アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN Vol.2 #1

1984年 OCT

TOM DEFALCO : SCRIPT

HERB TRIMPE : BREAKDOWNS

 

 西暦2020年9月23日ベイントロニクス社の最深部の倉庫#5で、整理ロボットIU-104/Eが広大な倉庫の中から不要コンテナを検索して動いていた。この場所は2007年に作られた。整理ロボットはDANGER PRIORITT RED 6と書かれたコンテナをロボットアームで引き出して運び、ベルトコンベアーに乗せる。コンテナは廃棄物輸送飛行機IU-72RTに積載され、IU-72RTはニューヨーク市に1999年に作られた廃棄場へ飛び、ゴミを落とした。

 ゴミ捨て場で、コンテナを発見した者たちがいた。ブレインと呼ばれる眼鏡に帽子の青年がコンテナを見つけて近寄る。スキンヘッドの体格がいい男スリックが、ママBならガラクタしか詰まっていないと言うかもしれんが、何か使えるものがあるか調べろと言う。短髪の女性ハッスルや、弁髪の女性スイフトは周囲を警戒。これはだいぶ古いなと言いながらブレインはコンテナを開ける。中からはまず、金属の面が出てきた。スイフトは空中で宙返りをしつつ近くへ着地し、スリックものぞき込んで、その人間の顔のような面を見る。だがそこで、ハッスルが空から近づいてくる光を発見し警告した。

 警備艇が飛来し、ブレインたちのような「ミッドナイト・レッカーズ」と呼ばれる抵抗グループを捕らえるために、地上から数体の銃を持ったロボット兵が近づいてきた。ハッスルはブラスターを撃ち警備艇の照明を破壊する。スイフトは体術を活かしロボット兵に跳び蹴り。ブレインはリュックから爆弾を投げつけ、ロボット兵は爆発する。スリックは鉄骨を持ち上げロボット兵をぶん殴る。さらに数体のロボット兵を銃撃したハッスルは、2丁拳銃警備艇を撃墜した。ブレインはコンテナを飛行機械に乗せ、4人は警備艇のパトロール隊員を尻目に逃走に成功する。パトロール隊員はそこに残された6番コンテナの蓋を発見する。

 翌朝、ベイントロニクス社本部では、社主のサンセット・ベインが、廃棄品盗人の取り締まりに失敗したパトロール隊員を叱責していた。反論する隊員に、私は結果しか求めてないのと言い、盗んだ相手を探し箱の中身を取り戻せと指示。隊員たちはマダム・ベインの命令に従い退出する。

 使えない部下にいらだつマダム・ベイン。昔は美しかった彼女も、すでに年をとり、なんとか若く見せる努力をしている。十分でしょう、貴女は70歳を過ぎてるのですよとカーテンの向こうから声をかけた謎の人物は、機械のような指だけ覗かせた。マダム・ベインは、盗まれた箱の中身のことを考え、あれには私の遠い過去が入っていると思い出すのだった。

 コンテナを盗み出した4人組はアジトへ戻っていた。ブレインはコンテナの中身を組み立てている。アンドロイドが組みあげられていた。ブレインは胸の装甲板を朱色に塗装しなおし、ボディにはめ込む。これは1990年代末期の反ロボット暴動以前に作られたのだろうとブレインは推測する。ブレインはロボットに電気ショックを与えた。煙が上がり、失敗かと思われたが、ロボットの手が動きはじめ、ここはどこだと喋った。まるで人間のように喋るロボットに驚くブレインたち。ロボットはきみたちは誰だと訊ね、その質問はこちらがしようと思ってたとスリックが言う。ロボットは頭にヘルメット部分をはめながら、私にはいくつか名前があるが一番知られているのは、マシンマンという名だと答えた。

 マシンマンは自分について語り始める。秘密計画で作られたX-51というロボットで、アベル・スタック博士の息子として育てられた。スタック博士は自分を逃がすために命を犠牲にした。マシンマンにはピーター・スパルディングギアーズ・ガービンという友人が出来たが、両者は仲が悪く喧嘩ばかりしていた。また、ジョキャスタという元アベンジャーズ・メンバーの女性アンドロイドと出会い幸せを得るかと思われたが、彼女は爆発で破壊された。また彼には敵がいた。マイルズ・ブリックマン上院議員や、マダム・メナスだ。このマダム・メナスは本名をサンセット・ベインと言い、自分の配下を持ち、高性能ロボットの自分を狙っていた。サンセット・ベインという名を聞いて思い当たるスリック。だが会話の途中でマシンマンが頭を抱えて苦しみ始め、ブレインたちは心配する。

 一方、ベイントロニクスのパトロール隊員は、多数のロボット兵に加え、C-28デス・ディーラーという金色の戦闘ロボットを搭載した大型飛行艇に乗って発進していた。

 ブレインはマシンマンの頭脳部を開いて調整する。スリックはマシンマンに、なんであの箱に入っていたのか記憶はないのかと訊ねる。マシンマンは、その記憶は消去されたらしいと答え、自分がいま2020年に居るということにとまどっていると言う。スリックたちは、1980年代後半からベイントロニクスはロボット製作を始め、一時は反対運動が盛り上がったが、政府が2001年までに暴動を終わらせ、現在は独占状態にあると説明する。ブレインはマシンマンの修理を終えるが、ベイントロニクスのパトロール艇のスキャナーがマシンマンの反応を発見した。ブレインたちのアジトに敵の襲来を告げる警報が鳴り響くが、時すでに遅く、壁をぶち破ってC-28デス・ディーラーが突入してきた!

 デス・ディーラーは指から銃弾を発射。部屋の機械を盾にしてハッスルはグレネード弾を撃ち返すが、デス・ディーラーはグレネードを手でキャッチし握り潰してしまう。マシンマンはデス・ディーラーに組みつく。デス・ディーラーはマシンマンが予想より強い力を持っているのに驚くが、腰からエレクトロ・ブラスターを発射し、それがマシンマンを直撃。マシンマンがC-28を引きつけている間に、他の4人は襲来したロボット兵軍団やパトロール隊員と戦う。ハッスルはロボット兵を銃撃し破壊していく。スリックは部屋の機械を持ち上げてロボット兵に投げつけて倒す。スイフトは空中で回転しパトロール隊員たちを跳び蹴りでなぎ倒す。頭脳労働担当のブレインだが、ロボット兵の弱点にハンマーでシャフトを打ち込んで破壊。マシンマンは再びデス・ディーラーと対峙。デス・ディーラーが胸から発射したミニ・ミサイルを足を伸ばして避け、ギアーズ・ガービンが組み込んだ装備だと言いながら指から.357マグナム弾を撃ち込む。デス・ディーラーはフォース・フィールドを張って銃弾をはじく。ならばとマシンマンは腕を伸ばして敵ロボットの頭を掴むが、デス・ディーラーは胸から回転ノコギリ付きフレキシブル・アームを出しマシンマンの腕を切断しようとする。あわてて腕を引っ込めるマシンマン。デス・ディーラーはマシンマンを殴り倒し、胸から伸びたフレキシブル・アームより酸を発射しマシンマンを溶かそうとする。マシンマンは相手のフレキシブル・アームを掴んで引っこ抜く。だが強烈なハンマーパンチをくらってしまった。倒れて絶体絶命のマシンマンに、デス・ディーラーはレーザーブラストを浴びせようとする。マシンマンは配電盤のケーブルを左手で引きちぎり、右手を敵ロボットに当てて電流を流し、やっとデス・ディーラーを倒した。

 他の4人も敵を撃ち倒しており、彼らは飛行機械に乗って脱出する。反重力装置で飛行し彼らについていくマシンマン。だが自分はこれから何をしようとしているのだろうか、この未来世界で。自分の友人たちはこの世界でまだ生きているのだろうか。多くの疑問が浮かぶが、答えは出ない。

 パトロール隊の敗北を知り、サンセット・ベインは彼が復活したんだわとつぶやく。誰のことですか?と問う声に、古い敵よ、私に会うために現れた、そしてあなたにもねと答えるベイン。カーテンの向こうから現れた話し相手は、女性ロボットのジョキャスタだった。

 

 マシンマンの第2タイトルが全4話のミニシリーズで開幕。ライターは前タイトル終盤からずっとマシンマンの話を続けてきたトム・デファルコで、未来世界の話ではあるがそれまでのマシンマンの話を盛り込んでいて盛り上がる。なんと、MACHINE MAN #17でデビューした悪女マダム・メナスことサンセット・ベインが未来世界でも登場だ。また、未来世界で大企業ベイントロニクスに抵抗する4人組も、一人一人キャラが立っていて魅力的だ。未来の強敵ロボットとの戦いも手に汗握る。

 表紙は#1から#4まで徐々にマシンマンの顔が組み立てられていくというもので、素晴らしいセンスだ。

 2020年までの未来史が語られるが、マシンマンは1990年代以前に作られたと言及される。2001: A SPACE ODYSSEY #8でデビューしたマシンマンだが、あの#8-10の話の年代は2001年なのか、それともマーヴルユニバースに合流しているから2001年ではなくそれ以前の物語なのかという、今まで微妙にスルーされてきた時系列についての疑問がよぎる。後にこのミニシリーズは、パラレルワールドの未来史だと規定されるのだが。