アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

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IRON MAN ANNUAL #11

1990年

ROY & DANN THOMAS : WRITERS

TOM MORGAN : PENCILER

 

 森の中の小屋に、マシンマンとその友人ピーター・スパルディングがいた。マシンマンジョキャスタの頭部に接続した装置を調整している。自分一人がロボットであるという孤独にさいなまれているマシンマンは、同じく心を持ったロボットであるジョキャスタを甦らせることに執着しており、いらいらするあまり、アーロンと呼びかけてきたピーターに、マシンマンまたはX-51と呼んでくれなどと呼んでくれと答えてしまう。ジョキャスタなら「エボリューショナリー・ウォー」事件の時に発見されたそうだよと言うピーターに、あなたも金属で出来た生命がどれだけ孤独か理解していないと返事するマシンマン。そこへ、小屋の壁を破って熊が入ってきた。手を伸ばしてピーターを遠ざけ、パンチを打ち込むマシンマンだが、逆に弾きとばされてしまう。それは本物の熊ではない、熊のような毛皮の外装が外れ、中から恐ろしげな金属の体が現れた!

 マシンマンはこのメカの熊に体当たりし、指からのレーザーを撃ち込み、拳から火炎放射を浴びせ、伸びる手でパンチを打ち込むが、相手はまったく動じない。メカの熊は鋭い爪で伸びた腕を掴み、力任せにマシンマンの左腕を引きちぎってしまった。なんと、左腕をバリバリ食う敵。重大なダメージを負ったマシンマンは自動退避モードに入っており、足裏のジェットを噴射して小屋から飛びだしていった。彼の伸びた手には、ジョキャスタの頭が握られていた。

 小屋に残されたピーターは、敵が金属を食うのを見て小屋にあったチタニウムを投げつけ、相手がそれにとびついている間に小屋から逃走する。だが敵の鈎爪が伸びてきて足を掴まれてしまった。この謎の金属生命体に踏みつけられ、ピーターの絶叫が上がる。

 トニー・スタークは機械製造の新興企業ベイントロニクス社を訪ね、社主のミズ・ベインと会っていた。サンセットと呼んでくれないかしらと言うベインは、ロボット製造の夢をトニーに語り、一緒にディナーでもと誘う。だがそこへベインの部下があわてて走って来て、偵察機のレーダーに何か映っていると言う。偵察やレーダーなどという言葉を聞き、トニーは異常事態が起こったことを知る。サンセット・ベインは挨拶もそこそこにあわてて去っていった。トニーもスーツケースを持って物陰へ隠れる。

 レーダーを見て、ミサイルではないかと言う部下に、なんとか止めなさいとわめくベイン。だがその時、アイアンマンが飛来した。アイアンマンは飛んできた物体めがけて降下する。物体はベイントロニクスの工場からは外れ、コロンビア川に向かっていた。アイアンマンは手のリパルサー光線の出力を調整して物体にブレーキをかけた。墜落した物体を見て、それがアベンジャーズのファイルにも記され、以前対面したこともある、マシンマンだと気付くアイアンマン。そしてマシンマンが胸に抱えているのはジョキャスタの頭部だ。ジョキャスタはキャプテン・アメリカアベンジャーズハイ・エボリューショナリーと戦った時、敵基地の爆発後に残骸が発見されたはずだがと考えながら、アイアンマンはマシンマンを抱えてベイントロニクスの工場へ戻る。

 着地したアイアンマンに何故ここにいるのか訊ねるベイン。自分はスターク社長の警備のため彼の行くところについていくのだと答えるアイアンマン。二人は工場内にマシンマンを運び込む。私はロボットの専門家よと言うベイン。アイアンマンはスターク氏のロサンゼルス工場にX-51を修理するための設備があると申し出るが、ベインは断る。アイアンマンはその場から飛び去った。

 自分が狙うマシンマンが労せず手に入ったことに喜ぶベイン。腹心のスタッフにマシンマンを運ばせ、他のスタッフにはボヤッとしてないで仕事に戻るのよと叱咤する。それを聞いた労働者たちは、スターク・エンタープライゼスに雇ってほしいよとぼやくのだった。

 悪女マダム・メナスの姿となったサンセット・ベインは、マシンマンを複製装置にかけるようドクター・ララビーに命じる。このシステムの一部はマシンマンの製作者であるブロードハースト博士の研究室から盗み出してきたものだ。溶けたチタニウムが型に流し込まれ、マシンマン2号機が作り出された。

 ベイントロニクスの表の工場では労働者たちが愚痴を言いつつ働いていたが、そこへあのメカ熊が襲来。爪で人間を襲い機械を壊して進む。この事態はベイン社長へ通報された。

 マダム・メナスは何が起きているのか判らなかったが、ロボットのようなものが暴れているのを知り、配下の戦闘員を向かわせる。そしてさらに、アイアンマンに戻ってほしいと連絡した。

 通信を受けたアイアンマンはUターンしベイントロニクス社へと飛ぶ。見ると工場の天井に大穴が空いている。入ってみて、中に機械なメカ怪物がいるのに驚くアイアンマン。メカ怪物はチタニウム材を食っていた。拳から怪物に突撃したアイアンマン。しかし敵は爪でアイアンマンを弾きかえした。壁に激突したアイアンマンは再び立ち上がり怪物と対峙する。秘密工場の方ではマダム・メナスが、アイアンマンが戦っている間にマシンマン複製を終わらせるのよと命じていた。アイアンマンは怪物にリパルサー光線を浴びせかけるが、怪物はそれに耐え再び爪でアイアンマンを弾きとばした。アイアンマンはこの怪物を見てターミナスという敵を思い出す。さらに爪でぶっとばされたアイアンマンは、そこに冷たい液体チタニウムを入れた巨大容器があるのを見つけ、敵を凍結させようと、それを持ち上げメカ怪物にぶっかけた。だがそれは裏目に出て、敵はチタニウムを吸収し大きくなってしまう。さらに爪で壁に叩きつけられるアイアンマン。

 秘密工場の壁は外の戦闘で崩されつつあった。マダム・メナスは、2機のマシンマンを運び出しなさい、危険に見合う金は払ってるはずよと命令するが、部下たちは壁を突き破って巨大な鈎爪が現れたのを見て命大事と逃げてしまう。その時マシンマンの意識が戻った。自分が知らない場所にいて、左腕が取れていることに驚く。自動退去が働いたんだと思い当たり、飛び上がったマシンマンは、聞こえてきた大きな音を調べに壁の穴の向こうへ出るが、そこでは巨大なメカとアイアンマンが戦っていた。

 アイアンマンを助けるため敵メカの腕に突撃するマシンマン。ここはどこだと問うマシンマンに、アイアンマンはベイントロニクス社だと答え、この怪物を知っているかと訊ねる。知っているが大きくなっていると言うマシンマン。アイアンマンはこの敵がターミナスというファンタスティック・フォークエーサーと戦った巨大ロボット怪物に似ていると言う。合流したマシンマンとアイアンマンは共にメカ怪物に向かっていく。敵の爪を工場の外板を持ち上げて盾にし防ぐアイアンマン。

 二人のヒーローは秘密工場の方へ移動。アイアンマンは凍てつく液体チタニウムを怪物にかけたあと怪物が成長してしまった事を話す。マシンマンも、食われた自分の左腕は主にチタニウムで出来ていたと言う。と、二人はそこにサンセット・ベインを見つけた。マダム・メナスのメイクをおとしていてよかったと思うベイン。怪物が侵入してきて、サンセット・ベインは踏みつぶされそうになるが、マシンマンが彼女を抱えて飛び上がった。マシンマンも自分の正体に気付いていないのに安堵するベイン。アイアンマンはそこでチタニウムを溶かす溶鉱炉を発見し、それを持ち上げ、熱く煮えたぎったチタニウムを怪物にぶっかけた。今度は溶けて動かなくなる怪物。冷たいチタニウムはこの怪物に必要だったが、熱いチタニウムは別の働きをして逆に害になったのだ。

 そこでラジオニュースが、動物の姿をしたロボットが大量発生していると報じる。テレビをつけると、ロボット動物たちが向かう先には、ベイントロニクス社の航空機工場があると報じていた。でも宣伝にはなるわと言うベイン。マシンマンはそこへ向かおうとアイアンマンに言う。ロボットの鳥、魚、昆虫までもが出現していた。ベインもこのモンスターを止めに行ってとアイアンマンに言う。アイアンマンもそれに同意。マシンマンは一人では行かせないと同行を提案。左腕が取れているが、本拠地に戻れば修理できると言う。二人のヒーローは飛び立った。

 結局マシンマンの複製を入手したベインは、それを元にしたロボットを売って再起できると、漁夫の利を得る。

 小屋に戻ったマシンマンは、親友ピーター・スパルディングの死体と対面する。小屋に戻っていたギアーズ・ガービンは、マシンマンと共に悲しむ。アイアンマンはマシンマンの左腕を元通りに取り付ける。マシンマンは、アイアンマンと共に行くよ、私もまた復讐者(アベンジャー)だと言い、二人は飛翔していくのだった。

 

 1990年のアベンジャーズ関連のANNUAL(年刊)誌5冊で展開したクロスオーバー「ターミナス・ファクター」第2話(第1話はCAPTAIN AMERICA ANNUAL #9)。各号、メインストーリーの他に、この事件をテレビニュース形式で描く話や、このクロスオーバーとは別の短編も収録している。ターミナスとは、ファンタスティック・フォーの敵として登場した宇宙の金属生命で破壊巨人。

 驚くべきことに、この内容はMACHINE MAN Vol.2ミニシリーズで語られた、ピーター・スパルディングが殺されサンセット・ベインがマシンマンを手に入れるという話になっている。過去や未来のストーリーラインをうまくつなげて物語を展開するのは、ライターのロイ・トーマスの得意とするところだ。この話からすると、2020年に登場したマシンマンは、この時作られた2号機だと考えられる。

 アイアンマンとマシンマンの共闘が楽しめる。金属光沢の影の付け方がとても格好良い。マシンマンを指して「X-15」と言っているシーンが多いが、X-51の誤植である。