アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

昔のアメコミを紹介しています

MACHINE MAN #13

1980年 FEB

MARV WOLFMAN : SCRIPT/EDITS

STEVE DITKO : ART

 

 今マシンマンはエレベーターシャフトの内部に閉じ込められていた。上から彼を押しつぶすようにエレベーターが迫る。マシンマンは手足を伸ばしてエレベーターの降下を食い止めようとするが、彼の手足の伸縮力をもってしても止まらない。その姿をモニターしているのは、巨大飛行船ザナドゥの主、クビライ・カーンだ。この太った男は、マシンマンの完璧な能力に興味を持ち、マシンマンの性能をテストするためにエレベーター落下の罠を仕組んだのだ。マシンマンはエレベーターの発電機に取り付き、電力を自分に通して磁力として放ち、エレベーターを押し返すことに成功した。カーンはこの結果に満足し、マシンマンの体を手に入れることを決意する。

 クビライ・カーンはそのあと、巨大な自分の石像を作らせていた職人を、床を開いて飛行船から落として殺す。彼は冷酷な独裁者なのだ。モニターを見ると、マシンマンはカーンの手下どもを、腕を伸ばして撃退していた。満足したカーンは、マシンマンの高性能な体を、自分の頭脳を入れる器にしようと行動を開始する。

 時は移って、ここはデルマー保険。この会社では、人間アーロン・スタックとしてマシンマンが仕事を続けていた。真面目に仕事するアーロンに、エドワード・ホワイトがマギーとの仲を疑ってちょっかいを出してくる。マギー・ジョーンズもやってきて二人は言い合いを始め、アーロンは仕事だから別のところでやってくれと素っ気なく言う。そのあしらい方に二人は気を悪くして立ち去った。そこへ社長のベンジャミンがやってきて、アーロンの仕事ぶりを褒めた。社内はアーロンの噂で持ちきりだが、奇妙な感じも受けているという。彼らとも交流しようと思っていると言うアーロン。

 社長室を出たアーロンはマギーに誘われパーティーに出た。エドワードはアーロンにグラスを渡し、アーロンは勧められるままに飲む。それは強い酒で、エディーは悪戯のつもりで飲ませたのだが、初めて体内に摂取したアルコールはマシンマンの体に影響し、アーロンはふらついたあと倒れてしまう。

 気が付くとアーロンはピーター・スパルディングの家のベッドに寝ていた。ピーターに、きみは19時間眠っていたと聞いて驚くアーロン。さらにアーロンは機能の不調を訴え、ピーターはそれが二日酔いだよと答える。その時、ザナドゥではカーンの指示で特殊音波が発せられた。それを感知したアーロンは頭を押さえて苦しむ。原因を調べるためにアーロンはマシンマンの姿となり、空に飛び立った。

 工事現場の上を通過しようとした時、カーンのリモートコントロールによりビル破壊用鉄球がマシンマンを襲い、何度も激突する。カーンの声が響き、マシンマンの性能について科学雑誌を調査し、音波攻撃に弱いことも知っているぞと明かした。マシンマンは鉄球のワイヤーを掴んで重機を潰す。だが周囲にあった何台もの廃車が突然空を飛び、ライトからビームを発射し攻撃してきた。マシンマンは鉄球を振るい、ワイヤーで車をからめとって撃破する。

 罠は続き、マシンマンは巨大な迷路の中に閉じ込められた。さらに小型の飛行機械がレーザービームを撃って攻撃してくる。それを避けつつマシンマンは脱出の方法を探る。足を伸ばして迷路の天井を抜こうとしてみたが、天井は分厚い。ならばとマシンマンは体を回転させてドリルのように地面を掘り、脱出した。マシンマンに呼びかけるカーンの声は、マシンマンの性能を賞賛した。マシンマンの前に、巨大飛行船ザナドゥが姿を現す。

 内部に突入したマシンマンを、カーンの部下トングが待ち受けていた。このカーンの忠実な部下は、カーンにより肉体を強化され、また神経を切断されて痛みを感じない体になっているのだ。トングはマシンマンと格闘戦を繰り広げ、マシンマンは頭部を強打され意識を失ってしまう。トングは気絶したマシンマンの体を運んだ。カーンはマシンマンの体に意識を移し、永遠に生きようとしているのだ。マシンマンの体はカーンの太った体と共にベッドに寝かされ、頭脳置換機にかけられた。装置が作動し、マシンマンの体が起き上がる。成功を祝うトングは、あの機械の意識は古い体の中にあるのですねと訊ねる。だが、元のカーンの体がトングに呼びかけるのを聞き、精神が入れ替わっていない事が判った。トングは再びマシンマンを取り押さえようと格闘するが、さきほどとは打って変わってマシンマンはトングを圧倒する。実はマシンマンは自分を狙う者の目的を知るためにわざと倒されたのだった。腕を伸ばしてトングを投げ飛ばすマシンマン。太って病にも冒されていたカーンは元の体のまま、一体どうやったのだと訊ねる。マシンマンは装置の電極を反転させていたことを明かし、壁をぶち抜いてその場から去っていった。飛行船の中で装置がスパークし、大爆発を起こし、クビライ・カーンは最後を迎えるのだった。

 

 #11のラストから続く、クビライ・カーンの決着編。でっぷりと太ったこの東洋人の王者は、マシンマンの機械の体を自分の新たなボディにしようというとんでもない野望を抱き、周到な罠を巡らせてくるのが楽しい。敵の部下の東洋人の格闘家トングとの戦いも、マシンマンが倒された!という驚きがあるが、最後は因果応報の結末を迎えるのだ。

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