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AVENGERS Vol.3 #2

1998年 MAR

by Kurt Busiek George Perez

 

 1998年のイングランドコーンウォールの海岸にあるティンタジェル岬に、ここを支配する女王モーガンI世が住む城があった。城下町では酔っぱらいが二人騒いでいたが、井戸のところにいた二人の女性に声をかけようとして、彼女たちが普通の領民ではないことに気付く。それは、ジェイド・ジャイアンテス(←シーハルク)とレディ・マーヴル(←バイナリー)だ。さらに空には、ドナール・ザ・マイティ(←ソー)を先頭に、天翔る騎士たちが飛んでいく。

 その様子を城内で見ているのは、モーガンI世ことモーガン・ル・フェイだ。敵対していたスーパーヒーローたちが自分の配下の騎士になっているこの世界を愉快そうに楽しんでいる。モードレッドは敵であったヒーローたちに危険を感じ殺そうと進言するが、モーガンには不安はないようだ。捕らえたスカーレットウィッチのヘックスパワーを利用し、世界を作り替えることができるアスガルド最強の武器トワイライトソードモーガンが抜いた結果、アベンジャーズのヒーローたちはこのような中世風の装いに変換されモーガン配下の騎士となっているのだった。

 モーガンの前に、ドナールが馳せ参じてきた。ドナールは何やら不安を感じますと女王に訴える。ソーであった意識がわずかに残っているのだ。モーガンは心配するなと笑う。果物のカゴを持った石像が喋るが、それはゴースト・オブ・ストーン(←ビジョン)だ。そこでドナールは急に思い出したように、アスガルドを探さなければと言い、飛び立っていった。記憶が戻ったのではと不安がるモードレッドに、奴が探すアスガルドはすでに無いのだと言い落ちつかせようとするモーガンだが、この世界も全てが彼女の思い通りという訳ではない。モーガンも不安を感じていた。

 城の地下牢には、一人の魔女が捕らえられていた。彼女はスカーレットウィッチことワンダ・マキシモ。拘束された彼女からいまだに力が引き出され、モーガンに利用されているのだ。

 城の外、城下町では、誇り高き騎士ヨーマン・アメリ(←キャプテン・アメリカ)が歩いていた。中世風の装備と剣を持つ姿に変えられた彼だが、唯一元の記憶を失ってはいなかった。彼は弓矢使いのロングボウ(←ホークアイ)に声をかけ、思い出すんだと説得する。相手の意志の強さに、ホークアイも記憶を取り戻し、自分の格好が変わっているのに驚く。二人は馬を駆り、アーサー王の時代に戻ったかのような町を抜け、城へたどり着く。

 指揮官の部屋に行ったキャプテン・アメリカたちは、寝室のトニー・スタークを起こし、記憶を戻させ協力者にしようと考える。すでにワスプフォトンが記憶を取り戻し、仲間になっていた。だがトニーの記憶は戻らず、魔法の兜をかぶって全身を鎧で覆った姿アイアンナイト(←アイアンマン)となり手からブラストを発射。

 下の階へ落下したキャプテン・アメリカらは、それぞれ姿と記憶を変えられたアベンジャーズに取り囲まれる。指揮官であるアイアンナイトも降下し追いつめられる中、キャプテン・アメリカは全員を前にアベンジャーズだった事を思い出せと演説。その言葉を聞いて、スターナイト(←クエーサー)が記憶を取り戻し、他にも次々と記憶が戻りキャプテン・アメリカ側につく者が現れる。だが一方で記憶が戻らない者もおり、ネイモア・ザ・シーロード(←サブマリナー)はパンチを打ち込み、キャップはシールドで防御する。記憶が戻った者と戻らない者の二派に分かれ対立するアベンジャーズ

 モードレッドはアベンジャーズの中で支配から脱した者がいる事をあわててモーガンに報告するが、モーガンはまだ自信ありげだ。だが地下のスカーレットウィッチは、助けを求めて必死に集中しようとしていた。

 城の外壁と共に、ヒーローたちが吹き飛んでいく。アベンジャーズ同士の戦いは激化していた。なんとか皆の記憶を取り戻そうと説得を続けるキャプテン・アメリカだが、攻撃を避けるので精一杯だ。そこで、モーガンの姿が空に浮かぶ。事態はまだ彼女の手中にあるのだ。勝ち誇るモーガンだが、そこへ落雷が起きる。記憶を取り戻したソーが帰還したのだ。だが今のモーガンの力はソーを上回っている。キャプテン・アメリカフォトンに指示し、フォトンは目くらましに閃光を発し、気が付けばキャップたちは撤退していた。

 閃光により敵の逃走が隠蔽されたと言うサー・マクハイネリー(←マシンマン)。皆の前に降り立ったモーガン女王へ、プリエステス・セレーネ(←ムーンドラゴン)は追撃の指示をと申し出るが、女王はその必要は無いと諭す。モードレッドも不安げにモーガンに声をかけるが、モーガンは私がこの世界をコントロールできるのを忘れたか、まだ我が手にトワイライトソードとスカーレットウィッチがあるのだと言う。

 だが地下牢では、スカーレットウィッチが助けを求め必死の呼びかけを続けていた。そして、彼女の召喚に応え姿を現したのは、すでに死んだヒーロー、ワンダーマンだった!

 

 前回アベンジャーズ総登場をやったと思ったら、第2号ではアベンジャーズ全員が中世風の姿で登場するという手間がかかる事をやっていて、圧倒される。各キャラクターのアレンジが楽しいし、記憶が戻るかどうかもうまく選択されている。高貴なヒーローほど記憶が戻りやすく、俗事や怒りに身を任せやすいキャラは戻らない傾向があるようだ。

 マシンマンは、鎧を着たからくり人形のような人物、サー・マクハイネリーSIR MacHINERYになっている(マシンMACHINEというスペルをうまく変えている)。手足が伸びるギミックは相変わらずだ。彼やビジョンのように機械の精神の者は記憶が戻っていない。

 舞台となっているティンタジェル城は、アーサー王の城として知られている。アーサーの仇敵であるモーガンは、変貌させた世界で自分の城にしている。