アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

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2001: A SPACE ODYSSEY #4

1977年 MAR

EDITED, WRITTEN AND DRAWN BY JACK KIRBY

 

 戦の用意は調った。ラクは自軍に侵攻命令を出す。新たに発明された車輪を備えた馬車に乗り、大軍団が出発していく! 石器時代を超える技術を得て軍を発展させたマラクは、ナポレオンに先駆けて世界を相手にしていた。進軍の先にある石器時代の部族の武器は新たに作られた金属の武器に粉砕され、対抗しようとする者は切り払われ、マラク軍の通った後には死体ばかりが広がり、動くものといえばハゲタカのみ。マラク軍の進撃は続き、その噂は恐怖とともに広まった。それを聞きつけた伝令が、リレーにより伝達され、女王ジャレッサの国へと伝わっていった。

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 知らせを受けたジャレッサの国の臣下は危険が迫っていることを女王に進言するが、女王はおびえる臣下を制し、精神の部屋へとおもむく。部屋の穴からモノリスが出現し、ジャレッサに運命を伝えるのだった。

 マラク軍はその後も進み続けていた。金属の武器は敵を圧倒し、金属の盾は敵の攻撃を防ぎ、馬は圧倒的なスピードをもたらし、車の発明は進軍に必要な食料や物資を大量に運ぶことを可能にしていた。そしてマラクはついに、目的であったジャレッサの国へと到達する。軍勢がその国を取り囲んだ時、城壁が開いて一人の女性が馬に乗り駆けてきた。マラクは軍に動かぬよう命じ、その女性ジャレッサと会う。初対面の二人だが、お互いによく知っていた。兜を取り素顔をさらしたマラクはジャレッサの手を取り、二人は結ばれるのだった。運命の輪のような進軍がもたらした技術の進歩を得て、二人はこれから国を発展させていくのだ。

 時は移り2001年。火星の衛星軌道上にある、巨大な輪のような宇宙ステーション「リバティーI」が、隕石群の襲来を受けていた。宇宙ステーションの司令官ハーバート・マリクは退避命令を下し、部下たちを脱出させていた。一人で宇宙ステーションに残ったマリクは眼前に迫る隕石群をスクリーンに見て死を覚悟するが、黒い石板がいるのを見て宇宙服に着替え最後の探索に向かった。モノリスを通り抜けたマリクは様々な宇宙のイメージを見る。恐ろしげな触手怪物や、巨大な岸壁を通り抜け、彼は古い街の側の草むらに倒れていた。

 彼は宇宙服から半裸の姿となっており、古代の装束に身を包んだ女性が彼の側に待っていた。運命の出会いを感じた二人は、共に街に歩みだす。二人はこのあと人生を共にし、子孫を増やすのだ。モノリスは、スター・チャイルドにならなかった二人を見送る。一方で、スター・チャイルドになった者は星の世界へと旅立っていくのだった。

 

 マラクのストーリー後編。武力による進撃を続けたマラクも、最後には運命の出会いを経て子孫を残し国を繁栄させる。過去編最長のページ数を使った描写は素晴らしい。一方、後半の未来編では、初めてスター・チャイルドにならないエンディングが描かれた。こういう、映画の筋書き以外のエンドもありなのかと驚かされる。