アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

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MACHINE MAN #8

1978年 NOV

EDITED, WRITTEN, AND DRAWN BY: JACK KIRBY

 

 スパルディング医師を人質に取ったギャング風の男は、スクリーンからマシンマンを脅迫する。彼らはマシンマンのコピーのロボットを量産する気なのだ。取引に応じれば医師は家に帰れると脅す男に、マシンマンはスパルディングの様子を映してくれと言う。画面では縛られたスパルディングがヘリに乗せられるところが映された。どこかの道路へ行って彼を離す準備があると男は言う。マシンマンはなんとかこのミサイル・サイロから脱出せねばと思い、足のマグネットを使って壁を登ろうとするが、側に銃口があって、動くなと警告される。銃口から酸が発射され、マシンマンが動くと溶かされてしまうのだ。

 一方、審議委員会では、一同がマシンマン行方不明に頭を悩ませていた。ブリックマンだけは、反マシンマンキャンペーンをうって名を上げてきて、これをチャンスに上院議員の座を狙っている。文句があるならマシンマンを連れてきたらどうだとふてぶてしい態度のブリックマン。委員はクラッグ大佐に望みをかけて連絡する。

 すでに大佐はマシンマン捜索のためジェット機で飛んでいた。唯一の手がかりは、スパルディングの家の側で発見された、スキー板のような跡だ。それがヘリコプターの着陸スキッドだと推理したクラッグは、ついにヘリを発見した。大佐はヘリのパイロットを捕らえようと考える。そいつがマシンマンの行方を知っているはずだ!

 その間にも、ミサイル・サイロに閉じ込められたマシンマンにはガンマ線が照射され、内部メカを透視されるピンチに曝されていた。なんとかここから脱出しなければ。足のハッチを開けて、右手の指を2本外し、足の内部にセット。これで、指のハンド・ウェポン・システムの動力が足へ注入されたのだ。足裏から強烈な噴射が起こり、あっという間に飛び立つマシンマン。ミサイル・サイロを飛び出し上空に舞い上がったマシンマンは、着地したら周囲を警戒せねばと考えるが、着地前に音波砲が撃ち込まれ、撃ち落とされてしまった! 音波砲をかまえた男が迫り、マシンマンは特殊装備のトラックに入れられてしまう。罠に落ちたマシンマンだが、これが反撃のチャンスになるのか。

 ギャングのボスの前に引き出されるマシンマン。ボスは、マシンマンのすべてのメカニズムを解析しコピーを生産しようとしており、これでコーポレーションは大もうけだと言う。ボスはマシンマンに音波砲を浴びせて倒し、部下に運ばせる。

 クラッグ大佐は本部に戻っていた。ヘリを捕らえてスパルディングを発見した大佐だったが、ヘリのパイロットは何も喋らず、マシンマンの行方の手がかりは途絶えていた。スパルディングはどうやって彼を発見するのかと不安がるが、大佐はお前が飛んできたルートをたどればいいと言い、それが唯一の希望だ、我々はマシンマンを必ず連れて帰ると語る。マシンマンを助けようとする大佐の心境の変化に驚くスパルディング。

 そのマシンマンは意識を失ったままギャングの秘密基地にてベッドに横たえられ、内部分析の機械にかけられていた。体内に走査線が浴びせられたことでマシンマンは復活。指からビームを発射し、装置を吹き飛ばす。ボスは音波を撃てと命じるが、マシンマンは岩陰に潜んでギャングたちから隠れ、火炎放射で音波砲を溶かす。ギャングたちはチタン鋼製のハッチを閉じて逃げ、ボスはホロコースト・ボックスのスイッチを入れ、俺たちは脱出する、お前もあと10分の命だと言い捨てる。マシンマンは壁板を引きはがして部屋へ侵入しホロコースト・ボックスを見たが、すでに核爆弾のスイッチは入り、さらに核爆弾は地下深くに設置されているため今から停止に向かっても間に合わない! 生き残るチャンスはギャングが使った脱出経路しかないと考えたマシンマンは、壁を崩し、赤外線アイでギャングたちの足跡を発見、あとを追った。

 鉄道レールを発見したマシンマン。これを使って脱出しなければ死だ。マシンマンは腕キャタピラを出し、転輪を取り外して足に取り付けた。ギャングたちは脱出車で逃げていたが、後ろからマシンマンが足の転輪をレールに乗せて追ってくるのを知り驚く。果たしてマシンマンは脱出に間に合うのか?

 クラッグ大佐とスパルディングはジェット機でギャングの飛行経路を捜していたが、なかなか見つけられずにいた。弱音を吐くスパルディングに、よく見ろ、集中しろと怒鳴る大佐。その時、スパルディングが前方を指さす。眼前の山の頂上が吹き飛び、爆発したのだ。

 

 マシンマン脱出編。メカを駆使し、あの手この手を使うのはマシンマンならではで、盛り上がる。指を抜いて足にセットするのは衝撃だった。#1で出た腕キャタピラが再登場し、しかも裏技的な使い方なのが素晴らしい。また、クラッグ大佐がスパルディング以上にマシンマン発見に尽力しているのがグッと来るところだ。

 スパルディングをさらいマシンマン量産を狙う敵組織はコーポレーションと名乗る。この秘密結社はこの少し前の'76年、DEADLY HANDS OF KUNG FU #22のホワイトタイガーの話で初登場したあと、当時のTHE INCREDIBLE HULKやCAPTAIN AMERICAで暗躍していた組織なのだ。この号までは、マシンマンの話の舞台はマーベルのキャラクターが住むマーベルユニバースかどうか言及されていなかった。むしろ2001: A SPACE ODYSSEY #9ではマーベルヒーローは子供が読んでいるコミックのフィクションキャラクターとしてのみ出ていて、あくまで舞台は『2001年宇宙の旅』につながる何処かだったのだが、ここでこの組織が出たことで他のコミックとのリンクが出来、以後の展開に影響していく。

 このコミックが収録された合本は

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