アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN #14

1980年 APR

MARV WOLFMAN : writer/editor

STEVE DITKO : artist

 

 テレビでは、スクールバスの事故をマシンマンが救ったニュースが報じられていた。それを見たブリックマン上院議員は癇癪を起こす。マシンマンが人類の敵だというアピールで大統領の座を狙う彼にとって、マシンマンの評判が良くなるのはまずい事態なのだ。ブリックマンは二人の部下フレッドアーチーに対策を命じる。

 二人はハイラム・R・ゴールドスミス博士のところを訊ねた。博士はちょうど、人体の分子密度を上げる実験を行おうとしていた。実験台となるのは、バリー・ウィザースプーンという失業者だった。妻と子供を部屋から出し、バリーは実験に挑む。エネルギーがバリーの肉体に注ぎ込まれ、彼の体の密度が高まりそれと同時に心が消滅していき、エネルギーは暴走し、部屋は大爆発を起こした。だがバリーは無事で、素手で壁をまるで紙のように突き破るほどの超分子密度の体となっていた。フレッドとアーチーの二人は、これこそブリックマンの望んだマシンマンを倒す人材だと喜び、バリーに近づく。

 その頃マシンマンピーターと共に取材を受け、鉄塔を持ち上げるほどの力の強さを記者たちに見せていた。メイソンという女性記者は、マシンマンの力は脅威となると断じ、また、マシンマンのようなロボットが増えれば仕事を失う者が増えると批判する。まだマシンマンを恐れる者が多いのが実情だった。

 記者会見後、マシンマンアーロン・スタックの姿になり職場へ戻った。アーロンが気になり誘惑しようとする女性社員マギーは、アーロンにとびつきキスするが、アーロンは彼女を持ち上げて棚の上にあげてしまい、キスはあなたが必要な次の機会にするべきだ、たとえばエディーにと言って去る。侮辱されたと思ったマギーは、アーロンと徹底抗戦する決意を固めるのだった。

 ウォール街の金庫に、壁を破って侵入する人物がいた。警備員が銃を向けてみると、それはマシンマンだ! 警備員たちは銃を撃ち込むがマシンマンには通じず、殴り倒され金を奪われる。それは、バリーが変装したニセマシンマンだった。心を失ったように従うバリーを使うフレッドとアーチーは、マシンマンの評判を落とすのと同時に、金を手に入れられると有頂天になる。

 ピーターはマシンマンに電話し、ニセマシンマンが現れたことを知らせる。ピーターの家には警官がやって来て、ピーターは彼らに逮捕されてしまった。それを見たマシンマンは無実を証明しようと考える。この事件とは別にアーロンを見張っていたマギーの姿を見つけるが、マシンマンは彼女に見つからないよう抜けだし、偽者を探し始めた。

 バリー・ウィザースプーンが変装したニセマシンマンは貴金属店を襲い時計などを奪った。奇妙な短波を追ったマシンマンは、偽者が壁の穴から出てきたところを発見し、格闘となる。マシンマンは送電線を掴み相手に高圧電流を流すが全く通じない。その時おかしなことが起こった。マシンマンの体が横転したのだ。彼の体内で平衡感覚をつかさどるジャイロが、ニセマシンマンの高密度の体の影響で狂わされているのだ。偽者は去り、倒れていたマシンマンのところへ警官が駆けつけ、金品を奪った犯人扱いされてしまう。マシンマンは上空へ脱出する他なかった。

 この事件が報道され、ブリックマンはそれみたことかとマシンマン批判を再開する。一方マシンマンは秘かに夜の街を移動していた。またもアーロンを見張るマギーを見かけるがかまわず、ピーターが入れられた牢の窓に取り付き彼と話をする。だが階下にはメイソン記者がおり、写真を撮られてしまった。

 翌日、アーロンはマシンマンが牢に侵入しようとしたというデイリー・ビューグル新聞を見て驚く。一計を案じた彼は、マシンマンの姿となって警官の前に現れ、自分から捕らえられた。一方、フレッドとアーチーはまたもニセマシンマンを使って金庫を襲う。その姿が写真に撮られ、牢にいた本物のマシンマンの無実が証明された。あとは偽者を止めるだけだ。

 その頃、ブレッドとアーチーは仲間割れをしていた。ニセマシンマンの威力をさらなる金儲けに使おうとするフレッドは、慎重な意見のアーチーを邪魔者扱いし、マイクでニセマシンマンに命令してアーチーを追わせる。アーチーはマシンマンのところへ逃げ込んできたが、同時にニセマシンマンも壁を破って登場。再び戦いとなる。だがニセマシンマンにジャイロを狂わされてしまうマシンマンは普段の能力を発揮できず、伸びた足によるキックもまったく通じず、持ち上げられて共に窓から外へ落下していく。反重力装置で舞い上がり難を逃れたマシンマンは偽者を追い、トラックの荷台に入っていくのを発見。手足を伸ばしてトラックを横転させると、運転席からフレッドが現れニセマシンマンマシンマンを破壊せよと命じた。またも偽者に圧倒されるマシンマンであったが、手を伸ばしてフレッドが持っていたマイクを奪った。命令が伝えられなければ偽者は動かず、マシンマンはフレッドを捕らえる。フレッドはすべてがブリックマンの指示だったと白状するのだった。

 だがブリックマンはこの事実を否定し、さらなる反マシンマンキャンペーンを張るのだった。ニセマシンマンことバリーは、ブロードハースト博士の手で次元効果が反転され、再び元の体に戻ることができた。幸せそうに妻子と抱き合うバリーを、マシンマンは見守るのだった。

 

 ヒーローものに付きものである、ニセモノ話。ニセマシンマンはロボットではなく、体を高密度に変えられた人間の変装であり、科学実験の影響で超人化してしまうのはマーベルのいつもののパターンだ。この偽者はマシンマンのジャイロを狂わすため、本物を圧倒するのが面白い。それにしても、あらゆる事態にめげずに反マシンマン運動に突っ走るブリックマン上院議員がもの凄いです。

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