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SUPERMAN ANNUAL #12

1986年

WRITER : CARY BATES

PENCILER : ALEX SAVIUK

 

 アリゾナ砂漠上空で二つの飛翔体が激突。片方はウォースーツを着た悪の天才レックス・ルーサー。もう片方はスーパーマンだ。両者互角で双方弾き飛ばされ落下。再び突進するスーパーマンだが、ルーサーはウォースーツの特殊防御装置を起動し周囲にフィールドを張る。フィールドに突っ込んだスーパーマンは2次元の存在に変換されペラペラの状態で封じこめられてしまった。ルーサーは満足し去るが、スーパーマンは2次元の壁をパンチで突き抜け(!)脱出に成功。

 テレビのニュース番組でスーパーマンレックス・ルーサーの戦いを報じるクラーク・ケント。彼はルーサーの装甲服の強力さに思いを巡らせていた。一方、宇宙では地球に近づく宇宙船があり、それが地球へ落下していくのをスペースシャトルの宇宙飛行士が観測。墜落地点の砂漠へ向かった調査員が宇宙船に触れると、船体から謎のエネルギー線が周囲に伝わり、調査員たちは消されてしまった。宇宙船の中から、謎の人型エネルギー体が飛び立っていく。

 クラーク・ケントは超音波による警報を聞き、職場を抜け出しスーパーマンとなって飛び立った。北極にある基地「孤独の要塞」が侵入者を探知したのだ。孤独の要塞の中で彼は、宇宙から来たエネルギー体を発見するが、それは要塞のスーパー・コンピューターに侵入していった。スーパーマンはエネルギー体がレックス・ルーサーの情報にアクセスしていた事を知る。

 ルーサーの部下の後をつけた謎のエネルギー体は、ルーサーの基地があるブラック・アイランドに飛来した。自分の秘密基地への襲来に驚くルーサー。彼の恋人ワンダはエネルギー体の表面が棘のように見えることからそれをエレクトロ・スパインと呼ぶ。ルーサーは島の外部防衛システムを起動しビームを浴びせるが、相手はすでに内部へ侵入していた。続いてロボット犬ドローン・ドッグスを向かわせるが、エレクトロ・スパインはロボット犬を粉砕。ルーサーは切り札であるソーラー熔解レーザーを発射したが、それすら敵には通じない。こちらへ向かってくるエレクトロ・スパインに対抗するためルーサーはウォースーツを装着しようとする。しかし敵はすでに侵入しており、ウォースーツを奪って周囲を破壊し、逃走してしまった!

 メトロポリスの自室にいるクラーク・ケントの前に、レックス・ルーサーの立体映像が現れた。驚くケントにルーサーは、スーパーマンへの連絡を頼み、消える。一方、衛星軌道上では、スペースシャトルの宇宙飛行士が、巨大な宇宙ステーションを建造している人物を発見。特徴的なウォースーツの姿から、それはレックス・ルーサーだと疑われた。

 翌朝、スーパーマンは呼び出し通りにロッキー山脈へ来ていた。湖の中からルーサーの乗る飛行椅子が出現。今度は何をたくらんでいるとスーパーマンは突進。ルーサーもやむなく飛行椅子からブラストを発射。しかしそれを避け湖の中から接近したスーパーマンは飛行椅子を掴んで上空へ運んでいく。ルーサーはあわてて説明を始めた。データ解析によると、はるかな過去、レクサー星は科学文明の極みにあったが、それを利用し人々が闘争へ向かうのを怖れた科学者ウクルーは、その星の科学/心理/政治的進行をモニターし危険と判断すれば星ごと絶滅させる見張りを製作、それがあの敵だという。レクサー人は滅ぼされ、今その脅威が地球に飛来してしまったのだ。地球絶滅の危機に共闘を申し出るルーサー。二人は握手を交わす。

 敵は宇宙ステーションにて宇宙線を集め地上へ照射して地球を絶滅させようとしていた。スーパーマンはルーサーの計画を聞き、先に宇宙へ向かう。敵は電磁ロープでスーパーマンを引き寄せるが、ロープを逆に利用しスーパーマンは敵を包囲。しかし敵は赤色光を放つ火球を作り投げつけてきた。黄色光をエネルギー源とするスーパーマンは弱体化し苦しむ。そこへ飛行椅子に乗ったルーサーが到着。スーパーマンに黄色光を照射して復活させた。敵の渾身の一撃は二人に避けられ、宇宙ステーションを消滅させる。と、そこでエレクトロ・スパインも消滅し、空のウォースーツだけが残った。ルーサーは敵に安全のための自爆プログラムがあると予想し、そのための回路を製作していたのだ。

 地球の危機は去った。だがルーサーは犯罪者でありスーパーマンは捕らえようとし、ルーサーもウォースーツを遠隔操作して反撃する。ルーサーを掴んだまま地球を一周してウォースーツの背後へ回ったスーパーマンだが、ウォースーツはルーサーの指示で撤退していた。ルーサーを刑務所へ運ぶスーパーマン、しかし二人の戦いはこれからも続くのだ。

 

 アメリカンコミックでは毎月発行されるタイトルの別冊増刊のような形で、年刊号(ANNUAL)が刊行される事があります。ANNUAL誌はダブルサイズという倍ぐらいのページ数がある形式で、そのぶん長く物語を展開できるため通常タイトルより多くの内容が盛り込め、また、1話完結の話が多くて落ちまで一気に読めるので取っ付きやすいなど、独特の面白さがあるのです。

 この1986年のSUPERMAN ANNUAL #12では、スーパーマンとその最大のライバルであるレックス・ルーサーの素晴らしい対決に始まり、新たな敵の登場で二人が共闘するというわくわく展開を見せてくれた。肉体的には普通の人間にすぎないルーサーが、スーパーマンに比類するライバルである格を見せてくれる。