立てると説明し現場に到着した。現場の警官たちもマシンマンを警戒するが、あなたがたでは対処できないことを助けるために少しの時間をくださいと説得。

 テン・フォーと対峙するマシンマン。人間に味方するマシンマンをテン・フォーは嘲笑し、俺に反抗するとこうなるぜと言いながらフェイス・オープン! 開いた顔から強烈なビームが発射されビルを崩した。この街の全てを破壊してやると言うテン・フォーに、マシンマンは指についているハンド・ウェポン・システムから火炎を発射。火だるまになったテン・フォーは、ロケットブーツを噴射し飛び去り、高速で飛行し火炎を消すと、再び着地しオートクロンとしての使命を再開した。マシンマンは手を伸ばして通りかかったヘリに捕まって移動しテン・フォーを追跡。再び宇宙ロボットと対峙するマシンマンだが、敵は腕をアンテナに変形させ、宇宙のオートクロンたちに信号を送っていた。早くなんとかしなければ、地球にオートクロンたちがやって来てしまうのだ!

 

 自己のアイデンティティに悩むマシンマンはあれほどこだわっていた人間の顔のマスクを投げ捨てるが、父の幻影に励まされ自分を取り戻す。悩めるヒーローとしての描写と、自分を取り戻した時の開放感が良い。

 地球ロボット対宇宙ロボット! ライバル悪役であるテン・フォーは、機械ではない肉の体を持つ人類を軽蔑しきっている一方、マシンマンについてはまだしも同類として認めている言動がみられ、こんな奴ばかりで構成されているオートクロン帝国について示唆される。テン・フォーはマシンマンに負けない装備を内蔵しており、秘密兵器フェイス・オープンはカービーらしいおもちゃ的ギミックとして面白い。この戦闘では火炎放射を浴びせたマシンマンがやや有利だが、まだまだこの二人の戦いは続くのだ。

 このコミックが収録された合本は

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MACHINE MAN #3

1978年 JUN

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 マシンマンは宇宙飛行士の頭部に手をやり、指から展開した装置によって男の思考を感知し目から映像を投影して、彼がどのようなものを見てきたのかを映し出した。そこには、別の星系の巨大な太陽と、その重力に引かれ捕らえられている異星の宇宙船が見えた。気が狂っていると思われていたこの男は、深宇宙探査で目撃した危機を伝えようとしていたのだ。あの異星宇宙船の主は、太陽に引き込まれる危険から逃れるため、人間の知覚を利用して次元を超えたコンタクトを取ろうとしているのだ。宇宙飛行士の男はマシンマンの能力を知り協力を求める。

 一方、マシンマンを追うクラッグ大佐はマシンマンを探知し、音波砲などの兵器を持ってセントラル・シティへと出動していく。研究所の機械人間の暴走で部下や左目を失った彼は復讐戦に挑む。

 病院ではマシンマンがスパルディング医師に、自分の部品を使って組み立てたアンテナを見せていた。マシンマンはこのアンテナで銀河の向こうとアクセスしようというのだ。と、アンテナはひとりでに起動し、恐ろしい風が起こり次元の壁が開いて向こうへ吹いていく。次元の向こうの宇宙が見え、部屋の家具が流されていく。マシンマンはスパルディングをドア向こうへ避難させ、手足に吸盤を出して体を固定し、アンテナを掴んでなんとか次元の壁を閉じようと操作する。壁は閉じた。スパルディング医師はめちゃくちゃになった部屋に入ってきた。マシンマンは、あの宇宙船の人物にここの位置を知られてしまったと言う。

 病院の外では、クラッグ大佐率いる軍の部隊が展開していた。音波砲を備え付け、戦闘準備を調えた部隊は、大佐の指令を待つ。

 病室ではマシンマンが次元アンテナを設置していた。怯える宇宙飛行士。次元アンテナを起動させると、人型をした影が見え始め、こちらに実体化した。青い金属のボディを持つその怪人は、時空を超えることは我がオートクロンでも高位の者しかなし得ないと言う。登場した機械人を見たマシンマンは、彼も人間のような心を持っているだろうと言うが、しかし相手はオートクロン帝国には心は要らぬと答えた。ベッドに寝ている宇宙飛行士を見た機械人は、この壊れやすい肉でできた生物はコミュニケーション装置として有効だったが、効率が悪いため生かしておいても仕方がないと言う。機械人を止めようとしたスパルディングだが、機械人が目から発したビームを浴びて動きを止められてしまった。機械人はマシンマンに、なぜこの肉袋をそんなに心配するのだと言う。幸い、スパルディングが浴びたのは短時間の停滞光線だった。マシンマンは機械人を危険と考え、次元アンテナで相手を元の銀河に送り返すと言うが、機械人は手からブラストを発射しアンテナを溶かしてしまった。機械人はテン・フォーと名乗り、大量虐殺の1級スペシャリストだと語る。

 そこへ、軍の砲撃が始まった。砲撃のエネルギーを吸収したテン・フォーは外の兵士に反撃しに出向くため、まずマシンマンの頭部に目眩シリンダーを打ち込み行動を妨げた。思考を乱されうずくまるマシンマン。テン・フォーは壁に空いた穴から飛び出していってしまった。停滞光線から回復したスパルディングはマシンマンに駆け寄る。早く目眩シリンダーを除去しテン・フォーを止めねばならない。地球に外宇宙のロボットの危機が到来したのだ。

 

 小さいアンテナで次元の壁を開けたりそこから異星のロボットが到来したりととんでもない話を経て、マシンマンのライバルとして異星ロボットのテン・フォーが登場。全4話にわたって暴れ回る。地球ロボットで心を持つマシンマンとは対比される存在だ。テン・フォーはまだ顔見せで、真の力を発揮していない。この話ではやられっぱなしのマシンマンだが、果たして宇宙ロボットに勝てるのか!?

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MACHINE MAN #2

1978年 MAY

 WRITTEN, EDITED, AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 森の中で、マシンマンは悪夢を見ていた。自分の体は拘束され、まわりにはロボットたちが群がり、お前は我々と同じ機械だ、それを拒絶するなと迫り、アーロン・スタックの人工皮膚の顔をはがして素顔を暴き追いつめる。私は一人の人間だ、平和に生きる権利がある!と絶叫しながら目を覚ますマシンマン。彼は精神的に追いつめられていた。さらに、音波攻撃により反重力装置の配線が切断されているため逃亡にも支障が出ている。と、すぐ側の道を軍の車両が通過し、マシンマンは地面に伏せ、この場からも去らなければと思いながら、軍が自分を的確に迫ってくることに疑問を持つ。マシンマンの頭蓋骨に反応する探知機を持った軍のクラッグ大佐だがいまだマシンマンを発見できず部下を叱咤していた。

 マシンマンはガソリンスタンドにやってきて、店員にタイヤを売ってくれと言う。いきなりロボットがやってきてそんな事を言い出すので驚く店員は店主に相談。店主は売ってもいいが買う金はあるのかと訊ねる。マシンマンはその場に落ちていた石を手に取り両手で握りしめ、高圧と高温をかけ、このままでは危ないと急速冷却し、できた物を店主に渡した。ただの石だったものはダイヤモンドに変わっており、店の二人は驚く。マシンマンはタイヤを手に入れた。

 一方セントラル・シティの精神病棟では、看護婦がスパルディング医師に、0号室の患者が目を覚ましましたと報告に来た。病院に向かうスパルディング。患者は宇宙飛行士だったが、目を覚ましてから何かを恐れるように叫び続けるので、ベッドに拘束されていた。スパルディングは患者を落ちつかせようと語りかけるが、患者は狂乱しながら「磁気片にチャージして超次元コンバーターの出力を中断しろ!」「軌道が最大空間時間率を外れている!」と専門用語をわめき散らすため、薬を打たれて眠らされる。不可思議な患者に驚く同僚だが、スパルディングはあくまで冷静で、彼がどうしてこうなったのかはいずれ解明されるだろうと自信を見せ、もっと不可思議な話として機械の男に出会った話をするのだった。

 マシンマンを追う軍の部隊はガソリンスタンドに到着し、店員を無視して店内に突入し窓を破壊したりしながら捜索を開始した。と、壁を崩して登場したのは、買ったタイヤを足に接続し簡易三輪サイクルを作ったマシンマンだった。マシンマン・サイクルは一跳びで軍部隊を跳び越しあっという間に逃走する。軍を振り切ったマシンマンは二人連れのバイクの走り屋を驚かせ、セントラル・シティへ入った。目的地が近くなったので、マシンマンは目立ちすぎるサイクルを分離し徒歩で進む。

 夜。スパルディング医師はあの患者について考えていた。患者は外宇宙へ飛び立った宇宙飛行士だったのだが、彼に何が起きたのだろうか。パイプをくわえライターを手にし火をつけようとするスパルディング、だがその時レーザーが飛び火がついた。マシンマンが訪ねてきたのだ。どうやってここに?と問う医師に、レーザービームで窓枠を切ったと答えるマシンマンは、自分には隠れ家と友人が必要だと打ち明け、スパルディングも友人として助けになろうと請け合う。

 だが突如マシンマンは異星の通信が入ったと騒ぎはじめた。そして目から天井に受信した映像を投写する。それは異星の星系だった。スパルディングは倍率を上げるようにいい、巨大な太陽のプロミネンスの間に異星の宇宙船がいるのを発見する。映像はそこで途切れた。スパルディングはマシンマンに外宇宙へ出た宇宙飛行士の患者がいると話し、マシンマンはその人物があの映像通信の発信源だと答え、二人は0号室へ急ぐ。0号室では目を覚ました患者が恐怖でわめいていた。彼の言う恐怖とは一体何者なのか?

 

 #2ではタイヤを手に入れ三輪サイクルを組み立て逃走するマシンマンがメインだが、#1で登場したスパルディング医師の病院にいる患者を発端にして物語が動き出していく。

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MACHINE MAN #1

1978年 APR

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 マシンマンは腕を伸ばし、高山の岩壁から落ちそうになっているフレディという男を救おうとする。フレディの友人の登山者たちは、この機械の男の機能を見て驚く。マシンマンの伸びた腕からはシリンダーが何本も飛び出してハシゴのようになり、眼下で危機におちいっている男を掴もうとするが、寸前でフレディは落下してしまった! マシンマンは飛び降り、伸ばした腕で男の足を掴み、重力制御で浮き上がり、登山者たちのところへ戻ってきた。感謝すると同時に、この機械の男を作った高度な技術を驚きの目で見る一同。私のことはマシンマンと呼んでくれと言い、機械の男は垂直な岩壁を歩いて去っていった。

 ブロードハースト博士の研究室に、政府から派遣された官僚が来訪していた。男は博士が研究していた知能を持つ人間型の機械Xモデルについて問いただす。博士は、新たな人類として製作されたロボットたちはアイデンティティ崩壊という共通した病気を持ってしまったと語る。それ故ロボットたちは暴走し警備隊に死傷者まで出てしまっている。そしてその最終モデルは生きた人間のような精神を持つに至ったが、博士はその理由を、アベル・スタックという心理学者がX-51に人工の皮膚をつけて人間の顔を与え自分の息子アーロン・スタックとして育てたためだと説明する。そのため人間の心を持つに至ったアーロンはこの計画の最後の希望なのだと語る博士。だが政府官僚は全てのXモデルには破壊指令が下っていると言い、最後の一体が外の世界をさまよっているのは明白だと指摘、Xモデルのプロジェクトはすでにあなたの管轄から外れていると知らせ、X-51の破壊を発表した。

 森を歩くマシンマンは倒木で道をふさがれ立ち往生しているピーター・スパルディングという男と出会い、巨木を持ち上げ彼を助ける。スパルディングはお礼にマシンマンを自分のバンに乗るように誘う。スパルディングは精神科医で、知性を持つ機械であるマシンマンと会話しながら車を進める。

 街についたところでマシンマンは車から降りる。スパルディングは何かあったらセントラル・シティを訪ねてくれと言って別れた。足に車輪と板を出して両足をつなげスケートボードに変形させ、渋滞する車の間をすり抜けて進むマシンマン。その姿は警官の目にとまってしまい、マシンマンは追われるが、スケートボードモードをやめて超音速で飛び去った。

 だがそれで窮地を脱した訳ではなかった。ブロードハースト博士の研究室には無数の兵士がやって来ており、彼らの指揮を取るクラッグ大佐は、過去のXモデルに部下の警備兵を殺されたことを恨みに思っており、X-51抹殺に執念を燃やす。ブロードハースト博士は科学が産んだ知性という奇跡は貴重だと説くが、大佐は聞く耳持たず、X-51の頭蓋骨に反応する探知機を受け取り去っていった。

 郊外へ退避したマシンマンだが、そこへ軍のヘリが飛来し音波ライフルで攻撃してきた。攻撃を受け反重力装置が機能しなくなったマシンマン。彼は自分に破壊指令が下ったことを知り、フィンガー・ウェポンズ・システムを開き火炎放射で周囲に炎を放つ。展開する歩兵たちは慌てながらもマシンマンを発見し銃撃。マシンマンも指からのブラストで反撃。混乱の中、気が付くとマシンマンの姿はなかった。腕キャタピラで茂みの中を進み脱出したのだ。だが彼には助けが必要だ。マシンマンはピーター・スパルディングのことを思い出し、彼を訪ねようと考えるのだった。

 

 MACHINE MAN #1だが、2001: A SPACE ODYSSEY #8から続いているストーリーのため、実質的には4話目。主人公の名前はミスター・マシンから、よりヒーローらしいマシンマンに変わった。マシンマン内蔵の超装備が次から次へと出てきて読者の心をぐいっと引き込む。

 マシンマンが得た人口知性を重要な技術と考える科学者ブロードハースト博士に対し、破壊しようと動く政府や軍が描かれ、緊張感が高まる。そんな中、マシンマンに信頼できる知人スパルディングが登場し、ドラマは動き出していく。

 このコミックが収録された合本は

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2001: A SPACE ODYSSEY #10

1977年 SEPT

EDITED, WRITTEN + DRAWN BY JACK KIRBY

 

 オリビア、ジェリー、ミスター・マシンの三人は、町の保安官のところへ行き、卵型の飛行機械に襲撃されたことを話す。突拍子もない話に、信じられない様子の保安官だが、ミスター・マシンは現場に行ってみれば残骸が発見できると言う。ジェリーは、ヒドラ党がミスター・マシンを捕まえに来たんだよ、でも大丈夫、ニック・フューリーたちが助けに来てくれるからと言い、オリビアはコミックの話ばかりする弟をたしなめる。保安官は機械人間が実在しているのに驚いている。保安官はこのあとどこへ行くのかと訊ね、姉弟はうちに泊まってとミスター・マシンを招待した。

 一方、地下に隠された秘密基地では、ミスター・ホットラインが部下のクリンジから、カプセル機の残骸の始末が完了したと報告を受けていた。この秘密結社自慢の兵器であるカプセル攻撃機が撃退されたことに恐怖するクリンジ。ミスター・ホットラインは、あれは極秘とされるXモデルだと答える。彼らはハーデス神を信仰する一党であり、全地球をマインドコントロールする計画を立てているのだ。ミスター・ホットラインがモニターの前で祈りを捧げると、悪魔のようなハーデス神の姿が登場。ハーデス神は、そやつの秘密を探ることで全ての者をコントロール下に置く方法を得ることができると言い、そのXモデルを連れてこいと命じた。

 ジェリーの家に滞在するミスター・マシン。オリビアとジェリーの父は機械の男の訪問を驚きつつも歓迎してくれた。ミスター・マシンをコミックの中のスーパーヒーローと思っているジェリーの視線はずっと彼に釘付けだ。家族につれて訊ねられ、彼は自分の父はアベル・スタックで、自分にアーロンという名をつけてくれたと答える。ジェリーの父はミスター・マシンが有名な科学者であるアベル・スタックの息子だと名乗ったことに驚き、アベル・スタックは最近亡くなったはずだがと言う。その言葉に衝撃を受けるミスター・マシン。ジェリーの父は、アベルが爆死したと新聞に出ていたことを伝える。父アベルの死を知ったミスター・マシンを皆はなぐさめようとするが、そこへ武装した戦闘員三人が乱入し、銃を向けて、家族を傷つけたくなければ同行しろと命じる。

 ミスター・ホットラインの前に引き出されるミスター・マシン。戦闘員を一撃し、銃弾をはね返すミスター・マシンだが、怪人物ミスター・ホットラインはあの家族を人質にしていると脅す。怒るミスター・マシンではあったがここは従うしかない。彼は固定具に入れられ研究室に運ばれ、技術者たちにX線透過装置で体の秘密を調べられ、ボディのジョイントを解体され両腕・両足・胴体・頭に六分割されてしまった。ミスター・ホットラインは、X-51の意識をつかさどる頭部のみをマインド・モニターのところへ運ぶよう部下に指示する。ミスター・マシンは敵の一団が地球をアリの巣のような意志のない世界にする目的だと知った。ミスター・ホットラインは別室に退避してからマインド・モニターを起動。ミスター・マシンの前にハーデス神が現れる。邪悪な姿を見て、自分の魂を奪うつもりかと叫ぶミスター・マシン。ハーデス神の目からエネルギーが発せられ、X-51の頭脳部分へ強烈な電流がながされその機構を探りはじめた! だがX-51の防衛機構が発動、頭部からテレビジョン・トランスミッティング・ユニットが飛び出し、送信を開始する。

 電波を受けたミスター・マシンの手足が、離れた別室の中で動き出す。分解した手足が突然活動しはじめたことに驚く技術者たち。手足は技術者たちを叩きのめし、胴体のところに歩いていって自分たちと胴体をつなぎあわせた。異変を知った戦闘員たちが銃やバズーカを手に部屋へ向かい、扉を破ろうとするが、扉は逆に内部からの炎で破られ、頭部がないX-51の体が躍り出て、壁を突き抜けて頭部のある部屋へと到着した。

 ミスター・マシンの頭部は胴体に接続された。彼は眼前の悪魔的な像に立ち向かい、指からのブラストを発射する。ガラスの割れた音がして、そこに残されたのは破壊されたモニターだけだった。あの悪魔は、ただのホログラムだった。このハーデス神教団を支配するために作られたイメージだったのだ。ミスター・マシンは、教団をつかさどるスーパーコンピューターを発見する。彼はコンピューターの画面にジェリーたちの家で爆弾を持って家族を人質に取っている戦闘員を映し出し、コンピューターを操作して爆弾を融解させる。家族は戦闘員が倒れたことに驚き、父はオリビアに保安官へ電話するように言い、戦闘員を縛り上げる。誰が助けてくれたんだろうと言うジェリー。父は、おまえのスーパーヒーローかもなと答えるのだった。

 ミスター・マシンは教団の施設の天井を破って脱出していた。施設は彼がコンピューターを暴走させたことで大爆発を起こした。ミスター・ホットラインはカルト教団を支配する邪悪な天才だった。ミスター・マシンは、人々の自由を守るという自分の運命を初めて自覚するのだった。

 

 この号が、コミック版2001: A SPACE ODYSSEYの最終回だ。モノリスはもはや登場せず、内容は映画を大きく外れ、ロボットヒーロー対カルト教団に偽装した科学結社という、とんでもないストーリーになっている。ハーデス神の名で登場する悪魔は最後に本物ではないと明かされるものの、ミスター・マシンと悪魔の対峙はとても違和感があって面白い。怪人物ミスター・ホットラインの正体は、結局明かされないまま終わる。X-51の腕や足が一本一本独立して暴れまわるシーンはとても可笑しい。

 そして、ロボットヒーローが主人公となったことでこのタイトルは終了し、新たに彼の独立タイトルがスタートするのだ。

2001: A SPACE ODYSSEY #9

1977年 AUG

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 機械の顔をさらしたまま、拘束を脱したX-51は行動を開始する。彼は自分の顔が奪い取られたことに激しく怒っていた。扉のダイヤルを回し、セットされていた音波バズーカ砲の攻撃をかわし、指に仕込まれた火炎放射器で砲を焼き払う。その先の扉を破ったX-51は兵士たちを蹴散らして捕らえ、自分の顔がどこにあるのか激しい調子で聞く。だがその兵士は知らない。兵士を指からの軽いビームで気絶させた彼はヘルメットと銃を奪い、頭部の脳の位置にあるコンピューターで兵士の喋った言葉を組み替え「急ぎ部隊へ伝達せよ、機械は牢から脱出した」と通信。あわてて一部隊が鉄の扉を開き入ってくる。扉の影に隠れていたX-51はさっと外へ出て扉を閉じてしまった。彼は求めるものを探しに向かう。

 一方オフィスでは、クラッグ大佐とブロードハースト博士が衝突していた。大佐がX-51から顔を取り外したことを、彼の唯一のアイデンティティーを奪ってしまったのだと説明する博士。それをはなから馬鹿にする大佐に、博士は考える機械に悲しい偏見があるなと答える。神は彼を助け賜うという博士に、あれはただの機械だ、お前はXモデルの破壊命令を出しただろうと言う大佐。X-51は別だ、彼は損なわれないままであらねばならないと反論する博士。そこへX-51脱出の報告が届く。クラッグ大佐は前と同じく音波兵器を使ってバラバラにすべきだと主張し、ハイネスも同意するが、ブロードハースト博士は拒否し、兵士の抵抗を止めさせろと命じる。そんな事をすれば部下の兵士は虐殺されると大佐は憤り、お前は奴がここを出て行くのを許すつもりだなと言う。博士はその通りだと答え、お互いの信念と信頼をもたらすつもりだと宣言した。

 X-51は兵士たちの抵抗と戦う。鉄の防御壁をひねり潰し、兵士たちを弾きとばし、音波ライフルを持つ兵士に飛びかかって持ち上げた。そこへ別の兵士たちが入ってきた。戦いはやめよう、自分たちは話し合いに来た、あなたがこの施設から出て行く許可が出たのだと言う兵士。彼らの言葉を信じてついていくと、技師は自分が求めていたアーロン・スタックの顔を取り付けてくれた。喜びお礼を言うアーロン。さらに兵士はアーロンが持っていたコスチュームも返してくれた。技師は人間そっくりな言動をするアーロンに驚き言葉をかけるが、アーロンは自分の目だけはロボットにしか見えないけどねと返す。自分のことはミスター・マシンと呼んでくれと言い残し、彼は施設から飛び立っていった。それを見送るブロードハースト博士は、我々はあの鳥を籠に収めておくことはできないと言う。クラッグ大佐は、お前は世界の危険を解き放っただけだと怒る。だがブロードハーストはX-51に発信装置を仕掛ける指示を出していた。X-51の所在は人工衛星にモニターされているのだ。

 飛翔していったミスター・マシンは着地し、無用の危険を防ぐため目立たないように道路を歩こうと考える。その彼の前に、モノリスが現れた。彼に脱出をうながしたモノリスは、次に彼をどのように導くのか。そこへ男の子が現れ、彼をみて驚き、まるでマーベル・スーパーヒーローみたいだと感激して言う。この男の子ジェリーの姉オリビアの車がこの近くでパンクしていて、二人は立ち往生していたのだ。ミスター・マシンは車を片手で持ち上げタイヤを交換する。驚きつつも感謝したオリビアは、彼を車に乗せてくれ、三人は走り始めた。

 一方、怪しい黒い車に乗ったマスクの怪紳士ミスター・ホットラインは、運転手クリンジからXモデルの一体が破壊されずに逃れたと報告を受ける。細かい状況を伝えない運転手に、報告は正確にせよと威圧した怪紳士は、マイクを取って通信を始めた。

 車で走る三人。ミスター・マシンは何らかの信号を受信した。スーパーヒーロー大好きなジェリーは、アベンジャーズファンタスティック・フォーからのメッセージかなあ、ドクター・ドゥームが来るのかもとはしゃぐ。そこへ、卵形のカプセルが三機飛んできて攻撃しはじめた。車から降りたX-51は、足のシャフトを軸に足首を回転させて地面に埋めて足場を固定し、足のシャフトを伸ばして頭からカプセル機に突っ込み一機目を撃破。二機目は着陸し、乗員は音波砲をかまえて狙いをつける。だがそれが発射される前に、X-51の目は相手をターゲットスコープに捕らえ、衝撃波を撃ち込んだ。三機目は、カプセル機に装備された火器で攻撃してきたが、X-51は突撃しカプセル機は粉砕された。やったぜスーパーヒーロー!と喜ぶジェリー。心配するオリビア。ミスター・マシンは二人を巻き込んでしまったことを詫びる。オリビアは、攻撃されたことを警察に言わなくちゃと言い、三人はこの場を去る。だがその様子は、ミスター・ホットラインたちに監視されていた。

 

 X-51は、父が作ってくれた人間の顔を取り戻すために激闘。人間に反逆するのも、機械ではあるが人間として生きたいという彼の目標ゆえであり、彼の願いが強く感じられる。

 X-51を解き放つブロードハースト博士だが、決していい人だからではなく、秘かに発信装置をつけて追跡するなど、人間としての自我を持ったロボットがどう動いていくのか知りたいという科学者としての冷徹な目的があるのがシビアだ。

 ジェリーはミスター・マシンをマーベル・スーパーヒーローの一員ではないかと言う。後には本当にそうなるのだが、ここではコミック狂の少年がコミックと現実をごっちゃにして喋っている風で、マーベルユニバースの世界観とは分けて描かれている。一方、明らかにヴィランな怪紳士が登場し、ストーリーは急速にスーパーヒーローものになっていく。