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THE UNCANNY X-MEN #371

1999年 AUG

ALAN DAVIS : PLOT  JIMMY CHEUNG : GUEST PENCILS  TERRY KAVANAGH : SCRIPT

 

 地球へ戻るスクラル宇宙船の中で、プロフェッサー・チャールズ・エグゼビアは悪夢に苦しんでいた。過去に共に戦ったサンダーバードマジックジョセフの死を思い出した彼は、自分の周囲でたくさんのX-MENが倒れている夢を見る。彼の指導は本当は間違っていたのではないか? 周りの人間を死に追いやっているだけではないのか? 最近も、スクラル人の居住惑星がギャラクタスによって壊滅し、その星の80億人のスクラル人が死滅するのを止められなかった。精神的な重圧から、チャールズ・エグゼビアは悲鳴を上げる。

 教授の声に、宇宙船内のX-MENは驚いて駆け寄る。目覚めたチャールズはびっしょり汗をかいていた。スクラル人の星が崩壊したあと、宇宙船は自動操縦で地球へ戻っている。

 その地球では、マシンマンS.H.I.E.L.D.の部隊の攻撃を受けていた。地上の戦闘員と空中のヘリや飛行部隊から激しい銃撃を受ける。崖に追いつめられたマシンマンは攻撃部隊の方へ向きなおり突進するが、エージェントが撃った特殊弾がボディへ吸着すると、強力な電撃が走り煙を吹いて機能停止してしまう。マシンマンを確保したS.H.I.E.L.D.のエージェントたちは、このハードウェアは新たなプロジェクト:デスロックに使用されると言う。

 スクラル宇宙船は地球へ接近していた。チャールズは最近の自分の態度についてストームに謝るが、ストームは謝る必要なんてないですよと答える。コロッサスマロウに声をかける。マロウは窓ガラスに自分の顔を映して、彼女のミュータント能力のため骨が飛び出た顔を気にしていたが、絵を描き芸術的な趣向をもつコロッサスは美的な形だよと言い、マロウは喜ぶ。

 操縦席からシャドウキャットことキティ・プライドが、着陸場所をどうするか聞いてきた。スクラル宇宙船のサイズでは、X-MENの基地セイラムセンターへの着陸は不都合があるだろうと言うキティ。イトクローラことカート・ワグナーは元エクスカリバーの基地がある英国のミューアを提案する。

 X-MEN本部の屋敷にいたローグは、通信の音を聞いて飛んでいく。スクリーンに宇宙船の一同が映り、ミューア島に降下すると伝えてきた。ローグは一行の中にガンビットがいるのを見て、レミーは生きてたと喜ぶ。

 北大西洋4万フィート上空のS.H.I.E.L.D.のヘリキャリア内の研究室では、捕獲したマシンマンの解体作業が進んでいた。彼らは新たなプロジェクト:デスロックにパーツを使うつもりなのだ。以前の任務で重傷を負ったある男が生命維持ポッドに入れられ、目だけでその様子を見ていた。科学者たちは、このエージェントに改良された脳・神経系を与えられればそれで良いと話し合っている。

 スクラル宇宙船はミューア島のドッグに着陸した。宇宙船から降りるX-MEN。コロッサスは宇宙船の外装がボロボロになっているのを見て、想像以上に危険な状態だったのを指摘し、ウルヴァリンはラッキーだったぜと答える。これから食事でもどうかと話しているシャドウキャットたちだが、教授はすぐここを出ると言う。グロックや新婚のキャプテン・ブリテンメガン夫妻に会っていかれないのですかと訊ねるキティだが、教授は焦っているようだった。ストームは休養が必要だと言い、教授もしぶしぶ認める。

 S.H.I.E.L.D.のヘリキャリアでは、どう見てもマッドサイエンティストに製作されたような新たな機械人間ボディを見て、司令官ニック・フューリーが激怒していた。彼はこの計画を知らされていなかったのだ。S.H.I.E.L.D.はアメリカの国民に説明責任がある連邦防衛組織だぞと怒鳴りつける。だがそこへ、このプロジェクトの責任者ソール少佐が現れ、以前ケーブルがヘリキャリアを破壊した事件があり、またマグニートの行動によりS.H.I.E.L.D.の処理能力が不足していることで、議会がミュータントを危険視した結果だと説明。さらに、ミューア島にてテクノ・ウイルスのエネルギー波が検知された事、島に巨大飛行物体が着陸した事を報告する。

 そのミューア島にて、アメリカへ帰還するX-MENジェット機をシャドウキャット、コロッサス、ナイトクローラの三人は見送る。彼らは離れの小屋に明かりがついてるのを見つけ、ダグロックがいるのかと小屋に行ってみる。

 ジェット機の中では、教授が変わらず苦悩していた。後部座席ではガンビットが自分の能力でマロウを傷つけたことを謝っていたが、気にしていないわとマロウに抱きつかれて驚く。

 小屋に入ったナイトクローラたちはパソコンを調べ、ダグロックがいたらしい事を知る。外に出てダグロックを呼ぶ三人だが、飛行機のソニックブームの爆音が聞こえた。驚きそちらへ向かう三人。S.H.I.E.L.D.にいた経験のあるキティは、S.H.I.E.L.D.のシャトルの音のようだったと言う。向かった先には地面がむき出しになっており、キティは地面にあった灰にテクノウイルスの残渣を発見。よく見ると、周囲にはまるでうねった木のようにテクノウイルスの有機機械が伸びていた。有機機械人間だったウォーロック由来のボディを持つダグロックに何かあったのではと心配するキティ。

 ミューア島の南方ではS.H.I.E.L.D.のエージェントが探索を行っていたが、突如地面から有機機械が伸び襲われる。続いて、全身のテクノウイルスが暴走し異様が状態となったダグロックが出現し、叫び声を上げた!

 

 THE DAWN OF  M TECH編と名付けられた連作シリーズ第1話。X-MEN側としては、前回までの宇宙での事件後の帰還と、英国でのダグロックの異変が描かれる。一方S.H.I.E.L.D.側では、マシンマンを捕獲し新たなデスロックを製作というかなりマッドな作戦が展開しており、ニック・フューリーにも止められない状況だ。

 ダグロックは英国のミュータントチーム、エクスカリバーに所属していたヒーローで、元々ニューミュータンツにいた言語能力者のミュータント、サイファーことダグ・ラムジーと、機械生命体ウォーロックが死後融合したキャラクターだった。

 パーツ取りのためにX-51がS.H.I.E.L.D.に捕獲されるというのはあまりに唐突で、アベンジャーズにも所属しある程度知名度のあるマシンマンに対してよくこんな作戦が認められたなと思うが、陰謀が進行しているのが見られ、盛り上がる。