アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN #19

1981年 FEB

TOM DEFALCO : WONDROUS WRITING

STEVE DITKO : ASTOUNDING ARTWORK

 

 人間の顔のマスクが爆発で溶けて醜く変わってしまったマシンマンは、ようやく自宅へ帰ってきた。マシンマンアーロン・スタックアイデンティティであるマスクの修理をガービンに頼む。ベストを尽くすが数時間かかると答えるガービン。コートと帽子を取って出て行こうとするマシンマンスパルディングは心配し自分もついていくと言うが、マシンマンは断り一人で外へ。夜の街を歩きながらこれまでの事を回想するマシンマン。自分とは一体何なのだろうか。

 その頃、マンハッタンの港近くのジムに、ギャングたちが集まっていた。そこに突然閃光弾が投げ込まれ、見ればハロウィンのお化けカボチャ型マスクを頭にかぶり、UFO型プラットフォームに乗って空を飛ぶ怪人ジャック・オ・ランタンが出現! この怪人はギャングたちを罵倒しガス弾を投げつけ散々に暴れ回りギャングたちを掌握してしまう。

 翌朝、アーロン・スタックのマスクは直っていた。アーロンは顔が戻ったことに安心し、友人二人も喜ぶ。アーロンはさっそく着替えてデルマー保険に出社する。

 仕事をしていると、エディが呼びに来た。社主のバイロン・ベンジャミンが皆を集めて話があるという。集まった社員たちにベンジャミンは、テロ対策を講じて建設された新しい大使館で来週各国の高官を招いてハロウィーン仮装パーティーがあり、それを後援することになったと伝える。会合のあと、ベンジャミンはアーロンに新大使館のチェックをしてくるよう命じる。ベンジャミンは社で唯一アーロンがマシンマンだと知っている人物だ。という事は、保安体制に万全を期すようにという指示だと知り、アーロンは大使館へ向かう。

 新型の大使館の内部を視察するアーロン。さすがに警備装置は厳重で、チタニウム鋼のシャッターが降りたり、ガスを換気する装置などが完備されていた。大使館を出たアーロンは、怪しげな男がカメラを持って大使館の周りを嗅ぎ回っているのを見つける。木陰に隠れてマシンマンの姿になったアーロンは、その男が乗った車に手を当てて上空を飛び追跡する。

 車から降りた男は撮った写真をジャック・オ・ランタンに渡す。マシンマンはサンルーフから中の様子をうかがっていたが、屋根がマシンマンの重みで壊れ、中に墜落してしまった。ジャック・オ・ランタンの命令で、ギャングたちがこのジムのダンベルやバーベルを持って殴りかかってきた。マシンマンは手足を伸ばしてギャングたちを蹴散らし、床を引っぺがして折りたたみギャングを一網打尽にする。ジャック・オ・ランタンはUFOに乗ってマシンマンに迫り、腕に仕込んだブラスターを発射し吹き飛ばした。壁を破って倒れたマシンマンは、起き上がって鏡を見て自分のマスクが再び溶けて崩れてしまっているのを見る。またも激しい怒りに襲われたマシンマンは復讐しようとするが、ジャック・オ・ランタンたちはすでにトラックで逃走していた。マシンマンは手足を伸ばしてビル街を進む。

 だがアーロン・スタックは大使館ハロウィンパーティーの警備を任されており、それを放棄するわけにはいかない。服を着てアーロン・スタックの姿に戻ったが、マスクだけはどうしようもない。困ったアーロンだが、道で遊んでいるスーパーマンバットマンの仮装をした子供たちを見つけ、スーパーマンのマスクを借りてパーティーに出席した。

 パーティーにはデルマー保険の一同も来ていた。仮装パーティーに普通の服で出てきたアーロンを同僚たちは不審に思う。アーロンは、このマスクの下にもっと凄いものが隠されていると言う。マギーがスーパーマンのマスクを引っぺがしてみると、中から機械の顔が現れた。マシンマンにとっては素顔だが、同僚は良くできたマスクだと感心する。

 その頃、大使館には、バナナ共和国の入場券を奪ってきたジャック・オ・ランタンたちがパーティーに参加するためやって来ていた。パーティー会場でジャック・オ・ランタンの姿を見かけたマシンマンは、やはりこの大使館を狙っていたかと思い、対策に動き出す。ジャック・オ・ランタンの一味は迅速に行動し、コントロールルームを制圧。チタン鋼のシャッターを降ろして各国高官が逃げられないようにし、エアコン装置からガスを噴射させ、大使館を制圧してしまった。

 マシンマンは、チタン鋼の壁を破っていては時間がかかりすぎると、指にコンピューターアクセスのアタッチメントを付け、壁の中の回路に端子を入れて建物のシステムを操作する。これに気付いたジャック・オ・ランタンたちは、マシンマン撃退へ向かう。ガス弾を投げつけるランタンだが、マシンマンは腕を振り回し煙を吹き飛ばし、伸びる手のパンチを打ち込む。UFO型プラットフォームを操りそれを避けるジャック・オ・ランタン。敵の手下を蹴散らし、ランタンに追いすがるマシンマン。ランタンは腕のブラスターを撃ってきて、一進一退の戦いが続く。ついに壁をぶち破って、仮装パーティー会場での戦いとなり、マシンマンジャック・オ・ランタンは群衆のど真ん中へ落下。会場はパニックになる。疲れを知らないロボットであるマシンマンと違い、ジャック・オ・ランタンには疲れと焦りが見えはじめた。切羽詰まったランタンは、群衆の中に手榴弾を投げ込むぞと叫ぶ。マシンマンは両手から磁力フィールドを展開してジャック・オ・ランタンを包み、敵の爆弾はフィールドの中で爆発、ランタンは倒れた。勝利したマシンマンだが、アーロン・スタックの仮装とマシンマンの顔が同じであることを指摘される恐れがあった。また、皆を救ったのに誰一人何も言ってくれない。マシンマンはその場を立ち去っていく。

 アパートに帰り、ガービンの修理を受けるマシンマン。彼はスパルディングとガービンという二人の友人に、デルマー社の仕事は休職すると宣言。彼にとってまだまだ世界は無限に学ぶべきものがあり、マシンマンはこの世界に長く長く生きていこうと思うのだった。

 

 感動のフィナーレというよりは、最終回だからやりたいことやってしまえという思い切りが楽しい回である。

 まず、ジャック・オ・ランタンという怪人の登場。このキャラクターは、初期のスパイダーマンの話を描いたスティーブ・ディッコが創作したハロウィン怪人という、グリーンゴブリンと共通点があることから、このあとスパイダーマンの敵役として定着していくのだが、初登場はこのマシンマンの最終回なのだ。お化けカボチャのマスクをかぶりUFOに乗って飛ぶというヘンテコ怪人だがそこがとても面白い。マシンマンとの対決もディッコ特有のアクションシーンが多くて楽しめる。

 そして今回の舞台はハロウィン仮装パーティー。本編ではマシンマンがスーパーマンのマスクを借りるという可笑しいシーンがあるが、表紙では色々なヒーローに仮装した人々をフランク・ミラー描いていて本編のパーティーより豪華だったりする。

 最後にマシンマンはデルマー保険を休職し、結局同僚に正体はばれたのかは明かされないまま終わるが、これはこのあとマシンマンが登場する時に自由に動かせるようにとの配慮だろう。ファーストタイトルは終了したが、マシンマンの物語は続いていく。

 このコミックが収録された合本は

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