アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN #15

1980年 JUN

PROUDLY PRESENTED BY TOM DEFALCO : WRITER

STEVE DITKO : ARTIST

 

 マシンマンは胸のハッチを開いてメンテナンスを終え、人間の顔のマスクをかぶって今日も出社した。社内では変に生真面目な彼は浮いた存在になっていた。

 一方、代替資源センターでは事件が起ころうとしていた。女性研究員のボレッタ・トッド博士は水素エネルギーの研究で業績を上げていたが、しかし研究は行き詰まってもいた。博士は水素ガスに電磁エネルギーをチャージする実験を行う。だが実験は失敗し、暴走したエネルギーは研究室に噴き出し、ボレッタ博士は制御されない電磁エネルギーに襲われてしまった。

 デルマー保険で仕事をしていたアーロンは、同僚のパメラから社長が呼んでると言われる。ベンジャミン社長はアーロンに、代替資源センターの事故を伝え、現場に行って被害を査定し、出来るなら援助せよと言う。アーロンがセンターに到着すると、大火事が起きていた。物陰でマシンマンの姿になり、火事場へ飛び込む。中は人間には耐え難い熱になっており、二人が装置の下敷きになっていた。マシンマンは自分の足を取り外し、装置を持ち上げて自分の足をつっかえ棒にして二人を救った。足を接続しなおすマシンマンを見て、助けられた男は化け物扱いする。マシンマンは二人を抱えて建物から飛び出し助けるが、自分が理解できないものを憎み恐怖する人間に傷つくのだった。

 再び飛び立ち、建物の中を捜索するマシンマン。両手を別々の方向に伸ばし、建物の各部屋を捜索する。指のセンサーに異常を感じたマシンマンは壁をぶち抜き進むが、そこで彼が見たものは、ガス状の怪物だった。怪物は助けてと喋り、マシンマンは驚く。マシンマンのセンサーによると、怪物は電磁フィールドに包まれたイオン化した水素ガスで構成されていた。怪物は、自分は元は人間の女性だったが、事故によってこの体になってしまったと言い、助けられないのなら殺してと言いながら襲いかかってきた。狂ったように暴れ、ビームを撃ってくる彼女に対し、マシンマンはそばにあったコンピューターの断熱材でくるんで捕獲しようとする。だが相手はマシンマンの足をビームで撃った。床が崩れ、下の階に落下するマシンマン。怪物は外に出て暴れ、リポーターによりイオンという名を付けられた。マシンマンの足はひどく損傷していた。反重力装置により飛び立つが、バランスを失い、ついには墜落してしまう。人に当たるのを恐れたマシンマンは街外れの廃車置き場に落下した。

 この廃車置き場の主、オズワルド・F・ガービン、通称ギアーズ・ガービンは、突然落ちてきた男を助けようと駆け寄る。マシンマンはガービンに、修理する時間が必要なんだと言い、それまで自分を憎まないでほしいと頼む。ガービンは相手が機械の男なのに驚きつつも、手助けを申し出た。私は大きいおもちゃではないと断るマシンマンだが、意外にもガービンの腕は確かで、マシンマンの腕部ハッチを開いて配線をつなぎ、直してしまった。墜落時に砕けたマシンマンの膝を修理するには部品が足りなかったが、ガービンは車輪をひとつつないでとりあえず移動できるようにしてくれた。礼を言って、すぐさまイオンを追うマシンマン

 イオンとなってしまったボレッタ・トッド博士は、自分を殺すか治すかしてくれる相手を求めて、ファンタスティック・フォーの本部バクスタービルへ突入した。運悪くリードスーザンは外出中で、ベンジョニーしか残っていなかった。ザ・シングことベン・グリムは葉巻を吸いつつ風呂に入っていたが、侵入警報を開いてバスタオルを巻きあわててとび出す。ヒューマントーチことジョニー・ストームも飛んできて、二人は侵入者を捜しにいく。

 一輪車状態で走るマシンマンは、警察無線を傍受してバクスタービルの異変を知り、そこへ向かう。道路は渋滞のため、車の上を通って急ぐ。バクスタービルでは、イオンを発見したヒューマントーチがファイアーボールを投げつけていたが、イオンの体を素通りしてしまい通用しない。逆に電磁ブラストを撃ち込まれピンチにおちいるヒューマントーチ。そこへザ・シングが駆けつけ、近くにあった機械装置を持ち上げ投げつけようとする。しかしイオンは機械に磁力を浴びせ、シングは引き合った機械に押しつぶされてしまった。

 そこへマシンマンが到着。一輪車で走る変なロボットを見たヒューマントーチはどっから入ってきたと訊ね、窓からという答えを聞いて火炎を浴びせかける。有名スーパーヒーローに不審感を抱くマシンマン。ここでヒューマントーチと戦っている暇はない。マシンマンは右手の冷却装置を使って拳を凍らせてパンチを食らわせノックアウトした。イオンは、ファンタスティック・フォーも自分を助けられなかったと、外へ逃げていく。それを追おうとするマシンマンだが、機械の山をはねのけてザ・シングが復活し、立ちはだかる。マシンマンは伸ばした腕でシングの足をすくって倒し、外へ走り去った。

 やけになって街で暴れるイオン。彼女を発見したマシンマンは、街灯の電線を掴んでイオンに電気を撃ち込み、イオンを市場の肉売り場へ追い込んだ。自分を救ってくれるものなどないことに絶望したイオンはマシンマンを攻撃し、マシンマンは逃げて冷凍室にとび込む。追ってきたイオンはマシンマンを潰そうとし、お前は私よりも奇怪な存在だと罵倒するが、そこで彼女に異変が生じた。ガス状だった彼女の体は、冷凍室の低温により元の人間の姿に戻ったのだった。マシンマンはそれを予想し彼女をここに誘い込んだのだ。ボレッタ博士をKOし、いつかあなたの変異は治されるかもしれない、しかし私は…と言い残して、マシンマンは去っていった。この肉市場にはあとでファンタスティック・フォーの4人がやってきて、ボレッタ博士の治療法が発見されるまで彼女を保護することにして、事態を収めた。マシンマンは、ギアーズ・ガービンが待つ廃車置き場へ戻っていくのだった。

 

 この号からライターがトム・デファルコに代わった。デファルコはこの時期マーベルでのキャリアをスタートさせて間もない頃だったが、このあとAMAZING SPIDER-MANやTHOR、FANTASTIC FOURのライターを歴任し、編集長にもなり、'80年代後半から'90年代前半のマーベルをリードしていく。この話でも、新キャラクターのギアーズ・ガービンの登場や一輪車で走るヘンテコマシンマンファンタスティック・フォーとの共演など盛り沢山な内容で楽しませてくれる。

 このコミックが収録された合本は

 https://www.amazon.co.jp/dp/0785195777/

で購入できるので、是非!