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CAPTAIN AMERICA ANNUAL #3

1976年

EDIT, WRITTEN and DRAWN by JACK KIRBY

 

 ‘76年のCAPTAIN AMERICA年刊特別号は、題してThe THING FROM THE BLACK HOLE STAR! 1ページ目からキャプテン・アメリカが謎の怪物に襲われているが、この唐突さがカービースタイル! そして2-3ページ目の見開きではこれまた唐突に、同行していた農夫のジム・ヘンドリクスが衝撃光線銃で怪物を吹き飛ばす! 二人は異星から来た宇宙船の中へ入っていたが、突如あらわれた異星怪物に襲われ、船内にあった光線銃で撃退したのだ。倒された怪物は閃光と共に消えた。ごく普通の農夫にすぎない自分がUFOやエイリアンと遭遇している事に困惑するジム。二人は宇宙船を出る。ジムはこの宇宙船が数千光年彼方のブラックホール星から来たと言い、キャップがなぜそんな事を知っているのか訊ねると、なんと、この宇宙船のパイロットから訊いた、彼は俺の農家にいると言うのだ。

 その頃、地球軌道を航行する宇宙艦の中では、ブラックホール星の異星人たちが先に地球へ送り込んだストーカーという怪物が地球人に倒されたのを知る。司令官は次の手として、より強力な「コンバトロン」を送るよう命じ、カプセルが地球へ撃ち込まれた。

 キャップはジムの家に行ってみたが、そこには本当に異星人がいた。おびえる異星人にジムはキャプテン・アメリカを紹介し、この星の正義のシンボルなんだと説明するが、異星人には正義という言葉は理解できないようだった。キャップが異星人の頭巾を取ってみると、意外にも人間に似た顔があらわれる。キャップはこの異星人が光の速度ですら脱出できないブラックホールから来たことへの疑問を口にするが、異星人は本当だと答える。異星人は自分を追跡してきた怪物ストーカーをキャップたちが倒したと知ると、次にはコンバトロンが送り込まれてくるとおびえる。その言葉通り、大きな落下音がして、キャプテン・アメリカとジムは外へ飛び出した。

 地面に降下カプセルが突き刺さっていたが、中身は空だった。すでに地上に降り立っていた怪物兵器コンバトロンが突如強襲! 右腕のプレッシャーアームを地面に突き立てて衝撃を加え、キャプテン・アメリカは飛んできた岩や木をシールドで防ぐが、衝撃波で吹き飛ばされてしまう。だがキャップも負けてはいない、近づいてきたコンバトロンに反撃を打ち込む。激しい格闘戦を見守るジムだが、そこへ上空から熱線が撃ち込まれる。ジムとキャップは必死で避け、熱線はコンバトロンに当たって怪物兵器を消滅させ、さらに降下カプセルまでも焼き尽くし完全に証拠隠滅してしまった。宇宙空間からの熱線照射という攻撃が可能な敵に驚くキャップだが、次は直接攻撃部隊が送り込まれてくると予想する。

 衛星軌道上の宇宙艦では、部下が再度のイオン砲攻撃を進言していたが、地球を戦争をしに来たのではないと司令官は言い、マグノイド部隊の出動を指示する。

 自宅へ戻ったジムは電話でこの異常事態を通報しようとするが、電話は通じない。敵宇宙船の妨害だ。キャップは追われている異星人に様々な質問し事情を知ろうとするが、そんな時間はない。一同は車で逃走しようとするが、砲撃を受け車が破壊されてしまう。三人の頭上から宇宙艇が降下してくる。

 キャップは二人に、追われている異星人の宇宙船へ行き武器を探せと指示。ジムたちは異星人の宇宙船へ入り、武器を準備する。異星人は生体飼料が欲しい、エネルギーが必要だと言い、ジムもそうかと同意する。

 一方キャプテン・アメリカは降下してきた宇宙艇から無数の機械歩兵マグノイドが降りてくるのを監視していた。気付かれぬようその場を離れようとするキャップだが、マグノイドの1体がすでに後ろへ迫っており、熱線砲を受けて吹き飛ばされてしまう。倒れたキャプテン・アメリカに3体のマグノイドが掴みかかるが、キャップは弾き返した。だが後ろから首を強烈な握力で掴まれピンチに! キャップはエルボーを打ち込んで脱出! 熱線砲を放つマグノイドに素早く接近して腕を掴み、自分の武器を撃ち込ませて倒した。熱線砲を奪ったキャップは反撃しつつ逃走に成功する。

 ジムと異星人の待つ宇宙船まで走るキャップ。異星人はようこそと歓迎するが、そんな挨拶をしている場合ではない。自分が戦っている間に二人は敵を防ぐ準備ができたかと訊くキャップに、俺はいま強力になったと答える異星人。何を言っているんだ、ジムはどこだと訊ね、宇宙船内を移動して農夫を探すキャップだが、彼が見たのは床に倒れているジムの姿だった。その体は乾ききって皺だらけになっており、死亡していた! 彼に何をしたと言うキャップに、異星人はジムの生体エネルギーを吸ったことを明かす。敵に追われる善良な異星人かと思われていたそいつは、宇宙吸血鬼の如き怪物だったのだ!

 ジムから吸収したエネルギーがこの異星人の目や体から噴き出し、明らかに強力になっている。こいつはこの特性により自分の星で恐れられ、追われて地球まで来たのだ。キャプテン・アメリカは怪物に飛びかかるが、エネルギーを吸われそうになり苦しむ。敵は地球人のエネルギーに喜び、ここを牧場のようにして地球人のエネルギーを吸い続け、最後には最強の種族となるぞと叫ぶ。エネルギーを吸おうとする怪物を、シールドで防いで耐えるキャプテン・アメリカだが、敵のパワーに苦戦。

 そこで、マグノイド部隊が船内に突入してきた。熱線砲で怪物を狙うが、怪物は避け、強力なエネルギーを放射する。キャプテン・アメリカはシールドを投擲し、みごと怪物にヒット! その隙にマグノイドたちは怪物を押さえつけ、金属帯を全身に巻き付け拘束した。

 衛星軌道上の宇宙艦で地上の様子を監視している司令官は、近くにいたキャプテン・アメリカを目にとめるが、友人の遺体を抱えて去るのを見て、自分たちへの脅威にはならないと判断する。拘束された怪物は、必ず戻ってくるぞと恨みを込めて叫ぶ。異星人司令官の指示で、怪物を乗せた宇宙船は宇宙へと飛び去った。

 キャプテン・アメリカはマグノイドの降下艇が地球を離れるのを見送り、まだ地球人にとっては未知の宇宙の驚異について考える。そして、怪物を運ぶ宇宙船は、数千光年離れたイプシロン4という灼熱の星へ突入。怪物は焼かれ溶かされながらも必ず生きて戻ると叫び続ける。

 帰還したキャプテン・アメリカ安全保障委員会へ出頭し今回の事件について報告する。だが委員会のメンバーはあまりに突飛な話を信じてくれない。委員たちが去ったあと、我々は天に唯一の存在ではない、星に目を向けよ!とキャプテン・アメリカは独白するのだった。

 

 宇宙人の怪人や戦闘員が複数登場し大活劇が楽しめる、年刊号のページ数を利した豪華編。保護されるべき逃亡宇宙人かと思いきや…という展開にも驚く。

 このコミックが収録された合本は、

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