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AVENGERS Vol.3 #3

1998年 APR

by Kurt Busiek George Perez

 

 コーンウォールの森の中に、猛烈な攻撃音が響きわたっていた。雷が木を折り、矢が飛び、ビームが撃ち込まれる。クエーサーワスプのビームを避けきれなかった。そこで、キャプテン・アメリカのストップの声がかかった。モーガン・ル・フェイの城を脱出してきた彼らは、森の中で訓練を行っていたのだ。クエーサーに、悪くはなかったが単独行動ではなくチームワークで当たるべきだと説明するキャップ。自分のパワーには自信があるクエーサーだったが、キャプテン・アメリカはパワーが全てではないと諭し、クエーサーも要点は掴んだと答える。フォトンには能力に頼りすぎないように、ジャスティにはソーの雷をよく避けたと伝えるキャップ。ホークアイはキャップに、森の仲間を率いるロビンフッドのようだなと言う。ワスプから今後の計画を訊ねられ、キャプテン・アメリカモーガン・ル・フェイのミスを待っていると答える。モーガンがミスすると思っているんですかとジャスティスに聞かれ、彼女がミスをしないならばとっくに世界を治めているはずだとキャプテンは言う。

 そう、モーガンはミスをしていた。アスガルドから奪ったトワイライトソードと、それを使うために必要なスカーレットウィッチさえ手中に収めていれば無敵であったモーガンだが、地下牢からスカーレットウィッチの姿が消えていたのだ。牢番の顔を掴み、プリエステス・セレーネ(←ムーンドラゴン)のテレパシーで何があったか記憶を引き出させるモーガン。だが牢番は何も知らなかった。モーガンはあっさりと牢番を殺す。

 そこへモードレッドが、デヴァイアンツの都レムリアからの使者を連れてやって来た。形勢が危うくなったと見た彼は、他国と同盟して危機をしのごうと考えたのだ。だがモーガンは一瞬で使者を消滅させる。驚くモードレッドに、他国など我々が楽しむためだけに存在しているのだと怒りの声を上げたモーガンは、スカーレットウィッチを取り戻す事だけが必要だ、他は二の次だと叫ぶ。モーガンはこれがアベンジャーズの仕業だと考えているのだ。彼女はプリエステス・セレーネに命じ、広域テレパシーでアベンジャーズに伝言を発信する指令を下す。

 森の中にいるキャプテン・アメリカたちに、テレパシーでモーガン・ル・フェイの声が響いた。明日の夜明けまでにスカーレットウィッチを返さなければ貴様ら全てを殺すという脅しの文句に、キャップは敵がミスした事を知った。今夜攻撃をかけると言うキャプテン・アメリカ。敵から脱出したらしいスカーレットウィッチはどこにいるのかとホークアイは考える。

 スカーレットウィッチはティンタジェルから南にある岩場に居て焚き火にあたっていた。彼女を脱出させたワンダーマンが、追加の薪を運んでくる。ワンダーマンが復活したことを不思議に思うスカーレットウィッチ。体が強大なイオンエネルギーに変換された男ワンダーマンは、不死身に近い力を得ていたが、クリー帝国イオン・キャノンの爆発で体のイオンエネルギーが吹き飛ばされ死亡していた。そのワンダーマンが、必死で助けを求めるスカーレットウィッチの能力によって甦ったのだ。だが今はこの事態を打開しなければならない。モーガンの魔法に打ち勝つ方法を考えるスカーレットウィッチだが、彼女の前からワンダーマンが消えていた…。

 陽が沈む頃、モーガンの城にフードを来た一団が入城していた。旅の修行僧を名乗っていた彼らは、キャプテン・アメリカたちだった。

 だがそれはすでにバレており、記憶が戻っていない残りのアベンジャーズたちが突撃してきた! 潜入は失敗した、もはや対決あるのみ。ワスプはビームを撃ちソーはハンマーを振るい、ホークアイキャプテン・アメリカは互いに背中をあずけて戦う。クエーサージャスティスが、そしてフォトンとワスプが飛び交いエネルギー波で相手方を吹き飛ばす。ソーのハンマーとハーキュリースのメイスが激突する。ジャスティスやフォトンは相手の攻撃をうまく避けて飛びまわる。

 剣で戦うキャプテン・アメリカの前に、モーガン・ル・フェイが巨大な姿を現した。まだ彼女は優位な立場にいる。しかしモードレッドはアベンジャーズの攻撃に慌て、破滅だ、アベンジャーズを相手にするべきではなかったと言ったのにと口走り、怒ったモーガンは彼を吹き飛ばす。 トワイライトソードを手に勝ち誇るモーガンだが、その前にスカーレットウィッチが立ちはだかった!

 能力を振り絞り、モーガンに抵抗するスカーレットウィッチ。伝説の剣の力を振るうモーガンの方がまだ圧倒的でありパワーに押されるが、そこにワンダーマンが出現。イオンエネルギーで出来た体を巨大化させ、モーガンと同じサイズとなり大きな姿で拳を打ち込む!

 城内での戦いは激化していた。ジャスティスはサー・マクハイネリー(←マシンマン)やネイブ・オブ・ハーツ(←スターフォックス)をブラストで吹き飛ばすが、プリエステス・セレーネ(←ムーンドラゴン)のテレパシー攻撃を受け苦しむ。だがそこへ棒が飛んできて、セレーネを撃墜した。ワンダーマンの攻撃でモーガン・ル・フェイの力が弱まったことにより、デモリッションマンが記憶を取り戻し、味方についたのだ。だがまだまだモーガンは倒せない。トワイライトソードを握りワンダーマンを押し返すモーガン。もっとパワーが必要だと叫ぶワンダーマン。

 スカーレットウィッチはワンダーマンにパワーを送っていたが、クエーサーが、そしてキャプテン・アメリカが彼女の肩に手を置き、自分のパワーも使ってくれと言う。さらにキャップの肩にアイアンマンが手を置いた。アベンジャーズの記憶が戻ったのだ。一同は次々と手を差し伸べ、スカーレットウィッチは全員のパワーを集めワンダーマンに送った。力を得てモーガンを押し返すワンダーマン。アベンジャーズの力が結集されたのだ! それを知ったモーガンは目から魔力を放ち、アベンジャーズを攻撃する。魔力に打たれ手を放してしまう者がでて、再びパワーが弱まっていく。だが、夫であったビジョンが吹き飛ばされたのを見てスカーレットウィッチは死力を振り絞った。強烈なパワーが送り込まれ、ワンダーマンは叫ぶ。次の瞬間、全てが閃光に包まれ、気が付くと全員が元の姿に戻っていた。

 モーガンの野望は砕かれた。キャプテン・アメリカジャイアントマンアイアンマンにビジョンをみるよう言う。モーガンに下半身を吹き飛ばされビジョンは倒れていた。ビジョンを抱き起こすスカーレットウィッチ。シンセゾイドという人造人間であるビジョンはこれで死ぬことはないが、かなりのダメージを受けていた。エターナルズセルシはビジョンのシステム構造を停止凍結してダメージの進行を抑える。その時、上空に何かのエネルギーが飛んでいくのをビジョンとスカーレットウィッチは感じる。それは、ワンダーマンのイオンエネルギーだった。

 ソーはトワイライトソードを元の場所へ戻し、消えたアスガルド神族を探すため旅立つ。フォトンは各地に置かれているクインジェットの回収へ飛ぶ。ジャイアントマンによるとビジョンのダメージ進行は止まり、あとはアベンジャーズマンションに戻って修理が必要だと言う。事件は解決したが、ビーストは、総勢39人も集まっているアベンジャーズは次に何するんだいと問うのだった。

 

 今回は解決編。でかい風呂敷を畳むための理屈がモーガンのミスなのはやや情けないが、そもそもモーガンが完璧だとこの世界から脱出不能なので、このへんはストーリー上しかたないところか。最後のみんなのパワーを合わせるシーンも定番。

 強力なパワーを持つアベンジャーであったワンダーマンが、スカーレットウィッチの召喚で復活! ワンダーマンことサイモン・ウィリアムズは、スカーレットウィッチの夫であった人造人間ビジョンの人格プログラムのモデルになったという背景があり、スカーレットウィッチにとっては精神的に夫の一部という、複雑な関係である。一方、最後の決め手を、ビジョンがやられてスカーレットウィッチが能力を振り絞るという展開にしていて、ビジョンとの関係も立たせているのが上手いところ。

 マシンマンはと言うと、ずっと敵として動いているので、目立たないのは残念。