アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN #17

1980年 OCT

TOM DEFALCO -- A WRITER OF RENOWN

STEVE DITKO -- THE BEST ARTIST AROUND!

 

 バロン・ブリムストーンとの戦いを終え、パメラを救うために外した左腕を回収しに向かったマシンマンだったが、左腕は無くなっていた。誰かが盗んでいったのだ。マシンマンは胸のスイッチを操作して左腕と交信しようと試みるが、交信範囲外だった。近くではブリムストーンの部下の戦闘員たちが、ボスがやられたことで孤立し、警備員に煙幕弾を投げつけ逃走しようとしていた。それを見たマシンマンは左腕の捜索を中止して急行し、右手を伸ばして戦闘員を蹴散らす。後ろからライフルで狙われるが、伸ばした手で銃口をふさいで暴発させて防ぎ、全員を倒した。

 戦闘員を倒したマシンマンパメラを探す。パメラの姿を見ると、妙な当惑するような感覚をおぼえて戸惑うマシンマン。左腕がどこへいったのか訊くが、パメラは機械人間に怯え、異常事態が続いて混乱していたので憶えていないと答えた。仕方なくマシンマンはその場を飛び去る。

 実はマシンマンの左腕はクラガーという男が持ち去っていた。クラガーはマシンマンの左腕を入れた包みを持って、非合法の品を買ってくれる路地裏の倉庫に入っていった。中には奇妙なマスクをつけた集団がいて、クラガーはこの機械の左腕を買ってくれと売り込む。驚くべき物品を見たマスクの人物は、自分たちのボスへ連絡する。彼らのボス、ミズ・サンセット・ベインは美しい女性で、パーティーの真っ最中だった。そこへ執事が一枚の紙を持ってくる。紙に部下たちのかぶっているマスクのマークを見たサンセットは、パーティーの客に挨拶をし、その場を去る。

 マスクをした部下たちの前に現れたサンセットは、ボディースーツを着けアイメイクをして、裏の顔マダム・メナスとなっていた。目隠しをされマダム・メナスらの本拠地へ連れてこられているクラガー。マダム・メナスはクラガーに、盗品などには普通興味を持たないのだが、千ドル払ってやると言う。ごねるクラガーに、自分が扱っている品の例として殺人ゴキブリを見せ、マダム・メナスはクラガーを恐怖に追い込む。クラガーは千ドルを受け取り引き下がった。軍の最新兵器として製作されたマシンマンの腕を手に入れたマダム・メナスは、マシンマンに罠を仕掛けロボットを大量生産しようと計略を巡らす。

 アーロン・スタックのアパートの部屋には、ピーター・スパルディングギアーズ・ガービンが集まり左腕を失ったマシンマンの心配をし、相談していた。ガービンは早く代わりの腕を作らねばと言う。スパルディングは最新メカであるマシンマンの腕が容易く作れないことに悩む。マシンマンは、自分の腕を取り戻さねばならないと言う。ガービンは裏から手をまわして腕を探してみると言い、出て行った。マシンマンはコートと帽子、サングラスで変装して、外へ出て行く。

 自分の腕について聞き込みをするため、荒くれ者が集まる酒場へやって来たマシンマン。カウンターへ行き、自分の腕の情報を求めていると言うマシンマン。奇妙なこの来客に声をかけた酒場の用心棒は、こういう腕だと機械の腕を見せられ驚き倒れる。マシンマンを叩きのめそうと、後ろから男が近づき椅子で殴りつけようとするが、マシンマンは振り向きもせず右手のパンチを伸ばして殴りとばした。ふっとんでいった男がテーブルにぶつかったことから、酒場では大喧嘩が起こってしまい、これではしょうがないとマシンマンは酒場をあとにしようとする。喧嘩に巻き込まれたが、マシンマンは右手を伸ばして電球を割り、真っ暗になった店から窓ガラスを割って脱出した。酷い目にあったと、足裏の車輪で走り、左腕の捜索は明日再開しようと帰宅するマシンマン

 翌朝。アーロン・スタックは出勤しなければならない。マシンマンは金属の折りたたみ椅子をねじ曲げて左腕に取り付け、急場しのぎの腕を取り付けた。デルマー保険に、左腕を捻挫したと言って、吊って出勤するアーロン。彼を心配するパメラ。アーロンを妬み陰口を言うエディマギー。アーロンは、前回のバロン・ブリムストーンの事件で被害にあったパメラが落ちついた日常に戻ったことを喜ぶ。一方パメラはアーロンの態度がよそよそしいのを気にし、ディナーに誘ってみるが、先約があるからと断られてしまった。彼は冷たい男よと言うマギー。

 退社したマシンマンはガービンのガレージに来ていた。ガービンはマシンマンに仮設された左腕を改造。先端が光るようになった左腕を、これは何だとマシンマンは訊ね、ガービンは自家製パワーブースターだ、元の左腕とのリンクをつなげるエネルギーを発信していると説明する。マシンマンは飛び立ち、左腕を探す。ある埠頭へたどり着いたマシンマンは、左腕の反応が倉庫にあることを探知し中へ入るが、待ちかまえていた電磁ビームで撃墜されてしまった。

 気が付くと、マシンマンの前にはマダム・メナスの姿があった。マダム・メナスが手にしたスイッチを入れると、左右の壁に仕込まれた電磁石が起動し、マシンマンの体は宙に固定されてしまった。マシンマンが人間のような反応をすることに興味を持つマダム・メナス。プログラマーにユーモアのセンスがあったんだろうと答えるマシンマン。マダム・メナスはマシンマンの売買のために、左腕を入れたスーツケースを持ってその場を立ち去った。

 宙に固定されたまま、脱出の方法を考えるマシンマン。動けない彼だが、手足を伸ばす機能は使えるようだ。マシンマンは右手と左足を伸ばして左右の壁を強烈な力で押し、電磁石を破壊。自由になったマシンマンはマダム・メナスの手下のマスクの男たちを倒し、メナスを追って飛び立つ。

 マダム・メナスはテロリストのザーコフの船にやって来ていた。ロボットについての商談を進める両者。だがマシンマンが飛来、三者入り乱れての大乱闘となる。ザーコフの部下の水兵たちが組みつくが、マシンマンは上半身を高速回転させて敵を海に吹き飛ばしてしまった。マダム・メナスはスーツケースに手をかけようとしていたザーコフを撃ち、ケースを取り返す。死期を悟ったザーコフは、船の爆破スイッチを押した。左腕を探していたマシンマンは時限爆弾を察知したが、船は大爆発。吹き飛ばされたマシンマンは、海中のスーツケースを探し当て、やっと左腕を取り戻す。喜ぶマシンマン。だがマダム・メナスは本当に死んだのだろうか?

 

 失われた左腕を探すマシンマンの前に、新悪役マダム・メナスが登場する。ここでデビューしたマダム・メナスことサンセット・ベインは、このあと様々なタイトルに登場してマーベルの悪役として成長し活躍し続けるキャラクターになっていく。

 マダム・メナスの部下は、顔全体にマスクをかぶった男たちで、のっぺらぼうのマスクをかぶったヒーロー、クエスチョンを思わせるような、スティーブ・ディッコらしいデザインだ。

 マシンマンの相棒として、スパルディング医師よりもギアーズ・ガービンの方に見せ場が作られていて、ライターのデファルコがガービンというキャラクターを育てようとしているのが見て取れる。

 このコミックが収録された合本は

 https://www.amazon.co.jp/dp/0785195777/

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