アメコミ情報誌SleepWalker Blog版

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X-MEN 1999

ALAN DAVIS and RICK LEONARDI : story and art

TERRY KAVANAGH : script

 

 彼はグロックファランクスという異星のテクノ・オーガニック生命体の力を持っている。だが一方で彼は人間だった。ダグ・ラムジーという名のミュータントで、ニューミュータンツの仲間たちはサイファと呼んでいた。チーム内に親友のウォーロックがいた。彼はファランクスのはぐれ者だった。激しい戦いで二人は死に、埋葬されたあと融合し、ダグロックとなった。そして英国のミュータントチーム、エクスカリバーの一員になった。

 だが今の彼は、レッドスカルの奴隷だった。彼はレッドスカルと共にS.H.I.E.L.D.ヘリキャリアを襲撃したのだ。レッドスカルは彼を蹴りつけ、まだ抵抗しやがるのかと怒る。その周りには、テクノ・オーガニック化されたS.H.I.E.L.D.のエージェントたちが立っていた。ダグロックの体に無数の配線がコネクトされ、ヘリキャリアのシステムを乗っ取ろうとしている。進行が遅いことにいらだち罵倒するスカル。この男は狂人だった。

 ダグロックを追ってヘリキャリアへ潜入したナイトクローラーことカート・ワグナーは物陰から船内をうかがっていたが、エージェントたちがまったく会話を交わさないことに驚いていた。一体何が起きているのか? ナイトクローラーはエージェントの一人を捕獲しようと天井から吊り下がって出現するが、エージェントがノーリアクションなのに驚く。ナイトクローラーはエージェントを捕らえ、彼のミュータント能力であるテレポートでその場から消える。

 ナイトクローラーが出現した場所には、仲間のコロッサスシャドウキャットが待っていた。彼らはX-MEN。シャドウキャットはエージェントを調べ、体に有機機械が侵入している事を知る。だが何故か。考える三人だが、彼らの前にS.H.I.E.L.D.の司令官ニック・フューリー大佐が登場、銃を突きつける。

 ダグロックはレッドスカルが支配した世界の悪夢を見ていた。レッドスカルはコズミックキューブの力を得て再びキャプテン・アメリカと戦ったが、キューブの使用を誤り吹き飛ばされ、英国に落下しダグロックを発見したのだ。スカルは残っていたキューブの力に願い、ダグロックとそのテクノ・オーガニックの力を手中に収めた。ダグロックに触れたスカルの左手は、機械のカギ爪に変化した。その後レッドスカルはS.H.I.E.L.D.のエージェントを捕らえ、ヘリキャリアに侵入したのだった。

 銃を向けるニック・フューリーを、以前一緒に働いた事のあるシャドウキャットは説得。自分たちがダグロックを助けに来た事を伝える。フューリーは三人のミュータントを信用し、共同戦線を張ることにした。

 一方、ニューヨークはセイラム・センターのエグゼビア高等教育研究所、つまりX-MENの本部では、ストームガンビットを呼び出し、マロウの検査結果に、異様なパターンの信号が現れている事を話す。それは、ファランクスのものに似ていた。彼らはX-MENの専用機ブラックバードを発進させる。

 レッドスカルはS.H.I.E.L.D.の新兵器として作られたサイボーグ、デスロックと、アンドロイドのマシンマンを発見。スカルはデスロックを指して、こいつは無駄なものだが、一つ興味のある要素がある、人間の脳をコンピューターと統合するところだと言う。その技術を使えばダグロックのようにこいつを操る事ができると考えたレッドスカルは、ソール少佐を銃で脅して協力させる。

 ニック・フューリーは三人のX-MENに現在の状況を教えていた。レッドスカルが襲来しているという説明に驚くX-MEN。フューリーはヘリキャリアの機能を説明し、小さな国ぐらいならば壊滅させられる装備を持っていると言う。それをレッドスカルは乗っ取ろうとしているのだ。ニック・フューリーは、レッドスカルを一発で殺さなければならないと言う。一方シャドウキャットはダグロックを探すのを優先したい。ナイトクローラーは両者をまとめ、シャドウキャットとコロッサスがダグロックを探し、自分がテレポート能力を駆使してフューリー大佐のフォローをするというチーム分けを提案。大佐も同意する。

 スカルに脅されたソール少佐はなるべく時間稼ぎをしようとするが、レッドスカルが監視しているためそれもうまくいかない。レッドスカルはヘリキャリアのデータベースを調べ、テクノウイルスの分析研究の結果を得る。スカルはこの星を征服してやると息巻く。

 沢山の配線を接続され、ヘリキャリアのハッキングを行っているダグロックだが、その意識はまだ残っていた。ダグロックはレッドスカルに抵抗する方法を探し、デスロックとマシンマンを発見して起動させる。

 ナイトクローラーはニック・フューリーを連れてテレポート。出現した場所がヘリキャリアの武器庫なのを見て、フューリーはここでやる事があるとデッキへ降りていく。

 コロッサスとナイトクローラーはダグロックを探すため潜入しようとしていたが、そこへ手が伸びてきて止められる。それはマシンマンだった。マシンマンはここに捕らえられしばらくオフラインの状態だったが、ダグロックにより再起動されたと言う。そして、他の人間を脱出させるため役立ちたいと語る。ダグロックについて二人が訊ねると、コンピューターリンクしているマシンマンは正確な位置を指示してくれた。だが彼はもう生きていないかも知れないと言うマシンマンの言葉に、シャドウキャットは囚われている人々の解放をコロッサスとマシンマンに任せ、自分はダグロックを探しに行く。

 ソール少佐の作業が進まないのにレッドスカルは苛立つ。少佐は理由を説明しようとするが、スカルは聞かず、相手を操るのに用いる画鋲型のデバイスを突き刺し少佐を殺してしまった。その時、何か大きな音が聞こえた。ニック・フューリーが武器庫を爆破したのだ。ヘリキャリアの高度が下がっていく。

 機械化されなかったS.H.I.E.L.D.隊員たちは一室に捕らえられていたが、パンチで壁が破られ、コロッサスとマシンマンが救出に現れた。

 また、起動したデスロックは攻撃兵器としての性能通りにS.H.I.E.L.D.のエージェントを蹴散らして進み、ダグロックの前に到達する。デスロックはダグロックに銃を向けるが、壁を透過してシャドウキャットが割って入った。ダグロックは、デスロックも犠牲者なんだと言う。

 フューリーとナイトクローラーは共にヘリキャリア内を進行するが、エージェントたちが攻撃してきた。ナイトクローラーはテレポートを繰り返しあっという間に3人のエージェントを倒す。

 コロッサスとマシンマンは解放したエージェントたちを甲板へ誘導していた。だがヘリキャリアは空中にあり、脱出はできない。さらにそこへ敵に操られたS.H.I.E.L.D.のロボットの群れが迫る。マシンマンは、私に考えがあると言ってヘリキャリアから下へ飛んでいった。あのロボットはここを見捨てるぞ、俺たちを置いて逃げる気だと叫ぶS.H.I.E.L.D.エージェント。コロッサスは、君たちが攻撃し捕らえたから彼はここにいるのだ、それを許し、君たちを救うために彼は危険を冒しているのに、君たちはまだ彼を信用していないのかと言う。そして、迫るロボットたちに突っ込んでいき食い止める。マシンマンは海岸の岩の隙間に足を突っ込み、脚を伸ばしてヘリキャリアまで上昇し、甲板の手すりを掴んで、自分をロープ代わりにして地上に滑り降りろと言う。二人の活躍を目の当たりにしてS.H.I.E.L.D.エージェントたちも奮い立ち、団結して脱出していく。

 船内で戦い続けるニック・フューリーとナイトクローラー。だがニックの足場をロボットが崩し、ニックは落下。レッドスカルが操るエージェントたちに捕らえられてしまう。スカルは先ほどの画鋲型デバイスを持ち出す。

 弱気なダグロックを励ますシャドウキャットことキティ・プライド。彼女の物体透過能力は電気機器を配線を切ることができると、ダグロックをつないでいるケーブルに自分の体を通す。感電し倒れて気絶するシャドウキャット。ダグロックはうなだれて謝り、この危機に対してたった1つの解決方法があるとつぶやく。

 レッドスカルが迫り、ニック・フューリー絶体絶命のピンチ。それを見たナイトクローラーは両者の間にテレポートする。が、フューリーは、レッドスカルの機械化された左手を掴み引き抜いた! スパークが起こり、悲鳴を上げるスカル。

 それにより、ダグロックへのスカルの支配が切れた。僕は彼の物じゃない、レッドスカルはインターフェイスから分離されたと言うダグロック。彼と同じく、テクノ・オーガニック化されコントロールされていたS.H.I.E.L.D.のエージェントたちも意識を取り戻し、脱出を開始する。ダグロックはデスロックを解放し、デスロックは部屋を出て行く。ダグロックは、命がけで彼を救おうとしてくれたキティ・プライドを抱き上げ運んでいく。

 甲板に爆煙が上がる。いまだコロッサスがロボット軍団を相手に奮闘していた。だが数が多すぎる。まだ避難していないS.H.I.E.L.D.隊員は十数名いた。しかしマシンマンにも限界が来ていた。コロッサスはマシンマンに脱出するように言うが、S.H.I.E.L.D.隊員を逃がすロープ代わりになっているマシンマンは踏ん張っている。その甲斐あって一人また一人とエージェントたちが地上へ到達していた。だがマシンマンの頭部がスパークしている。S.H.I.E.L.D.に解体されたあと動き出したマシンマンの内部に不備が生じているのだ。限界が来て、マシンマンは手を離してしまい、落下し爆発する。

 そしてロボット軍団に一人で立ち向かっていたコロッサスも限界が近かった。奇跡でも起きなければ助からないと彼が思ったその時、上空からローグが急降下しロボットをぶっ飛ばした。上空にはブラックバードが飛んでいる。ストームも登場し、竜巻でロボットたちを巻き上げる。ナイトクローラーのテレポートでニック・フューリーも甲板に現れた。フューリーはレッドスカルから奪った左腕を海に投げ捨てるのだった。

 ローグはコロッサスを掴んで飛んでいく。残りのS.H.I.E.L.D.隊員はストームが竜巻で運ぶ。そこへ、シャドウキャットを抱えてダグロックが現れた。ヘリキャリアはますます高度を下げている。ニック・フューリーの判断で、一同は地上へ退避した。内部の艦橋にはまだレッドスカルがいたが、彼はヘリキャリアと共に落ちていく。

 ダグロックはニック・フューリーに謝ろうとするが、フューリー大佐はきみも犠牲者だった、きみはここには居なかったのだと不問に処す。X-MENと別れるフューリー。事件は解決した。だが、この事件に関わった三人の機械人はこのあとどうなるのか。爆発したマシンマンの頭部はもげて瓦礫の中に落ちていた。新たなサイボーグ戦士デスロックは街へ放たれた。彼らは恐れられ憎まれながら、この世界での位置を探さなければならないのだ。

 

 このTHE DAWN OF M TECH完結編は、X-MENのこの年のANNUAL(年刊)誌として発行された。

 ニック・フューリーとX-MENたちの連携が楽しめる一作。新デスロックが登場したものの、いまいち活躍しないのが残念。甲板でコロッサスに迫るS.H.I.E.L.D.のネメシス・ドロイドやライフ・モデル・デコイといったロボットたちの方が印象的。レッドスカルに追いつめられても的確な反撃をしてのけるニック・フューリーは流石だ。

 解体後放置されていたマシンマンはよく動けたと思うが、最後に爆発し首だけになってしまう。S.H.I.E.L.D.隊員も命を助けられたんだから探してやれよ。

 このクロスオーバーのあと、MARVEL TECHというレーベルで機械人を主人公にした3冊のコミック、WARLOCK、X-51、DEATHLOKが新創刊された。マシンマンの第3の連載タイトルがスタートする!

THE UNCANNY X-MEN #371

1999年 AUG

ALAN DAVIS : PLOT  JIMMY CHEUNG : GUEST PENCILS  TERRY KAVANAGH : SCRIPT

 

 地球へ戻るスクラル宇宙船の中で、プロフェッサー・チャールズ・エグゼビアは悪夢に苦しんでいた。過去に共に戦ったサンダーバードマジックジョセフの死を思い出した彼は、自分の周囲でたくさんのX-MENが倒れている夢を見る。彼の指導は本当は間違っていたのではないか? 周りの人間を死に追いやっているだけではないのか? 最近も、スクラル人の居住惑星がギャラクタスによって壊滅し、その星の80億人のスクラル人が死滅するのを止められなかった。精神的な重圧から、チャールズ・エグゼビアは悲鳴を上げる。

 教授の声に、宇宙船内のX-MENは驚いて駆け寄る。目覚めたチャールズはびっしょり汗をかいていた。スクラル人の星が崩壊したあと、宇宙船は自動操縦で地球へ戻っている。

 その地球では、マシンマンS.H.I.E.L.D.の部隊の攻撃を受けていた。地上の戦闘員と空中のヘリや飛行部隊から激しい銃撃を受ける。崖に追いつめられたマシンマンは攻撃部隊の方へ向きなおり突進するが、エージェントが撃った特殊弾がボディへ吸着すると、強力な電撃が走り煙を吹いて機能停止してしまう。マシンマンを確保したS.H.I.E.L.D.のエージェントたちは、このハードウェアは新たなプロジェクト:デスロックに使用されると言う。

 スクラル宇宙船は地球へ接近していた。チャールズは最近の自分の態度についてストームに謝るが、ストームは謝る必要なんてないですよと答える。コロッサスマロウに声をかける。マロウは窓ガラスに自分の顔を映して、彼女のミュータント能力のため骨が飛び出た顔を気にしていたが、絵を描き芸術的な趣向をもつコロッサスは美的な形だよと言い、マロウは喜ぶ。

 操縦席からシャドウキャットことキティ・プライドが、着陸場所をどうするか聞いてきた。スクラル宇宙船のサイズでは、X-MENの基地セイラムセンターへの着陸は不都合があるだろうと言うキティ。イトクローラことカート・ワグナーは元エクスカリバーの基地がある英国のミューアを提案する。

 X-MEN本部の屋敷にいたローグは、通信の音を聞いて飛んでいく。スクリーンに宇宙船の一同が映り、ミューア島に降下すると伝えてきた。ローグは一行の中にガンビットがいるのを見て、レミーは生きてたと喜ぶ。

 北大西洋4万フィート上空のS.H.I.E.L.D.のヘリキャリア内の研究室では、捕獲したマシンマンの解体作業が進んでいた。彼らは新たなプロジェクト:デスロックにパーツを使うつもりなのだ。以前の任務で重傷を負ったある男が生命維持ポッドに入れられ、目だけでその様子を見ていた。科学者たちは、このエージェントに改良された脳・神経系を与えられればそれで良いと話し合っている。

 スクラル宇宙船はミューア島のドッグに着陸した。宇宙船から降りるX-MEN。コロッサスは宇宙船の外装がボロボロになっているのを見て、想像以上に危険な状態だったのを指摘し、ウルヴァリンはラッキーだったぜと答える。これから食事でもどうかと話しているシャドウキャットたちだが、教授はすぐここを出ると言う。グロックや新婚のキャプテン・ブリテンメガン夫妻に会っていかれないのですかと訊ねるキティだが、教授は焦っているようだった。ストームは休養が必要だと言い、教授もしぶしぶ認める。

 S.H.I.E.L.D.のヘリキャリアでは、どう見てもマッドサイエンティストに製作されたような新たな機械人間ボディを見て、司令官ニック・フューリーが激怒していた。彼はこの計画を知らされていなかったのだ。S.H.I.E.L.D.はアメリカの国民に説明責任がある連邦防衛組織だぞと怒鳴りつける。だがそこへ、このプロジェクトの責任者ソール少佐が現れ、以前ケーブルがヘリキャリアを破壊した事件があり、またマグニートの行動によりS.H.I.E.L.D.の処理能力が不足していることで、議会がミュータントを危険視した結果だと説明。さらに、ミューア島にてテクノ・ウイルスのエネルギー波が検知された事、島に巨大飛行物体が着陸した事を報告する。

 そのミューア島にて、アメリカへ帰還するX-MENジェット機をシャドウキャット、コロッサス、ナイトクローラの三人は見送る。彼らは離れの小屋に明かりがついてるのを見つけ、ダグロックがいるのかと小屋に行ってみる。

 ジェット機の中では、教授が変わらず苦悩していた。後部座席ではガンビットが自分の能力でマロウを傷つけたことを謝っていたが、気にしていないわとマロウに抱きつかれて驚く。

 小屋に入ったナイトクローラたちはパソコンを調べ、ダグロックがいたらしい事を知る。外に出てダグロックを呼ぶ三人だが、飛行機のソニックブームの爆音が聞こえた。驚きそちらへ向かう三人。S.H.I.E.L.D.にいた経験のあるキティは、S.H.I.E.L.D.のシャトルの音のようだったと言う。向かった先には地面がむき出しになっており、キティは地面にあった灰にテクノウイルスの残渣を発見。よく見ると、周囲にはまるでうねった木のようにテクノウイルスの有機機械が伸びていた。有機機械人間だったウォーロック由来のボディを持つダグロックに何かあったのではと心配するキティ。

 ミューア島の南方ではS.H.I.E.L.D.のエージェントが探索を行っていたが、突如地面から有機機械が伸び襲われる。続いて、全身のテクノウイルスが暴走し異様が状態となったダグロックが出現し、叫び声を上げた!

 

 THE DAWN OF  M TECH編と名付けられた連作シリーズ第1話。X-MEN側としては、前回までの宇宙での事件後の帰還と、英国でのダグロックの異変が描かれる。一方S.H.I.E.L.D.側では、マシンマンを捕獲し新たなデスロックを製作というかなりマッドな作戦が展開しており、ニック・フューリーにも止められない状況だ。

 ダグロックは英国のミュータントチーム、エクスカリバーに所属していたヒーローで、元々ニューミュータンツにいた言語能力者のミュータント、サイファーことダグ・ラムジーと、機械生命体ウォーロックが死後融合したキャラクターだった。

 パーツ取りのためにX-51がS.H.I.E.L.D.に捕獲されるというのはあまりに唐突で、アベンジャーズにも所属しある程度知名度のあるマシンマンに対してよくこんな作戦が認められたなと思うが、陰謀が進行しているのが見られ、盛り上がる。

THUNDERBOLTS #29

1999年 AUG

KURT BUSIEK & MARK BAGLEY : STORYTELLERS

 

 サンフランシスコのSWATチームのヘリコプターが、上空1万マイルの宇宙空間に浮いていた。ガラスが割れ、外に飛び出した乗員は血液が沸騰し肺は破裂し死亡している。この異常な事態を引き起こしたのは、重力を操るヴィラングラビトンだった。彼は空に浮く島に自分の国を作り、自分を阻止しようとしたヒーローたちを捕らえていた。ホークアイアトラスソングバードムーンストーン、そしてアークエンジェルは、グラビトンの作る重力により体を固定されている。このヒーローたちは元ヴィランで結成されたサンダーボルツというチームで、アークエンジェルと出会った後この事件に遭遇していたのだ。グラビトンは自ら作った空に浮く王国の住人を集め、そこでは誰もが空を飛ぶことができた。武器を持って集まっている住人に、こいつらは明日の夜明けに始末するとグラビトンは宣言する。

 その様子を、難を逃れた2人のチームメンバーが見ていた。ジョルトチャコールだ。仲間を助けに飛び出そうとするジョルトをチャコールが止め、彼らは助けを探すことにする。

 空の都市の都に戻ったグラビトンを、3人の半裸の美女が出迎える。かれはここでは王だった。元はフランクリン・ホール博士という平凡な科学者だった彼は、事故で重力を操るパワーを得て、人生が変わったのだ。富。権力。女。贅沢。だが彼はまだ満足していなかった。

 ジョルトはアベンジャーズファンタスティック・フォーに電話するが、どちらも不在だった。どうすればいいのかと考えるチャコールとジョルトだが、ジョルトに良い考えが閃く。

 一方、ホークアイたちサンダーボルツとアークエンジェルは、空の島の建物に捕らえられていた。周囲には重力フィールドが張られている。ホークアイはフィールドに突進してみるがあっさり弾かれて倒れ、このまま眠ってみた方が良い考えが浮かぶかもと言う。他のメンバーにもここから脱出する能力はなかった。アトラスはジョルトとチャコールに期待する。だがムーンストーンはそうは考えなかった。

 横になっているホークアイが目を開くと、ソングバードが側にいた。ソングバードは前に助けられたことにお礼を言いたかったのといい、ホークアイにキスする。ホークアイは驚くが、不安がるソングバードを安心させるため抱きしめる。だが、ホークアイムーンストーンが歩いていくのを見た。彼女は何をしようと考えているのか。不安を感じるホークアイ

 その頃、以前はビートルというヴィランだったサンダーボルツの一員、マッハ1ことエイブ・ジェンキンスは牢から出されたが、そこに超人活動委員会のヘンリー・ガイリックが彼を待ちうけていた。

 一方カリフォルニアは南サンディエゴの海岸近くの別荘地では、空に巨大なX-51という火文字が描かれていた。体をマグマ化して飛ぶチャコールが描いたものだが、発案はジョルトである。ジョルトは先週テレビでマシンマンがこの付近にいるのを見たと言う。マシンマンは軍が開発した人間の知能を持つロボットで、アベンジャーズに所属している。飛行バイクに乗って飛ぶジョルトは、彼に助けを求めようと言うが、そこへマシンマンの首が伸びてきて返事をした。驚く二人。見れば眼下の別荘の煙突から首が伸びている。マシンマンはギアーズが案内するよと言い、ジョルトとチャコールはギアーズってロボットかと言いながら降下する。下でマシンマンの整備を行う友人でメカニックの天才ギアーズ・ガービンが待っていた。二人を中へ招き入れるガービン。

 だが、別荘の中でマシンマンは外装をバラバラに分解されていた。年一回の維持管理分解中なんだと言うマシンマン。彼は、ジョルトとチャコールがサンダーボルツに所属し、サンフランシスコでグラビトンと戦っている事まで知っていた。分解整備中のため同行できないマシンマンだが、二人の助けになる方法はあると言う。

 別荘の外では、S.H.I.E.L.D.のエージェント二人が、中の会話を盗聴していた。サンダーボルツ2名が来ているが問題ない事を本部へ報告、増援を待てと指示を受け、二人は監視を続ける。一体何故S.H.I.E.L.D.はX-51を見張っているのか。

 空の島では、さらなる高みを目指すグラビトンが、部下にムーンストーンを連れて来させていた。ムーンストーンは重力フィールドで囲まれ抵抗できなくされている。グラビトンは彼女にむかって自分を誇示し、俺は王だ、今や神同然だと言い従わせようとする。その様子を見て、ムーンドラゴンは痛々しいほど自意識過剰だと罵倒する。怒ったグラビトンは彼女を牢に戻し、あとで他の奴らと一緒に殺してやると叫ぶ。

 夜明けが来た。グラビトンは、サンダーボルツを重力フィールドで捕らえてこの国の民衆の前に引き出し、この犯罪者どもは空島の皇帝グラビトンI世の感情を害した、よって死刑であると宣言。しかしグラビトンは公正な人間である、慈悲を懇願する者には死から逃れるチャンスをやろうと語るが、ムーンストーンが屈しないのを見て刑の執行を決める。

 だがジョルトが現れ両手からエネルギーをスパークさせグラビトンを吹き飛ばした。そういえばサンダーボルツはまだ残りがいたなと言い、グラビトンは重力でジョルトを捕らえようとするが、何故かその力が通じず焦る。再びグラビトンを吹き飛ばすジョルト。こんな小娘一人にと怒るグラビトンだが、ジョルトは数秒間彼の注意をそらす役目であり、その隙にもう一人、チャコールがサンダーボルツを解放した。チャコールは、マシンマンは重力方程式をキャンセルする技術により空を飛んでいる、彼は同行できなかったが、内部の反重力装置を貸してくれたのさと明かした。

 サンダーボルツは反撃! ソングバードの声が、アトラスのパンチが、ムーンストーンのブラストがグラビトンを直撃する。地面に叩きつけられたグラビトンに、この国の民衆である犯罪者たちが加勢しようとするが、グラビトンは退避せよと指示し、私に助けなど要らぬと叫び岩石を飛ばして攻撃してくる。ホークアイは弓を射るがグラビトンは何なく撃ち落とす。だがその隙にムーンストーンの蹴りが炸裂。続いてアークエンジェルのパンチ、ソングバードの固体化音波が打ち込まれ、グラビトンは地面を割って撃沈。さらにチャコールとアトラスがグラビトンをめった打ちにする。

 だが、グラビトンは反撃に転じた。チャコールとアトラスの立っていた地面ごと吹き飛ばし、それは遠く離れたビルに激突する。ムーンストーンはグラビトンに近づくが、敵はこれまで異常のパワーを放ち姿が変貌していた!

 

 サンダーボルツは、オンスロート事件でアベンジャーズなどヒーローたちが消えていた間隙に登場したチーム。当初はヴィランがスーパーヒーローに擬装し暗躍するための表の顔であった。だがメンバーたちがヒーローとして活躍していく事に意欲を感じ始め、首謀者であるシチズンV(バロン・ジーモ)から離反し真のスーパーヒーローチームとなった。アトラスはアベンジャーズの敵パワーマン(ゴライアスとも名乗っていた)、ソングバードはザ・シング&デスロックの話でスクリーミング・ミミという名で登場、ムーンストーンキャプテン・アメリカの敵ドクター・ファウスタスの協力者として登場したあとマスターズ・オブ・エビルにも参加と、全員がヴィランだった。また、彼らに合流しチームリーダーとなったホークアイも最初はアイアンマンの敵であった。ゲストキャラとして登場しているX-MENアークエンジェルもアポカリプスに改造され敵となっていた時期がある。

 グラビトンはアベンジャーズヴィラン。重力を意のままに操るという異様に強力な特殊能力とは裏腹に、自己顕示欲のままに振る舞う小物っぷりを発揮していて笑える。

 ヘンリー・ピーター・ガイリックは’77年のAVENGERS #165で初登場した政府機関員で、スーパーヒーローを危険視し管理活動を行っている人物。このあとマシンマンにからんで何度も登場する。

 マシンマンが意外な登場をするのだが、友達のギアーズ・ガービンが整備をしていたり、彼が空を飛べるのは反重力装置を内蔵しているからという設定が使われていたりと、旧作を活かしているのはいかにもカート・ビュシークらしくて嬉しい。

 この話で登場したマシンマンのその後の展開は、UNCANNY X-MEN #371、X-MEN #91、X-MEN 1999と続き、新タイトル創刊へとつながっていく。

BLUE BEETLE: REBIRTH #1

2016年 OCT

BROUGHT TO YOU BY: KEITH GIFFEN & SCOTT KOLINS: STORY

GIFFEN: SCRIPT

KOLINS: ART AND COVER

 

 ごく普通の少年だったハイメ・レイエスは青い甲虫型のアイテム「スカラベ」に融合され、アーマーヒーロー「ブルービートル」となった。億万長者の実業家でかつてはヒーロー「2代目ブルービートル」だったテッド・コードは、発明品を使ってハイメを助けて戦う。

 テキサス州エル・パソのレイエス家から、ハイメの妹ミラグロが駆け出し、友達と会って登校していく。続いてハイメが両親に挨拶して家から出、友人のブレンダパコに会って挨拶する。二人はあいかわらずネットゲームの事で口論していてハイメそっちのけでやりあう。通学中、突然ハイメのスマートフォンが鳴った。相手はテッド・コードで、ちょっと待てない?とハイメが言うのも聞かず、事件発生を伝える。巨大甲虫型メカに乗って基地から飛び立つテッド。こっちの話を聞いてくれないテッドに不満を持ちつつ、ブレンダとパコに励まされ、ハイメは脊椎に融合したブルービートルアーマーを展開し変身した! 翼を開いて飛び、現場へ向かう。

 事件が起きたのはコーヒーショップで、周囲の車やドアなどが破壊され、店内の客が脅える中、ラックルインという鉢巻きをして顔をマスクで覆った怪人がのんきにコーヒーを飲みながら相手の到着を待っていた。巨大甲虫型メカに合流したブルービートルは、怪人が地面に書いた呼び出しメッセージ「BRING BLUE BETLE」を見てBEETLEのスペルが間違ってる、敵はバカなのか?と思う。コーヒーショップへ降下するブルービートル。

 店内で怪人たちと対峙、怪人が客に暴力を振るったため戦闘開始。ラックは背後から冷蔵庫をぶつけ、後ろから掴みかかるが、ブルービートルアーマーが衝撃波を放ち天井に叩きつけた。そこへルインが首に手をかけ絞めてくる。テッドが無線で指示を伝えてくるが、聞いている暇などないハイメは苛立つ。アーマーは自動で反撃のためのビーム砲を展開し、ハイメは相手に当てないように上へ向けて発砲、上空にいたテッドは驚く。ルインの体当たりでハイメは壁に激突、煉瓦が崩れ客へ落下する。翼を展開して落下物を受け止め、客を逃がすブルービートル。後輩の活躍を喜ぶテッド。

 ラックとルインはブルービートルの腕をそれぞれ引っ張り苦しめるが、ブルービートルはアーマーに増幅された力で二人を激突させた。粉々になってしまう敵。ロボットだったのか?と驚くハイメだが、バラバラになった敵の手や足が襲ってきた! 苦戦するブルービートル。テッドは対抗策を講じてティスプレイの手順を進めるが、待ってろと言われて攻撃を受け続けるハイメにとってはたまったものではない。ようやく巨大甲虫型メカから砲撃が放たれ、他にも敵がいると知り二人の怪人は逃走した。不満を抱えたハイメだけが残される。

 テッド・コードは基地でハイメに、俺のことはミスター・コードではなくテッドと呼んでくれと親しみを込めて話すが、不満げなハイメはこんな巨大メカ作る暇があるんなら自分に融合したスカラベを外してくださいよとぼやく。テッドはこの巨大甲虫型メカは移動基地で、空飛ぶバットケイブみたいなものなんだと説明する。バットケイブなんて要りませんよとハイメ。テッドは自分のあとにブルービートルとなった後輩ヒーローをできるだけ支援したいと考えるが、できればスカラベから解放されたいと望むハイメはバットマン&ロビンみたいにはなりませんと突っぱねる。話している最中、再びアーマーが起動してブルービートルになったハイメは、学校に行かないとと飛び立つ。見送ったテッドの前に突然、魔術師ヒーロードクター・フェイトが出現した。ドクター・フェイトは、きみたちはブルービートルのスカラベを異星科学の産物だと考えているようだがそれは誤りだ、これは魔法だと指摘する。

 夕方になり、ブレンダは帰宅。アンパロ伯母さんは養娘に愛情を込めて言葉をかけるが、実は彼女は悪の黒幕であり、部下から電話でブルービートルが戦闘中に誰かと会話をしていて気が散っていたようだとの報告を受け、敵が複数いることを把握し、打倒のため情報収集を命じ、次の手を打とうと動き出すのだった。

 2005年のCOUNTDOWN TO INFINITE CRISIS #1にて、2代目ブルービートルことテッド・コードが殺された。キース・ギフェン&J.M.デマティスジャスティス・リーグ・インターナショナルなどで2代目ブルービートルとブースターゴールドやガイ・ガードナーたちのわちゃわちゃ痛快活劇を楽しんだファンは怒る。だがINFINITE CRISISクロスオーバーで3代目ブルービートルことハイメ・レイエスが登場し、2006年にBLUE BEETLE新タイトルをキース・ギフェンがジョン・ロジャースと組んで創作することを知り、ファンは注目した。

 こうしてスタートした3代目ブルービートルの物語は、普通の少年が偶然手に入れたアイテムによりアーマーヒーローになるが、それは異星科学によるもので、後に異星人のアーマーヴィランと対決することになるという、マーベルのダークホークでも描かれた新たなヤングヒーローとして人気を博し、最初のシリーズは#36まで続く。このシリーズの#1-6までが日本語版『ブルービートル:青い衝撃』として発行されているのでお勧めする。DCが歴史をリセットしNEW52という新タイトルを展開した2011年には2回目のシリーズが#16まで発行された。

 そしてそのあと、2016年になってDCが新体制でスタートさせたDC UNIVERSE REBIRTHの一環として、再びキース・ギフェンにより単発誌の本作BLUE BEETLE: REBIRTHが刊行され、続けて3代目ブルービートル3回目のシリーズが新たに発行されていく。

 本作は3代目ブルービートルの基本設定をおさらいしつつ、復活したテッド・コードとのコンビ(当初はこのコンビがうまくいってないところから描くのが巧い)を描くが、ラストに突然登場したドクター・フェイトが「ブルービートルのアーマーは異星人の科学で作られたのではなく魔法の産物だ」と爆弾発言を投下し、これまでの物語の基本設定を思い切りちゃぶ台返ししてしまうのがいかにもギフェンらしい。ギフェンはこれまでも、一時はタイトル完結したFATE誌を設定修正して一から語り直すBOOK OF FATE誌でひっくり返した前科があり、この自由さがファンの心を掴むのだ。

 キャラの会話において、ギフェンらしい「特に話の展開に関係ない無意味とも言える台詞」がばらまかれており、ヒーローものっぽい説明口調にならない自然で自由な感じを作品に与えているのが読んでいて楽しいのだ。

夏コミ告知

アメコミ向上委員会は、8月12日(土)コミックマーケット102にサークル参加します。スペースは東地区 マ-15bです。

当日の頒布予定は以下の通りです。

 

〈新刊〉

ジャック・カービーファンタスティック・フォー - グラフィティ -

:以前に出した『ジャック・カービーファンタスティック・フォー - 接触篇 -』『ジャック・カービーファンタスティック・フォー - 発動篇 -』の続きから、カービー最後のファンタスティック・フォー執筆までの、ジャック・カービーによって最高に盛り上がった時期のファンタスティック・フォーを大紹介しています!

 

〈既刊〉

ジャック・カービーファンタスティック・フォー - 接触篇 -

:1961年のFantastic Four #1から、ジャック・カービーが描いたファンタスティック・フォーが登場するコミックを紹介しています! MARVELのスーパーヒーローコミックの歴史を是非!

 

ジャック・カービーファンタスティック・フォー - 発動篇 -

:『- 接触篇 -』のあとの、Fantastic Four #22-56の時期の、ジャック・カービーが描いたファンタスティック・フォーを紹介しています。アートとストーリーの超進化を御覧あれ!

 

ジョン・バーンのDC/MARVELクロスオーバー ダークサイドVSギャラクタス ザ・ハンガー バットマンキャプテン・アメリカ

:タイトル通り、ジョン・バーンによるDC/MARVELクロスオーバー2作を御紹介! 二つの世界の交流の行方は?

 

出でよ、ザ・デーモン エトリガン!!

ジャック・カービーが'72年からナショナル社(現DC)で創作した、悪魔が主人公のコミック『ザ・デーモン』を御紹介!

 

〈委託〉

Shadowplay!

:アメコミサークル「ふらいぺーぱー」のHumanfly様による、MARVELのEpicレーベルで発行された、スーパーヒーローのいない世界で影に動く超人たちを描いたDOCTOR ZERO、POWERLINE、ST. GEORGEという同一世界観の知られざる名作「シャドウラインサーガ」を完全解説した340ページ(カラーページあり)の大作! コミケでは初売り〉

 

ラビットホールをのぞいてみたら

:アメコミサークル「道野塵芥」のアメージング太郎様による、マルチバースを駆け抜ける仕事人チーム「エグザイルズ」愛にあふれた同人誌第1弾。EXILES第1シリーズを紹介しています!

 

〜サベッジ・ドラゴン #1-75全訳〜 SEVENS YEARS OF A FIERCE FIGHT

:アメコミサークル「びこうず・さあくる」のDD様による、SAVAGE DRAGONの75号までの日本語訳というたいへんな労作です。アメコマー菅野もゲスト原稿を寄稿しています。

 

無料配布ペーパー、先着数名会場限定無料ペーパーも用意しています。

当日はよろしくお願いします!

SPIDER-MAN 2099 MEETS SPIDER-MAN

1995年 NOV

Peter David : WRITER

Rick Leonardi : PENCILER

 

 ここは2099年のニューヨーク。飛行車に乗った若者たちが驚きの目差しで見るのは、スパイダーマンだ! 警官が乗る飛行バイク数台に追われ、自分の状況が判らず混乱したままスパイダーマンは逃げ惑う。コスチュームを変えてもお前は世間の敵だぞと警官が発砲。スパイダーマンはなんだこれブレードランナーかよとぼやきつつウェブを発射し、奪ったブラスターを警官にぶち当てて反撃。警官は飛行バイク搭載の機関砲を撃ちだし、スパイダーマンは必死でかわす。素早い動きで警官に後ろから組みつき、今は何年だと聞くと、2099年という答えが返ってきた。スパイダーマンは警官を脅して移動し、通風口の中へ逃れる。

 一方、あるアパートの寝室では、一人の男が目覚め、バルチャーにやられたあとどうして自分は見知らぬベッドに寝ているのかと驚いていた。明かりがついてないぞライラと人工知能に話しかけると、同じベッドに寝ていた女性がライトを点け、一緒にいる男がピーターではなく知らない全裸の男なのに悲鳴を上げる。「ショックだ」と言いながら男はあわててコスチュームを手に取り、私の夫はどこ?とおびえる女性から離れて天窓から外へ脱出する。これは夢か?と状況が判らず困惑しつつ、男はスパイダーマン2099のコスチュームを身につけた。

 さらに別の、何処とも知れぬ場所で、謎の人物たちがスパイダーマン、スパイダーマン2099双方の様子を観察していた。スパイダーマンは通風口から外に出て、未来世界を観察しジャッジドレッドかよとぼやく。

 スパイダーマン2099も街を移動しながら観察し、地上をガソリン車が無秩序に動き空に飛行車で誰も飛んでいないことに驚く。彼はデイリー・ビューグル新聞社を発見し中に入った。中にはJ・ジョナ・ジェイムソン編集長がおり、スパイダーマン嫌いの彼は罵倒しながら葉巻の煙を吹きかける。スパイダーマン2099はお返しにウェブで口を塞ぎ椅子にむかって蹴飛ばし、他の記者たちと話を続ける。

 2099年の未来では、スターク・フジカワ社の社長ヒカル様と重役フジカワ様が、謎のエネルギー変動を利用する実験について相談していた。一方スパイダーマンは何が起こっているのか判らないまま下層街を進んでいたが、突然バルチャー2099の襲撃を受ける。巧みな動きで攻撃をかわし、バルチャー2099を地面に叩きつけノックアウト! 未来の下層民たちは現れた希望にすがりつこうとするが、スパイダーマンはその場を離れビルの上に逃れる。

 そこには一人の男が待っていて、スパイダーマンを兄と呼び、なぜ新コスチュームにしたんだと聞く。この男ガブリエル・オハラは、兄ミゲル・オハラがこの時代のスパイダーマンだと話すが、スパイダーマンは別人だと説明。今のは忘れてくれと慌てるガブリエルに、スパイダーマンは秘密は守ると答え、助けを求める。

 現代のデイリー・ビューグル新聞社では、スパイダーマン2099が本日の日付を確かめ、記者のパソコンの記事をチェックしていた。「フジカワ・インダストリーズが新型エネルギー保存装置の実験を行う」という記事に、未来で自分が知る「スターク・フジカワのことか?」と聞くと、フジカワは日本の小さい会社だとの返事。今の日付とその記事を見たスパイダーマン2099は、この日が終末の引き金となった事件が起こった日であるのに気づく! この記事のコピーをくれと言った瞬間、再びジェイムソン編集長が怒鳴り込んできた。スパイダーマン2099はマスクを取って素顔を見せ、俺は未来から来た、今日の事件で人が大勢死ぬことになると言い、さらに、一世紀後にもスパイダーマンはヒーローとして伝えられている、あんたの名前は誰も知らないがねと指摘する。彼の様子はジェイムソンを退け、コピーを受け取って新聞社を出る。

 何処とも知れぬ場所で、謎の人物たちはスパイダーマン2099の様子を監視し続ける。スパイダーマン2099は、ピーター・パーカーを探しに新聞社の前に来ていたメリージェーンを見つけて抱え、連れ去る。「ショックだ」という相手の言葉を聞いて、メリージェーンはそれがベッドにいた男だと気づく。ビルの上に着地し、スパイダーマン2099はフジカワ・インダストリーズの実験が今日失敗しスパイダーマンたちヒーローの時代が終わるんだと説明。マスクを取って素顔を見せた相手に、メリージェーン・パーカー、スパイダーマンの妻よと彼女は自己紹介した。スパイダーマン2099もミゲル・オハラだと言い、大きな力には大きな責任が伴うというならそうしようと答えるのだった。

 2099年の未来では、スパイダーマンが巨大企業アルケマックスのビルを見てスパイダーセンスで危険を感じ取っていた。ガブリエルに連れられ、スパイダーマンはミゲル・オハラの自宅に来る。ライラという美女ホログラム・ホームコンピューターは、マスクを取ったピーター・パーカーの虹彩認証をしてみて、彼がこの時代に登録されている人間ではないことを確認した。元の時代に戻りたいスパイダーマンは、アルケマックスを調べに行くことにする。

 メリージェーンからMARVEL COMICSのロゴがついたピーターのトレーナーを借りて街を歩くミゲルは、買ったコーヒーが本物の豆を碾いたものだと驚いたりするが、何らかのエネルギーを感じてマスクを被り動き出す。2099年でもスパイダーマンがアルケマックスのビルからの異様なエネルギーで頭痛を伴うほどのスパイダーセンスを感じていた。さらに、何処とも知れぬ場所で二人を監視していた謎の人物たちのところへ、ゴブリン姿の怪人が襲撃する!

 スパイダーマン2099はエネルギーが放射されているビルを目指すが、突然ベノムが襲いかかってきた。スパイダーマンだと誤解しているのだ。その攻撃をかわし目的のビルの前まで来たが、ベノムはなおも食らいついてくる。腕のカッターでベノムの頬を切り裂き反撃するスパイダーマン2099。

 未来のアルケマックスビル内の研究室では、スターク・フジカワ社の研究員たちが、時空エネルギーを5次元と通じて過去とループさせることで永久機関を作り出す実験を始めていた。このエネルギーを感じたスパイダーマンはビルの外壁に取り付くが、警官隊の飛行バイクが迫る。機関砲を撃ち込まれウェブスイングでかわし、開いた穴からビル内部へ侵入した。

 現代ではスパイダーマン2099がベノムと揉み合いながらフジカワ・インダストリーズの実験室へ突入。だがベノムはそこで何かを見て逃げ出す。スパイダーマン2099が振り向くと、キャプテン・アメリカやハルク、X-MENゴーストライダーなどの20世紀のヒーローたちのイメージが出現し、通過していく。そこで、スパイダーマン2099を掴む者がいた。未来とつながった次元を抜けてきた、スパイダーマンだ! ついに出会う二人のヒーロー!

 だが二人の到着したのは、現代でも2099年の未来でもない、荒廃した世界だった。ここは誰の未来なんだ?という問いに、私のだと答えたのは、2211年から来たホブゴブリン2211という怪人だった。未来の敵の攻撃を避けたダブルスパイダーマンは組みつこうとするが弾き飛ばされ、レトコン・ボムという時間軸から相手を消滅させる爆弾を投げつけられた。

 しかしその爆弾は、ウェブで受け止められる。新たに登場したのは、これまで何処とも知れぬ場所でスパイダーマンたちを監視していた、2500年のスパイダーマンだ! 二人のスパイダーマンにきみたちの役目は完了したと言い、スパイダーマン2500は受け止めたレトコン・ボムを、現代のフジカワ・インダストリーズの装置と、2099年のスターク・フジカワの装置に投げつけ、時空エネルギー循環装置を消滅させる。時空が修正され、元の時代に戻る前に、スパイダーマン2099とスパイダーマンが交わしたのはどちらも、「イカすコスチュームだね!」という一言だった。

 メリージェーンの前に戻ってくるピーター・パーカー。ミゲル・オハラは2099年の自宅へ戻りガブリエルやライラと再会した。「リチャーズ原理」という定説によれば時間改変はできないとされていたが、ヒーローたちが消滅したとされていた日付が記録や記憶から消えているのを確認するミゲル。学校で教わったはずなのに。ガブリエルも覚えていないと言い、ミゲル自身の記憶からも消えていった。未来は変えることができるかもしれないと希望を持つミゲル。未来を見て現代へ戻ったピーターも、世界をよりよくするべく努力すべきと考え、メリージェーンと抱き合うのだった。

 

 『スパイダーバース』以降、別次元のスパイダーマンが会うことはよくあることになったが、そんな事がまったく無かった頃、未来のスパイダーマン2099が現代のスパイダーマンと入れ替わり、出会うという驚天動地のクロスオーバーが本作である。バルチャー2099対スパイダーマンやベノム対スパイダーマン2099という、普段と敵を入れ替えての対決も楽しめ、最後にはホブゴブリン2211やスパイダーマン2500まで登場する豪華な作品となっている。

 スパイダーマン2099の敵組織として登場していたスターク・フジカワ社が、現代ではフジカワ・インダストリーズという会社だったこのが本作で明かされた。この設定はIRON MAN誌に取り入れられ、『クロッシング』事件によりトニー・スタークが死亡したあとフジカワがスターク・エンタープライゼス社を吸収合併している。

GUARDIANS OF THE GALAXY #1

1990年 JUN

JIM VALENTINO : WRITER / ARTIST

 

 マルチバースの一つである西暦3017年すなわち31世紀の未来。ブレッドソー星系の惑星コーグにて、ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーは大苦戦中だった。地中から突如、多数の砲塔を備えた要塞が出現し、砲撃で吹き飛ばされてしまった!

 スターホークは空を飛びブラストを放ち、仲間たちにもまず手近の砲塔を潰すよう指示する。彼はアルクトゥールス星系から来たミュータントで、光の力を操り、アレータという女性と体を共有している。

 頭部が燃えているニッキは水星コロニーの生き残りの少女で、素早い身のこなしで腕のビームガンを撃ち込み砲塔を破壊した。彼女はチームの航宙士かつ武器技術者だ。

 巨漢チャーリー27木星コロニー最後の生き残りの軍人で、木星の重力に耐えられるよう遺伝子改良が行われた人種で、怪力を活かし要塞の一部を引き千切る。チームのパイロット兼戦略家だ。

 結晶体の体を持つマルチネックス冥王星コロニー唯一の生存者で、右手からの熱線で撃ち砲塔を爆発させる。彼はチームの科学者でリーダーも務めている。

 大きなトサカが特徴のヨンドゥケンタウルス第4惑星コロニーの生き残りの弓矢使いで、放ったヤカ・アローを口笛で操ることができる。

 そして、20世紀の宇宙飛行士が空間跳躍実験の末に未来で蘇ったバンス・アストロ少佐は、肉体保持のための特殊スーツで身を固めており、念動力に目覚めている。彼は20世紀にいたヒーロー、ベンジャミン・J・グリム(ザ・シング)の言葉を引用して「ブチのめす時間だぜ!」と叫び、念動力で要塞を吹き飛ばした!

 勝利したガーディアンズだが、マルチネックスは要塞がこの星の外から持ち込まれたものであり敵の厄介さを指摘する。その通り、装置の一部はまだ動いており、宇宙へ信号を送っていた。近くの宙域にいた宇宙船でそれを受信したテーザーフェイスという異星人は、体に黄金のアーマーと武器を装備しており、要塞を打破した相手を抹殺するため行動を開始する。

 戦闘を終え、コーグ星の住民たちに話を聞こうとするガーディアンズ。だが何故か住民は異様におびえており、刺激しないように声をかけたヨンドゥから母親は子供を庇おうというそぶりを見せ、挙げ句に短剣を持った男が襲いかかってきた。相手を傷つけないよう巴投げでかわしたが、批難されてしまう。

 マルチネックスは衛星軌道上の宇宙船「自由の女神号」に戻ることにしヨンドゥも同行する。胸のマークを押し、二人は宇宙船に転送される。地上に残った者は捜索を続けるが、スターホークは仲間から離れ、男性の姿から女性アレータへと変身した。

 宇宙船内のヨンドゥの部屋に入るマルチネックス。ヨンドゥは炎を起こしてその前に正座して彼の種族に伝わる呪術を使い、炎の中にこれまでの彼らの歩みを映し出させた。ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーは、最初はヨンドゥ、マルチネックス、チャーリー27にバンス・アストロを加えた4人のチームで、未来の太陽系を征服したバドゥーン人に抵抗するため結成されたこと。過去の伝説のヒーローであるキャプテン・アメリカとザ・シングがタイムスリップして協力したこと。20世紀に行き、スーパーヒーローチーム「ディフェンダーズ」と共に戦い、未来に戻りスターホークがチームに入ったこと。バドゥーンを敗走させ、ニッキがチームに入ったこと。スターホークとアレータの関係を知り二人の子供達の死に立ち会ったこと。20世紀の伝説のヒーロー雷神ソーや多くのヒーローと共に超神となったコーバックと戦ったこと。スパイダーマンと出会ったり、アダム・ウォーロックを復活させようとしたりし、子供時代のバンスと出会ったことで歴史が変わり、その時代のバンスはマーベルボーイと名乗ってニューウォーリアーズに入ったこと。未来に戻り、歴史書からキャプテン・アメリカの盾がこの時代に残されていると知ったこと。これまで起こった事件を振り返った二人は、再び惑星上に戻る。

 マルチネックスとヨンドゥが転移すると、バンスたち3人に加えてアレータも合流してきた。敵味方ともキャプテン・アメリカの盾を探索しているが手がかりがない。そこへ突如、テーザーフェイスが転移してきた! 右手の大砲でバンスを吹き飛ばす。チャーリー27が突進して殴り飛ばすが、敵は素早く体勢を立て直し逆襲した。ヨンドゥは矢を放ち口笛で軌道を変えて翻弄、その隙にニッキがビームガンをくらわせる。テーザーフェイスの大砲を宙返りでかわしたニッキだが、敵は左手の銃でヨンドゥを倒した。その間に立ち上がるチャーリー27。マルチネックスはアレータに、スターホークに変身するよう頼む。チャーリー27のタックルが敵に炸裂。その間にスターホークの変身が完了し、上空からビームを撃ち込み追撃する。チャーリー27は羽交い締めにしたが、敵は『テーザーフェイス』の名の由来である顔面からのビームを発射しスターホークを撃墜した! が、マルチネックスが左手からの冷凍光線でテーザーフェイスの顔を凍らせ、さらにバンス・アストロの念動力が炸裂して撃破に成功した!

 テーザーフェイスが撃破されたことを宇宙のどこかで察知している者がいた。宇宙戦艦に乗った敵は動き出す。

 倒れたテーザーフェイスを取り囲むガーディアンズ。バンス・アストロはこの敵が身につけたアーマーを見て、20世紀の伝説のヒーロー、アイアンマンの技術ではないかと推察する。そこに声をかけてくる者があった。身構えるガーディアンズ。彼らの前に、十数人のアーマー姿の異星人軍団「ザ・スターク」が出現した!

 

 ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーは元々、1969年1月号のMARVEL SUPER-HEROES #18に初登場した未来スーパーヒーローチームであり、様々なタイトルやクロスオーバーに少しずつ登場して発展したあと、1990年にようやくオウンタイトルを獲得した。この第1号では、チームメンバーの紹介やこれまでの歴史をおさらいしたあと、独自のストーリーを開始している。

 後にスターロードをリーダーとした現代のチームが同じチーム名を名乗ったためややこしいが、こちらがオリジナルのガーディアンズ。バラエティ豊かなメンバーと、過去との繋がりが匂わされる設定や敵が魅力である。

冬コミ委託のお知らせ

アメコミ向上委員会は、今月30日(金)に開催される冬のコミックマーケットは、サークルメンバーで売り子ができる者が皆無という事情により申し込みをしておりません。

しかし、友人のアメコミ紹介サークル『道野塵芥』のアメージング太郎様が委託を受けてくださる事になりました。東地区ヌ-37a」です。感謝! 委託するのは下記の1冊です。

 

あの伝説の、グレート・ダークネス・サーガの話をしよう

:ポール・レーヴィッツとキース・ギフェンによる、DCの未来少年少女スーパーヒーローチーム「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」の傑作エピソードを御紹介! 過去からあの巨悪が復活、少年少女ヒーローたちはいかに勝ち抜くのか!

 

『道野塵芥』様はMARVELのパラレルワールド巡回チーム「エグザイルズ」の紹介を長年されているサークルです! そちらもあわせてよろしくお願いします!

11月27日(日)のアメコミONLYイベントTEAM-UP 16にサークル参加します

アメコミ向上委員会は、11月27日(日)に開催されるアメコミONLYイベント TEAM-UP 16にサークル参加します。

ジャック・カービーファンタスティック・フォー紹介本の3冊目を出す予定だったのですが、アメコマー菅野は11月12日に新型コロナを発症し、そのため原稿完成・編集・入稿が間に合わず、無念ですが新刊発行を断念しました。

アメコマー菅野は回復しておりますが当日は昼過ぎまで仕事になってしまいましたので、14時過ぎに入場すると思います。それまでの売り子をサークル「恐竜と電波塔」のラジアクさんにお願いしております。

当日頒布予定のペーパー、同人誌を告知します。

 

フリーペーパー『1978年のスタン・リー&ジャック・カービー THE SILVER SURFER』

【本イベント限定】

:新刊が発行できませんでしたので、1978年にスタン・リーとジャック・カービーが出した計100ページのコミック『THE SILVER SURFER』の紹介無料ペーパーを頒布します! カービーのサーファーが最高なのはみんな知ってるさ!

 

あの伝説の、グレート・ダークネス・サーガの話をしよう

【3月のオンラインイベントHEROES UNIVERSE ONLINE 4での新刊】

:ポール・レーヴィッツとキース・ギフェンによる、DCの少年少女未来スーパーヒーローチーム「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」の伝説のストーリー『グレート・ダークネス・サーガ』の紹介本です!

 

出でよ、ザ・デーモン エトリガン!!

ジャック・カービーが'72年からDCで創作した、悪魔が主人公のコミックTHE DEMONの紹介本です!

 

ティーブ・ガーバーの隠れた名作A. BIZARRO

:1999年のA. BIZARROミニシリーズの紹介本です! ヴィランではない新ビザロのヘンテコ大冒険! スティーブ・ガーバー先生の魅力をお伝えしたく!

 

OPD通信SPECIAL 1 〜サベッジ・ドラゴン #1-75全訳〜

SEVENS YEARS OF A FIERCE FIGHT

【委託】

:サークル「びこうず・さあくる」のDDさんによる、SAVAGE DRAGONの#75までの翻訳というたいへんな労作です。アメコマー菅野は巻末に寄稿しています。

 

たとえ赤狩り人とよばれても

【委託】

:サークル「恐竜と電波塔」のラジアクさんからの委託です。'50年代に一時期復活したキャプテン・アメリカについての愛あふれる紹介同人誌です!

ラジアクさんも新たにペーパーを作られるとの事です。

 

当日はよろしくお願いします!

2022年夏のコミックマーケット参加を断念します

アメコミ向上委員会は2022年夏のコミックマーケットにスペース当選しておりましたが、新型コロナの感染状況を鑑み、今回は参加を断念することにしました。本当に残念で断腸の思いです。楽しみにしてくださっていた方、申し訳ありません。

大阪旅行日記

 2022年7月10-11日、大阪に行ってまいりました。

 大阪は西心斎橋になる海外漫画カフェバーCROSSOVER様より、ジャック・カービートークイベントをやらないかと依頼が来まして。私のようなプロでも何でもないただのカービー好きのおっさんにそんな舞台をいただけるとはと驚きつつお受けしまして。元々は映画『エターナルズ』に合わせた企画でしたので、'70年代後半のカービーのマーベル連載コミックを紹介するジャック・カービー最後のマーベルユニバースと題して準備しました。

 出発前数日かけて荷造り。大判コミックを入れるために鞄を新調し、ショートボックスにアメコミ原書と同人誌を詰め込みまくり。予定していたものの8割しか入りませんでしたが。

 10日(日)朝。困ったことに雨が降り出したのであわててショートボックスを袋で包んだり。新幹線で友人のイドバンバラくんと合流。駅弁で朝食、「深川めし」からハゼがなくなっていて残念。シンカンセンスゴイカタイアイスを食べながら、隣のイドバンバラくんに次々とカービーのコミックを渡して読ませたり。移動中からすでに楽しい!

 新大阪駅到着→地下鉄でなんば駅へ移動。スパイダーマンが出迎え。ピコレッテという蛇腹カメラで撮ってみる。

 タブレット持ってるイドバンバラくんのナビで街を移動。開店前にアメコミ屋の位置を確認しつつ、GON BURGERにてダブルバーガーセットで昼食。がっしりとした肉で美味い。

 アメコミ屋ComicsZoneでアメコミを漁る。特にDCのコミックが充実していて買い物が楽しい! キース・ギフェン期のジャスティス・リーグが結構ありましたのでお近くの方は是非。イドバンバラくんも原書持ってるゴッサム・セントラルの日本語版などを買ってました。会計に行ったら、店主さんに顔を知られていて話しかけられびっくり! 新刊同人誌を献本して退出。移動してCROSSOVER様の位置を確認し、蛇腹カメラ「ベッサII」で写真を撮る(写真の左側奥のエレベーターで5階まで行き6階までは階段です)。

 ひとまずホテルにチェックインし、シャワーしたりマシンマンTシャツに着替えたり不用な荷物を出したりしたあと、店へ。店の前で店主の徳永ラウェイさんと会い、店内へ。前の店舗より広くなり、店のそこら中に貴重なコミックがわんさと置いてあって驚愕する。この日喋る予定のコミックはこちらも持参していたのだが、ここにかなり置いてあるので8割ぐらいは必要なかった! ここは凄い店だ!!

 最初のお客さんが来店したが、それが何と元カプコンシェーキー秋友さん(アメコミ翻訳家の秋友克也さん)であるのに驚愕。'90年代のアメコミシーンを牽引した方がまさか聞きに来てくださるとは! 秋友さんがカプコン社内でアメコミ布教用に製作した自主翻訳誌の現物を拝見したり。岐阜からアメコミ友達のHumanflyさんが来てくれて、挨拶。席が埋まるぐらいお客さんが来てくれて感謝。イベント開始。

 プロジェクターで壁に大写しになったジャック・カービーの絵は大迫力で、そのままずっと見ていたいほど。3時間も自分の好きなコミックを好きなように話せるという幸せ!! 店の許可を得て合間で同人誌頒布をさせていただいたが、思っていた以上に買っていただいて嬉しく。やや早口で喋ってしまった事もあって、最後に時間が少し余ってしまったが、皆様の協力があってなんとか終了。べらぼうに楽しい! 参加してくださった方々がどなたも真剣に聞いてくださって、挨拶に来てくださったり話をしてくださったりと好奇心旺盛で、みなさま素晴らしいファンでした。参加していただいた皆様、本当にありがとう御座いました。

 イベント後、大学の同期で同人サークル『アメコミ向上委員会』の名付け親のMくんが来ているのを発見。わざわざありがとう! 片付けをしつつ、色々な方と話をしたり、イドバンバラくんが差し入れしてくれたたこ焼き食べたり、ロックマンのグラフィックを担当された方からロックマンゼロが切った敵の断面にカービーディティーを入れたという凄い話を聞いたり、もう完全に楽しいしか無いイベントでした!

 閉店後、ホテルに戻り、コンビニで買ったロックアイスをぐい呑みに入れて、鹿児島のアメコミファン時雨さんからいただいた限定品の芋焼酎黒伊佐錦新酒無濾過」を注いで打ち上げをする。

 11日(月)。5時起床。散歩に出て、写真撮ったりキン肉マンの最新話を読んだり。風呂に入り、朝食たべる。テレビで『科学忍者隊ガッチャマン』第86話「ギャラクターの買占め作戦」をやっていたので見る。ギャラクターが人工甘味料を買占めていてそれを追うのだがみみずくの竜が敵に捕らえられてしまい当然助けようとなるかと思いきやリーダーの大鷲の健が「このまま泳がせて追跡すれば敵本部を知る千載一遇の機会」と非情な決定。みみずくの竜は途中で自力脱出して結局助かるのだが、作戦意図を知って自分の命がかかっていたにもかかわらず失敗させてしまったのを健に謝る。タツノコプロ作品によく見られる「大人レベルの考え方が提示され肯定される」展開を堪能。

 CROSSOVER前でHumanflyさんと合流し、3人で海遊館へ。大水槽でジンベイザメの餌やりが見られたり、ナマコが2種類見られたりテヅルモヅルが見られたりと大満足。友人の南部の帝王さんから情報をもらった自由軒のカレーで昼食。

 Humanflyさんと別れ、万博記念公園へ。太陽の塔を見ながら『キン肉マンII世』のマッスル・スパーク地の修行の話をしたり。大阪万博の展示や解説を見たり。新大阪駅に移動し、土産を買って帰宅。素晴らしい旅行でした!

大阪の海外コミック カフェバー CROSSOVER様にてトークイベントをさせていただきます!

大阪 西心斎橋にある海外コミック カフェバー CROSSOVER様にて、7月10日(日)の16時より、「ジャック・カービー最後のマーベルユニバース」と題したトークイベントをさせていただきます!

'70年代後半のCAPTAIN AMERICAETERNALS2001: A SPACE ODYSSEYBLACK PANTHERMACHINE MANDEVIL DINOSAURがどれだけ面白いか!、全力で話をさせていただきます!

よろしくお願いします!

3月26日(土)HEROES UNIVERSE ONLINE 4にサークル参加します!

アメコミ向上委員会は、3月26日(土)に開催される、アメコミ系オンリー同人誌オンラインイベント HEROES UNIVERSE ONLINE 4にサークル参加します!

オンラインにある会場でアバターを使って動きまわり同人誌が買えるというイベントです。参加申し込みについてはイベントのホームページを参照ください。

私は当日は仕事ですので、夜から自分のスペースにいると思います。ご来店お待ちしております。

当日頒布予定の同人誌を告知します。

 

あの伝説の、グレート・ダークネス・サーガの話をしよう

【新刊】

:DCの少年少女未来スーパーヒーローチーム「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」の伝説のストーリー『グレート・ダークネス・サーガ』の紹介本です!

 

ジョン・バーンのDC/MARVELクロスオーバー ダークサイドVSギャラクタス:ザ・ハンガー バットマンキャプテン・アメリカ

【12月のコミックマーケット99での新刊】

ジョン・バーン先生によるDC/MARVELクロスオーバー「DARKSEID VS. GALACTUS: THE HUNGER」「Batman/Captain America」の紹介本です! バーンらしいマニアックな世界が堪能できる楽しい作品です!

イベント延期告知

あけましておめでとう御座います。

2021の冬コミでアメコミ向上委員会の本を入手していただいた皆様、ありがとう御座います。

 

2022年1月23日に予定されていた、大阪のアメコミカフェバーCROSSOVER様でのアメコミトークイベント『ジャック・カービー最後のマーベル・ユニバース』ですが、新型コロナ感染増加を鑑み、お店と相談の上、延期させていただく事となりました。

再度予定が立ちましたら告知させていただきますのでよろしくお願いします。

イベント告知

【イベントその1】

 アメコマー菅野のアメコミ同人誌サークル「アメコミ向上委員会」は、2021年12月30日(木)に開催されます「コミックマーケット99」にサークルスペースをいただきました。スペースは「東地区 フ-27b」です。御参加の皆様におかれましては感染症対策にお気を付けいただきイベントを楽しんでいただければと存じます。残念ながらアメコマー菅野は仕事のため不参加ですが、友人に売り子を頼んでおりますのでよろしくお願いします。

 頒布予定の同人誌は以下の通りです。

 

ジョン・バーンのDC/MARVELクロスオーバー ダークサイドVSギャラクタス:ザ・ハンガー バットマン/キャプテン・アメリカ

【新刊】

ジョン・バーン先生によるDC/MARVELクロスオーバー「DARKSEID VS. GALACTUS: THE HUNGER」「Batman/Captain America」の紹介本です! バーンらしいマニアックな世界が堪能できる楽しい作品です!

 

出でよ、ザ・デーモン エトリガン!

コミケでは初売り 2020年のHEROES UNIVERSE ONLINE βでの新刊】

ジャック・カービー先生が創作したTHE DEMON #1-16(ファーストシリーズ全話)の紹介本です! 悪魔エトリガンが様々な怪事件に挑む!

 

ティーブ・ガーバーの隠れた名作A. BIZARRO

【既刊】

:1999年のA. BIZARROミニシリーズの紹介本です! 新たなビザロは普通人がベースのへんてこクローン! スティーブ・ガーバー先生の魅力をお伝えしたく!

 

【イベントその2】

 大阪の西心斎橋にある海外漫画カフェバー『CROSSOVER』様にて、2022年1月23日(日)の16時からトークイベントをさせていただくことになりました。

 「ジャック・カービー最後のマーベル・ユニバース」と題して、'70年代後半にジャック・カービーがマーベルでかいたCAPTAIN AMERICAETERNALS2001: A SPACE ODYSSEYBLACK PANTHERMACHINE MANDEVIL DINOSAURについて話させていただきます。よろしくお願いします!